表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の娘と虚名を得た俺は、乱世から逃れられないので終わらせる!  作者: 楼手印
2章 勇者なんて虚名です、神竜より強いわけ無いじゃないですか!
95/206

033話 30年前に、しでかした人がいるらしい

「な、なんで⁉」


 前開きのブラウスはボタンが全て弾け飛び、肌着や下着も裂けたり脱げたスカートと一緒に落ちている。

 そんな酷い有り様だが、ミュリエル本人は元の体格に戻った事の方が気になるらしい。

 

「無理な成長だったんじゃないか? 体っていう物はゆっくり成長するんだよ」

「で、でも私は元々あの大きさで……」


 ふむ? それは初めて聞いたな。

 呆然としているミュリエルの話を聞きたい所だが、まずは服をなんとかしないと。

 ここには傭兵達も来ているし、スカートはその辺に落ちてると思うんだが。


「ほら、拾ってきたわよ。ユーマはあっち行ってなさい!」

「親子なんだが……」

「関係ない! 私だってお父様にこんな姿見せないわよ!」


 返す言葉がないので渋々引き下がる。

 夏でなければ上着のひとつも掛けてやれたんだけどな。


「あちゃ~ホックが飛んじゃってるね~。とりあえず手で押さえておこうか」

「こっちは紐が千切れちゃってるね、ごめんねミア」

「こ、ここから男に囲まれて下着無し? あんたもっと動揺しなさいよ⁉」


 賑やかな女性陣は置いといて、さっき見たミュリエルの力について考える。

 ミュリエルと初めて会った時の遺跡、もしくは似た様な場所で創られた命だというのは師匠の見解だと間違いがないそうだ。


 なら、あの力は何のための物だ?

 個人に持たせるには、余りにも大きすぎる物だろう。

 ミュリエルは遺跡で眠っていたと言っていたが、創り出した者は何故そんな事をさせたのか。

 

 遥かに優れていたという帝国時代の産業を支える為の、巨大な魔石。

 それは目的に特化する事で、より効率的に魔力を運用する事ができるらしい。

 人間で言えば16~7歳程度に見える姿に成長したミュリエルの魔力は、特化無しでそれに匹敵する規模を持っていた。

 何にでも使える膨大な魔力、一体何の目的で――。


「……お父様は、新しいお父様と一緒に、好きに生きなさいって言ってたよ」

「ミュリエル?」


 ブラウスの前をどうにか合わせ、スカートを手で押さえながらミュリエルが俺を見ていた。

 まるで俺の考えている事を読んだように、立ち上がって言葉を続ける。


「自分は役目なんて与えない、目が覚めたら新しいお父様がいるから、頼りにしなさいって」 

「帝国の滅亡は400年前なんだが……随分正確に俺と会う事を予想してたんだな……?」


 俺の疑問にミュリエルが首を振る。 

 ちなみにミアとレティシアは、どうすれば服をマシな状態に出来るかを相談中だ。

 それなりに深刻な話をしているミュリエル本人よりも、余程真剣な表情で。


「目が覚めたら、誰も居なかった。ずっと……ず~っと誰も来なかった。お父様のお友達の予知は、遠い未来だと外れる事もあるって言ってたから……」

「予知能力? それも勇者の能力か」


 でも予知は外れた。

 遺跡に来るはずだった誰かは――おそらく、ミュリエルの言う()()()や俺と同じ能力を持った勇者だろう。

 

 つまり――「城門都市からミノーへ行くつもりだったんだが、母さんに一目惚れして急に行き先を変えたんだよ」

 そう言ってた事のある誰かだ。


 30年は前の話……俺達の町の周囲が精霊の異常で水を得られなくなったのも同時期だな。

 思わずため息をつく。

 長い間1人で寂しかったとは聞いてたが……そこまで長かったとは。


「ミュリエルが30年ひとりぼっちだったのも……精霊の異常も、誰かさんが気まぐれで予知を外した影響か?」

「でも私はちゃんとお父様に会えたよ、時間はかかったけど。精霊の方は……よく分からない。元の姿に戻って思い出した事は色々あるけど、施設の詳しい仕組みはお父様じゃないと分からないから……」


 たぶんお父様も、あんまり良く分かってないんじゃないか?

 俺達の能力は感覚でやれちゃうからな。

 でもまあ、懐かしそうな顔をしているミュリエルの前だ、黙っておこう。

 

「ユーマ! ミュリエル! 何してんの、行くわよ!」

「ふぇ……ど、どこに?」

「今大事な話をしてたんだが……」


 ミュリエルの急成長と、大規模な魔力行使、さらに元の体への変化を見たわりには態度の変わらないレティが俺達父娘を呼びつける。

 

「伯爵の手勢はほとんどそこで縛られてるのよ? 砦に行って謝らせるの、ついでに破れた服の弁償もよ!」

「いや、伯爵? それが黒幕か。その本人がいるなら護衛くらいは残ってるはずだろう?」

「ミアに聞いたわよ、フェリシアに連絡したんでしょ? なら今頃サビーナが飛んできてるわよ――その前に、よ!」


 援軍が来るのを待つって話じゃないのかよ。

 王女様は困ったヤツを見る目で、俺を見ながら続けて言い放つ。 


「フェリシアの騎士に、私の騎士が事件を解決した所を見せてやるのよ! あの子の騎士は間に合いませんでした……ってね!」


 騎士。

 レティの騎士……あったね、そんな話も……。

 俺は王女様の遊び相手くらいの認識だったよ。

ブクマ、評価、感想、誤字訂正等いつもありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼こちらもよろしくお願いします(短編)▼
俺とポンコツ幼馴染と冒険とパンツ
― 新着の感想 ―
[一言] 一目惚れを予知できなかったとなると結構ガバガバですね。あっちの予知能力者は遺跡で起こる細かいことも分かってる感じだったので正確性にも個体差がありそうな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ