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大銀河帝国④

「!!」

「エンジン噴射!」ドギャーン。 

 危険を察知した明の機転で<フロンティア号>は間一髪で攻撃をかわす。

「なぜこちらの位置が分かった?」啓作が自問自答。「探知?いや行動を読まれた?」

「第二波来ます!」もうステルスは通用しない。

 ホーミングレーザーで弾幕を張り、明は天才的な操縦で攻撃をかわす。

 啓作が勝手に操縦系統を変更する。

「何を・・?」

 明が言い終わらぬうちにビームが船をかすめる。

「!」

「こちらの行動は読まれている。お前の癖もな。交代で操縦しよう」

 明と啓作が数分おきに操縦を代わり、<フロンティア号>は水素の霧の中を飛び続ける。

 ドクタージェラードは予測が外れて不機嫌だ。懸命に原因を探る。

 上空の敵艦隊は気流の流れに乗る<フロンティア号>に追いつけない。

「ええい!」

 しびれを切らした玄武は旗艦を土星大気圏に突入させる。400mの大型艦。推力は遥かに上だ。

「敵旗艦接近!」

 ビームが来る。明と啓作は巧みに避ける。

「ワープは?」 

「そろそろ行けるだろ?」

「250光年位なら可能よ」

 美理たちのいるルリウス星は250光年先だ。

「ルリウスへ行く!」明が言う。 

「だが当然敵は待ち構えているぞ」とグレイ。

「こっちは丸腰だ。先にボッケンのいるドックで武装すべきだ」

 マーチンの真っ当な意見。だが明は言い放つ。

「いや、事態は一刻を争う。同時に対処する」

 クルーがうなずく。みんな気持ちは同じだ。

 明はシャーロットとヨキにある提案をする。 

「えー!」

「無茶ばっかり」

 ぶつぶつ言いながらシャーロットはワーププログラムを組む。

 その間も敵艦隊の攻撃は続いている。

 気流が激しさを増す。

「大白斑だ」啓作がつぶやく。 

 土星の大白斑。それは木星の大赤斑と同じく嵐の渦だ。(大赤斑と違い短期間の存在)

 <フロンティア号>は渦の中へ。旗艦が追う。

 残りの艦は大白斑上空へ先回り。このままでは挟み撃ちに合う。

 ドオン! 雷が命中。

 一瞬電気系統が切れるが、すぐに元に戻る。航行に支障ない。

「できた!」ワーププログラミング完了。

「いいか、よく聞け」啓作がみんなに説明する。「ワープのチャンスを得るには奴を黙らせる必要がある。敵はこちらにはろくな武器がないと油断している。アンテナバリアーは船首ブラスターからエネルギー供給されて後方へバリアーを発生している。そのエネルギーを充填して前方に一気に発射できるようにした。チャージ弾だ。計算ではパワーはプロトン砲に匹敵する。ただしその間アンテナバリアーは使えなくなる」

「わかった。で、誰が撃つ?」

 ヨキとマーチンとグレイが手を上げる。

「じゃんけん・・」

 勝ったのはグレイ。啓作と交代し主戦闘席へ。

「エネルギー充填開始」

 バリアー消失。エンジン出力が落ちる事はないが、防御力は下がる。

 二隻の宇宙船は巨大な渦に飲み込まれていく。

「渦を利用して奴の正面を向くんだ」啓作が指示する。「あともう少し高度をとれ!やや上から狙え」

「亜空間ドリフト!」 「はいはい」 

 雲の上を滑る。180度方向転換。船首を旗艦に向ける。

「エネルギーチャージ完了」 

「メインエンジン停止、反動に備えろ」

「軸線に乗った。発射!」グレイがスイッチを押す。

 ヴァオオーーンン

 <フロンティア号>の先端から光の束が発射。反動で船は後方へ飛ばされる。

「!」驚く玄武。

 光の束は旗艦の艦首に命中する。艦首大破。

 後ろに飛ばされた<フロンティア号>は雲を突き抜け、土星大気圏を離脱。

「体勢を立て直せ」Gに耐えながら啓作が言う。

「メインエンジン始動!」噴射。

「全速前進!」後進から前進へ。

 <フロンティア号>は土星から離れ、ぐんぐん速度を上げる。

 旗艦が浮上。全砲門を一斉発射。残りの艦も一斉に攻撃。

 宇宙空間を貫きビームが迫る。

「ワープ!」

 <フロンティア号>はワープに入る。ビームは空を切る。


『申し訳ありません』

 デコラスは玄武からの報告を受ける。 

「構わん。行き先は分かっている。」ちらりとジェラードの方を見る。 

「はい。既に朱雀が作戦行動中です」


 ピンニョが来ない。

 落ち合う場所を決めてはいなかったが、彼女なら辿り着けるはずだった。

 不安と疲労のため、いつの間にか眠ってしまった美理と麗子は突然の放送で起こされる。

『ピンポンポンポン・・迷子のお知らせです。ピンニョちゃんという黄色い小鳥さんを預かっております。保護者の方はメインストリート交差点までお越しください。さもないと・・殺しますよ』

「!!」

 ふたりはそっとフィッティングルームを出る。

 自分たちに何ができるか?おそらく何もできまい。いや本当にピンニョが捕まっているのかすら分からない。だが放ってはおけない。

 夜明け前のショッピングモールは静まり返っている。

 行進していた人々の姿はどこにもない。すでに宇宙港から飛び立ったのだろうか。

 武器があった方がいいと、途中ふたりはスポーツ店の無人レジで“伸縮する竹刀”(仕組みはボッケンの刀と同じ)を買う。

 指示された場所はこのショッピングモールの二つのメインストリートが交わる所。

 地面に何か転がっている。黄色い・・

「ピンニョ!」

 ふたりが駆け出す。

 麗子の方が速い。さすが陸上部(の助っ人)。

 麗子が駆け寄った瞬間、ガシャーン。

 遅れて美理が・・ビッターン。

「いった~い!・・え?壁?」

 透明なバリアーが間を遮る。麗子はピンニョと共に見えない箱に閉じ込められる。

「罠!」

 麗子はピンニョをそっと手のひらに乗せる。美理が心配そうに見つめる。

「冷たくない。暖かい。・・生きてる!」

「よかった」美理は胸をなでおろす。

 背後で声がする。

「あーあ、ひとりしか掛からなかった。走るの遅いよ、あんた。いや、あっちが速すぎるのか」

 美理は振り向く。

 立っていたのは長身の美女。長い黒髪。チャイナドレスから太ももが覗く。年上?いや化粧しているだけで、美理たちと同年齢位か。肩にピンニョに似た青い小鳥がとまっている。取り巻きの黒服が十人。

「私の名は朱雀。大銀河帝国四天王の一人」

 美理は伸縮竹刀を伸ばし構える。汗が頬を伝う。


 ルリウス星にはコバヤシ彗星が接近していた。美しい尾をひく大彗星だ。

 周辺に大銀河帝国艦隊が展開。約50隻。たった一機の宇宙船フロンティアに対し仰々しい数だ。

 <フロンティア号>がワープアウトしたのはコバヤシ彗星の「尾」の中だった。

 直ちにステルスバリアーを張る。艦隊は気付かない。

 <フロンティア号>は彗星より飛び出し、ルリウス星へ向かう。

 明とヨキの乗る小型艇WC001が発進。

 <フロンティア号>は高度を上げ、月へ向かう。

 WC001はステルスバリアーを張ったまま大気圏に突入。

 そのコクピットで明はつぶやく。

「いま行く。無事でいてくれ」


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