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最強の娘と虚名を得た俺は、乱世から逃れられないので終わらせる!  作者: 楼手印
1章 拾った娘と美人の為に生きたいだけなのに、アレもコレも俺の手柄にしないで!
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034話 師匠との進展

 今日は楽しい授業の日!

 だが一般教養もやるので村の子供たちと一緒なんだよな、残念ながら。

 仕方ないので真っ先に会場となる村の集会所に出かけ、師匠との時間を作るのだ。

 ミュリエルも参加するが村の子供たちと一緒に来るので別行動、同世代の友達がいるのは良い事だと思う。

 俺はそういう経験ないからなあ……。

 ――ということで。


「今日は天気もいいですし、どうです? 授業の後に俺と結婚でも」

「何を言っているのですか、あなたは。他にやることはないのですか」


 真っ先に来たはずなのに、師匠はともかくなんでテオドールがいるんです⁉


「でもほら、師匠もこんなに心を開いてくれてるし」

「あなた開く前から押し入ろうとしていたでしょう?」


 3年前と違って師匠はあまり化粧をしていない。

 睡眠時間は取れているようだし、よく笑うようにもなった――子供たちの前でだが。

 なので封印していた話題を出しても良いだろうと3年ぶり数度目の求婚に踏み切ってみた、師匠もそれを咎める事はしないしな。

 だというのに、反応が薄いなあ。


「では分かり合う為にこの後、少し時間を頂けませんか? 師匠の淹れたお茶が頂ければ尚良いです」

「……少しだけなら。でもこの間みたいに、わざと忘れ物していくのは無しよ?」


 この間……マダーニで買ってきた土産の本を持っていった時か。

 ちょっと値は張ったが師匠は本の読み聞かせなんかをたまにやってて、村の子供たちの楽しみにもなる、何気にご婦人方にも人気だしその価値はあるだろう。

 まあこの間のは師匠の好みに合わせて、身分差の恋愛物とかだったりするけど。

 

「あんまり居心地が良くて、あの手帳が師匠の家にいたがったんですよ」

「本当に他にやることはないのですか?」


 うるさいぞ農業顧問、人生の伴侶を得ることほど重要な事はそうそう無いだろ。

 師匠と一緒に呆れた顔をしてるんじゃない。

 博学な農業顧問様は子供たちへの授業を手伝う事もあるらしい、今日はその日なんだろう。

 呆れ顔のまま授業の準備を進めに行ったテオドールを、残された師匠が恨めしげに見やる。

 やったぜ二人っきりだ!

 

「あなたはもう少し、師に敬意を払うべきじゃないかしら? 私が師についた6歳から独立した12歳までは助手に身の回りの世話にと、なんでもしたものよ?」

「す、住み込みでお世話をせよというのであれば!」

「ミュリエルはどうするのかしら」


 ぐぬぬ!

 でもまあ……それはごもっとも、さすがに娘と別居してまでは考えてない。

 でも師匠が村に来る前の話をするなんて珍しい、俺が知ってるのは出身地くらいだからなあ。

 趣味や好みはある程度聞き出せたんだが、経歴となるとさっぱりだ。


「まったく……昔から言い寄ってくる男性はいたけれど、あなたほど諦めが悪いのは初めてよ?」

「その連中は女性を見る目はありますが、俺が師匠を想う心には及ばなかったんでしょうね。なにせ日々増していますから!」

「すれ違うだけの日も多いでしょうに……何度も言ったけれど、情熱的な言葉も言われ続ければ慣れてしまうわよ? あなたの気持ちもただの習慣や惰性になってないかしら」

「別の言葉をご希望ならいくらでもありますよ? 俺が師匠に好意を持つ理由はですね」


 ……容姿については褒めても褒めたりないが、俺の師匠への気持ちを認めてもらうには、内面を評価すべきか。

 

「まず唐突に押しかけても家が散らかってたりすること無いですよね」

「まず唐突に押しかけるのを止めなさい、世間一般の常識から教える必要があるかしら」


 いつも感心してるんだよなあ……俺に劣らず忙しい人なのに。


「それにローブを何種類も持っていますよね? 村で服をそんなに持っている人はいませんけど、おしゃれ以外にも清潔に気を使っていると見ました」

「服ならミアの方が多いわよ? それにミュリエルも気がつけば増えているし」


 まあミアは別枠として。

 ミュリエルは村の住民の中では清潔に気を使っている、これは俺の実家がそうだった習慣を受け継いだのもあるな。

 おっと師匠のことだった。


「子供や年寄に優しいですよね、ちょっと下心がある方にも親身になってますし。この間移住してきた男性が自慢してましたよ」

「え……あの方、かなり年配の方よ?」

「いえいえ、年配とはいえ独身男性ですし」

「そう……そうね、少し気をつけようかしら」


 よし、この機会に邪魔者を1人排除できた。


「他にはそうですね……知性は勿論ですが、村の会合で用意されていた食事をこっそりつまみ食いしてたり――」

「見ていたの⁉」

「寝坊して慌てていたのか、豪快に寝癖がついているのを村の皆で見て見ぬ振りをしたり」

「ちょっと待って、待ちなさい! それはいつの事なの⁉」


 掴まれて体を揺さぶられながら、そういうところも可愛いよなと思う。

 師匠については日々観察を怠っていない。

 ほとんど家族としかコミュニケーションを取った事が無かった俺も、この村に来てそれなりに人と接してきた。

 そこそこ対人スキルってヤツも磨けたはずなので、師匠の心も手に取る様に……分からんな? まだまだ修行が足りないらしい。


 でも師匠とお近づきになれているのは間違いない。

 相変わらず困った顔と怒った顔ばかり見ている気はするけどな!


感想やブクマや誤字訂正など、いつもありがとうございます!

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俺とポンコツ幼馴染と冒険とパンツ
― 新着の感想 ―
[一言] ファーストコンタクトがまともだったら既に結婚していた可能性も…?
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