黒木淳の転移 変人白衣
ジーマ「初めまして。私はジーマです。よろしくお願いします」
ペコッとジーマが挨拶した。
淳「あっ…よろしくお願いします、俺は淳です」
「ん…?ジュン?…珍しいですね」
少しジーマが戸惑ったような表情をする。
フェルム「きみ男でしょ?それでジュンっていうんだ?…へえ変わってるのね」
フェルムもだった。
感覚が違うのだろうか。
「まあいいです。名前ってのは変わってて当然ですからね、そんなことはどうでもよくて、聞きたいことがあるんです…」
怪訝そうにジーマは言った。シーンと空気が重くなる。
「君はどこから来たんですか?」
…シーン
沈黙。どう言えば良いか淳には全く分からなかったからだ。
そんな淳を見てフェルムとジーマが目を見合わせた。
「いや国の名前とか、故郷の名前とかそういうことを言えばいいんですよ…普通分かるでしょうよ」
ジーマが無表情で淳を見つめた。
「えっと…俺は日本って国から…来ました」
2人とも首を傾げた。
「…国なの?…地図の中にも載ってないし。この地図のどの辺り?」
フェルムに地図を差し出される。が。
(…?日本列島がない…なんだこれ…あっ)
淳がいる世界は地球とは異なる場所だから日本列島がないのは当たり前だった。
「…この地図に俺の国は載ってないですね」
「はあ?だってこれ地理省の最新版の地図なのよ…?なに?見つかってないくらい遠いところから来たってこと?」
よく分からないが、地図の技術は相当なようだ。大雑把に描かれたものではない。
ジーマは淳に紙と先がかなり丸い鉛筆を差し出した。
「…分かりました。とりあえずその国があるとしましょう。ではそのニホン?語で話しながらニホン語を書いてみてください、本当にあるなら出来るはずですからね」
ないけどある。
「初めましてこんにちは、私は日本人です、白飯に卵とわさびふりかけをかけて食べるのが好きです…っと」
久しぶりに日本語を話した気がする。1日ぶりくらいか。
フェルムは淳に尋ねた。
「…これはつまりどういう意味?」
「えっと…」
10分ほどだ。彼女たちの言語で日本語の説明をするのは少し難しかったが、丁寧に教えた。
「不思議な言葉ね…」
そう言うとフェルムは何か考えていたがジーマが口を開いた。
「じゃあこの子がナーガ語を話せる理由は何ですか?よほどの教育を受けていないと無理ですよ」
「顔立ちは目の色こそ違えど、この周辺のだし、正直わけが分からない…」
ジーマはふと立ち上がると小さな本棚にあった分厚い本を取り出した。そしてページをめくると…
「神…の可能性はないでしょうか」
「ん?あの預言の!?」
フェルムが驚きの声を上げる。
「確か…『ハデスは数えきれない長き時の後凄絶なる神々の災厄を我々にもたらす』って一節がありました」




