002話 うちの娘の問題点
「ユーマさん、ちょっといいかな?」
「何かあったかパトリス、訓練がキツいならホドホドでいいんだぞ?」
自警団の訓練中に話しかけてきたのは、ミュリエルの友達のパトリス。
襲撃の時に捕まり、ミュリエルを拉致するために利用されたのをひどく悔やんだ少年は、自警団での訓練を希望した。
未成年という事もあり、正式な入団ではないが訓練ならと許可が出たんだが。
「訓練はちゃんとやるよ! でもそうじゃなくて、ミュリエルの事なんだけど……」
「ミュリエルと何かあったのか?」
ウチの愛娘であるところのミュリエルだが、今まで通り……にはいかなかった。
当然だ、なにせ7歳程度から12歳くらいにまで急に成長したんだから。
元からの村の住人への説明は、師匠が上手くやってくれたんで問題はない。
でも体だけならそこそこ大きくなったんで、体力が増してるんだよな。
もともと元気な子だったけど、それに輪をかけて……。
「あ~他の子とケンカして怪我させたとか……か?」
「ミュリエルはケンカしても暴力は使わないよ……というか、ミュリエルが本気になったら凄いのは俺達も知ってるし」
元からの友達はそうだろう、襲撃の時を知ってるからな。
でも新しい住民の子供と友達になったら、そういう可能性はあるだろう。
ミュリエルが自重したとしても、相手がどう出るかは分からないんだから。
そういう時は身を守れとも教えてるし。
「えっと、そうじゃなくて……見てもらうのが一番早いと思うんだけど……今日はみんなと森に行ってたはずだから」
――というやりとりを行って、村の裏側の広場へと向かった。
以前は防壁と門の近くまで建物があったが、それが原因で防衛に支障をきたした。
その反省を踏まえて裏門側の防壁を撤去、かなりの広さに拡張する予定だ。
移住希望者も多いし、村自体を大きくする構想になっている。
俺が到着したのと同じ頃、元の防壁があった辺り、家畜小屋などはそのままだが防壁跡の広場に子供たちが集まっていた。
その中にはミュリエルの姿もある。
裏門側は基本的に人の出入りが少ない。
それを理由に俺達の家があったくらいだが、人目を気にしないで良いという安心感からだろう、ミュリエルがフードを外してその水色の髪を空気に晒した。
開放感からか、気持ちよさそうに笑うと髪を後ろでまとめてポニーテールを作る。
動きやすいから、という理由で最近のお気に入りらしい。
村の外から斜面を競争して駆け上がって来たのか、少し息が上がっているように見えるが、他の子達ほどじゃない。
やっぱり魔力だけじゃなく、体力的にもかなり発達してるんだろう。
「それじゃ、みんなやるよ~?」
ミュリエルの声に子供たちが歓声をあげる……が、なんだ?
前からミュリエルと一緒に遊んでた男の子たちが、少し気まずそうな表情をしている。
子供たちの中では比較的年長だろうか、今のミュリエルと同世代くらいの子達だ。
パトリスも含めて、ミュリエルが特に仲の良かった子達なんだ――が⁉
なるほど……やや離れた所から観察している俺の目にも、パトリスの言いたい事は分かった。
他の友達が気まずそうにしている理由もだ。
集まっていた子供たちは10人程度。
その年齢は様々だが、下の子たちは7~8歳くらいだろうか。
彼ら、彼女らは歓声を上げ、何を気にする様子も無く服を脱ぎだした。
走ってきたようだし、汗をかいたんだろうと思う。
森から村までの荒野はホコリっぽいしな。
それを洗い流そうというんだろう。
ミュリエルが最近習得したらしい魔法で、大量の水を作り出して子供たちに浴びせだした。
それはいい。
子供たちも喜んでるしな。
問題は……だ。
ミュリエルも躊躇なく裸になってることだよ⁉
そりゃ年長組の男の子らは気まずいだろう、あからさまに目を背けてる。
考えてみればミュリエルが襲撃の一件で成長する前は、あそこで喜んでる子供たちの中でも最年少くらいの見た目だった。
精神的にもその程度だったように思う。
その頃であれば確かに、男の子達と一緒に水浴びをしていた事もあるが……。
体の成長に伴って精神もある程度成長したように見えていたんだが、そうでない部分もあったのか?
と、とにかく……これはダメだ。
説明はしにくいが、とりあえずミアと相談しないと。
ブクマ、評価、感想、誤字訂正等いつもありがとうございます!
改行を減らしてみました、迷走してて申し訳ない……




