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第1話「戻るゴミ」
夕暮れの田舎道は、どこか不気味に静まり返っていた。
住宅街から外れた細い道を進んだ先、林の影に隠れるようにあるのが、町内唯一のゴミ集積所だ。
そこは昔から妙な噂が絶えない場所だった。
曰く――集積日を間違えてゴミを置いてしまうと、そのゴミは夜のうちに“自分の部屋へ戻ってくる”という。
子供の頃に聞いた話で、大人になった今となっては誰も本気にしない。だが、それでも集積所に足を運ぶたび、背中に薄ら寒いものを感じずにはいられなかった。
その日も俺は、手にした袋を握りしめていた。
中身はありふれた生活ゴミ。
だが、人気のない集積所に立つと、まるで自分の行動が誰かに監視されているかのような気配に包まれる。
湿った空気がまとわりつく。
袋を置いた瞬間、どこかでガサリと何かが動いた気がした。
振り返っても誰もいない。
「……気味が悪い」
そう呟き、足早に帰路につく。
だが――玄関の鍵を開けて中へ入った瞬間、鼻腔をついたのは、集積所で感じたあの湿った匂いだった。
暗い部屋の奥。
そこに“あるはずのないもの”があった。
――リビングの隅に、たった今捨ててきたはずのゴミ袋が、音もなく置かれていた。




