018話 ミュリエルとレティシア
「じゃあユーマと血が繋がってる訳じゃないのはホンットー! なのね?」
「本当だけど……お父様の娘なのも本当だもの!」
「あ、ごめん……そんなつもりじゃなかったんだけど」
お父様と王都行けるって聞いた時は嬉しかった。
なのにお城には入れないし、一緒に遊んでなさいって言われたレティシアには嫌われてるのかもしれない。
お父様に紹介された時「う”ぇ”っ⁉ 娘⁉」ってすっごくビックリしてたけど……。
同じレティって呼び方も、しちゃダメみたいだし。
「大体22歳? あの顔で? 私よりちょっと年上くらいだと思ってたのに……」
「お父様と初めて会った人は皆そう言うよ」
「僕もたしかそう思ったッスね」
「ミアはどうだったかな~あんまり気にしてなかったや」
新しく村に来る人達はお父様が挨拶したら、若すぎるって言う人多いもんね。
ミアとタロ、それに私とレティシアの4人でお父様について話してると、レティシアの不機嫌な様子もやっと治まってきたみたい。
「それでレティシア様は――」
「レティシアで良いわよミュ……ミュリエル、ユーマに仲良くしてって言われたしね。き、騎士の言う事だし仕方ないわよね! 主として!」
「ごすじんのごすじんッスか! でも面倒だしレティシアって呼ぶッス」
「でもお給料出ないんでしょ?」
「そこの亜人2人でもでもうるさい! 王女への礼儀ってもんをわきまえなさいよ!」
ハーフエルフのレティシアも亜人じゃないのかな?
私もお父様に創られたから人間じゃないけど。
「私にこんなに気安く話しかける連中は初めてよ、ユーマは別にしてね」
「やっぱりレティシアがハーフエルフだから?」
「王! 女! だからよ! おかげで街で買い物すらできないんだから!」
う~ん、それはちょっと困るかも。
せっかくお父様が皆で遊んできなさいってお小遣いをくれたのに。
「あ、そうだ……レティシア、これ貸してあげる」
「何これ? あんたのとお揃いのフード?」
「あ~なるほどね。皆が知ってるのはハーフエルフの子がレティシアって事だもんね、耳と顔を少し隠しちゃえば分からないかも」
「……最初はフェリシアみたいに陽射しに弱いのかと思ったけど、あんたも普通じゃないのね」
フェリシア……お父様が会いに行ってる王女様だっけ。
金髪で日を浴びた元気そうな肌に青い目のレティシアに対して、銀色の髪に白い肌、紅い目をしているって聞いた。
あんまり似てないのかな?
レティシアに予備のフードを渡しながら頷いて、少しだけフードを持ち上げて髪を見せる。
青い目が興味深そうに覗き込んでるのが、ちょっと恥ずかしい。
気持ち悪そうにする人もいるけど、レティシアはそんな風には思ってなさそう。
「へぇ~初めて見る色……隠さなきゃダメなの?」
「うん……ミア?」
「そうだね~珍しい髪だし、あんまりよく思わない人もいるからね」
ミアとお父様が言うなら、そうするのが一番なんだと思う。
でもそろそろ暑くなってきたから、外に出にくくなるのが嫌だなあ。
「うん、こんな感じ?」
「良いと思う、これなら分からない……よね?」
「フードの2人組は怪しいッス」
「そこは仕方ないかな~次はもっと他の……う~ん冬なら耳当てとか? 夏は難しいな~」
腕組みをしながら悩み始めたミアだけど、レティシアは耳以外に顔も隠した方が良いだろうし、やっぱりフードになるんじゃないかな?
でもタロの言うように半袖に短いスカート、その上にフードの2人組は凄く変かも。
今考えて見比べたけど、やっぱり私とレティシアの格好って似てるよね。
「じゃあ行くわよ! あんた達、私に付いてきなさい!」
「レティシアお金持ってるの?」
「うぐっ……か、買い物はユーマからもらったお金にお世話になるけど!」
「ま~良いんじゃない? 使っちゃダメなお金なんて渡さないよ」
「じゃ、じゃあ今度こそ行くわよ!」
腰に両手を当てたレティシアが宣言して、スカートを蹴るように大通りへ飛び出した。
よっぽどお買い物が楽しみだったんだと思う、私もお友達と街で買い物なんて初めてだし。
だからこの時、うっすら聞こえて来た会話には注意を払わなかった。
「おいフードが2人に増えてるぞ……?」
「確認すれば良い、例の店にどうにか誘導しろ」
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