表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼どうやらこの世界は、バグってしまったようです。  作者: すみっこ
▼旅の途中で色んな物がバグっていました。
22/81

▼旅の途中で色んな物がバグっていました。【Lv14】 ~悪魔との出会い~

ガチャッ

「おぅ、お帰り……って おおっ?!」


エプロン姿で出迎えてくれたガルさんの反応がコレだ。

まあ誰だって怪我人を運んできたら驚くだろう。此処のメンバーは比較的落ち着いてるモンだ。


「とりあえず回復魔法は使ったんだけど、毒が傷に染みこんじゃっていて。」

「ああ、確かに毒の匂いがする。これは…一般的な物じゃなくて魚が持つ物だな。」

「匂いで毒の種類まで分かるんですか?」

「まあ、訓練をしていればな。」

警察犬か。


「んん……はっ!」

突如、女の子が目を覚ました。

焦ったように辺りを見回し、安心して再び眠りにつ_____


「ってお前ら誰だ!」

「「「「こっちのセリフだ!!!!」」」」


サッと立ち上がり、敵意の籠もった目でこちらを見る。

「貴様ら…もしや あの海賊の仲間か?!それとも奴隷商売人か?!それともただの良い人か?!」

「間違いなく最後のやつだと思うけど。」

「あ、ああ…そうか…。礼を言う。」

ちゃんと常識は知っていた。


「って違う!」

「あ、違うんだ。」


先程ガルさんが使っていた肉切り包丁を掴むとこちらに突きつけた。

「喜べ貴様ら!我こそは【悪魔伯爵・サタニア】!!さあ我にその魂を喰わせ___!」

「没収!」

「ああっ!!」

ガルさんが若干怒った顔で肉切り包丁を取り上げる。てかいつ後ろに移動したんだ。


「いいか、小学生女子がこんな物騒な物 振り回しちゃいけねぇんだぞ!」

「「「お母さんっ!?」」」

めっ、と叱る姿はまさしく『お母さん』。

だが叱られた子供は「はあぁっ?!」と叫んだ後、何か思いだしたようにしゃがみ込んで

「はあぁ~…」と溜息をつくだけだった。


「そうか、そうだったな…ふふふふ……。」

「……。」

ブツブツと何かを呟く少女を見てミワさんはしばらく黙った後、ニッコリと笑ってしゃがみ込んだ。


「ふふっ、もしかして“訳アリ“かな?サタニアさん♪」

「なっ…分かるのか?! 我がサタニアだと!」

「だって今そうやって名乗ってじゃん。」

うぅ…と【サタニア】は唸ると、体育座りのままポツリポツリと話し始める。


「実は……朝起きたら、いきなりこんな体になっていて…混乱して外に飛び出したら、薄汚い

奴隷商人に捕まったんだ。」

「なっ…!!」

バッと立ち上がるガルさんを「まあまあ」とルフさんが座らせる。


「うんうん。それで?」

「……それで、そのまま海賊に売っ払われて…魔力も大幅に減っていたけれど、

どうにかこうにか逃げ出して来た訳だ。…まあ、こんな情けない傷を負ってしまったがな。」

ふふ…と暗く笑う。聞いたところ冗談でもなさそうだ。


「ミワさん、【悪魔伯爵・サタニア】って確か、魔族の国にあるダンジョンのラスボスです

よね?」

「うん、【黒い館】のね。彼女…彼も、乙姫と同じこの世界の人だよ。」

「って事は……」


うん、と苦笑いしてなかなか言わないミワさんの変わりに、やれやれと首をすくめながら

ルフさんが立ち上がる。



「“バグ”って事だね。」



その後は大変だった。

バグじゃないコレはバグじゃない、バグなんかで片づけるなとサタニアが喚きながらルフさんを

ポカポカ叩いたりして、ミワさんは笑いながら放っておくしガルさんは普通に調理を再開するし、

結局 僕しか止める人がいなかったのもあり、他のメンバーも部屋から出てきてしまった。


「いって~…」

「ふん、自業自得だ。…にしても、どうして我がこんな姿に……」

「だからバグだっt ごめんなさい僕が悪かったです!!」

「ルフさん、大丈夫ですか?(ハンッ、ざまぁwwwww)」

「エコ…本音だだ漏れ…」

「ん~、でもゲームのキャラクターならちゃんと元に戻らないとね。後で色々 混乱も

起こるだろうし」

ミワさんが首を傾げながら言うと「この娘は物分かりが良いな」と偉そうに腕を組む。


「名前くらい覚えといてやろう。何という名だ?」

「うん、フツーに自己紹介って言おうね。私は【ミワ】。さっき虐められていたのが【ルフ】で、

元ヤン系お母さんっぽいのが【ガル】、でこの子が【カケr____ 】

「【ミワ】?!」


ガタン!と立ち上がってから 痛そうに顔をしかめ傷口を押さえる。

「オラ、安静にしてねーと傷が広がるぞ。あと飯出来た。」

ガルさんが片手に大皿を持ちながら忠告するが本人は聞いてはいない。


「みっ…【ミワ】と言ったら……この世界で一番の強者じゃないか?! プレイヤーの敵役である、

我らがモンスター界の最大の目標と言われる…」

「何“モンスター界”って。」

「どちらかというと倒されるのがモンスターの役目じゃ無いの…?」

「オイ、飯出来たぞ、オイ。」

どうやらモンスター的にも倒されるのは不愉快らしい。…ドMだったら別だろうけど。


まあ、確かにそんな注目されている人物が目の前にいるのに通常より力が激減していたら

そりゃ悔しいに決まっている。歯ぎしりするくらいだもんね。


パクッ

「はむ?」


いつのまにかサタニアの口にはホカホカのお肉が入っていた。

「飯出来たってさっきから言ってるだろーが。とりあえず食え、冷めてからじゃ味が落ちてる。」

テキパキとテーブルに皿を並べながらガルさんが言う。

…だからいつ肉を口に入れさせたんだ。


「そうだね、とりあえず食べよう!いっただっきまーす♪」

「お前ら手ェ洗ってないだろ!今すぐ洗面所行け、今すぐ!」

「ちぇ~…」

ミワさんの言ってた「元ヤン系お母さん」はあながち間違っていないかもしれなかった。



本来の【サタニア】は♂です。

見た目は女の子なのに中身は男性って本人辛そうですね(←辛そうにさせたヤツ。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ