三つの星
この回から新章スタートということで設定を今一度よく考えていたため投稿が少し遅れてしまいましたが、明日からは元のペースに戻す予定です
ここまでクロハがやってきたことは、いわゆるチュートリアルでしかない、しかしそれはこの町に住む能力者全員が同じ状態である、それは今まで犯罪を犯す能力者は力を持ったただのチンピラたちであり、すぐに殺し殺され入れ替わりの激しい界隈でリーダー的な存在はいなかった。
しかしそんなチンピラたちに数か月前からまとめる者が現れた、その者は若い好青年のようのに見えるが人を引き付けるカリスマがあり圧倒的な力も持っている、その能力は誰も知らないし分からない、消える、敵と位置を入れ替える、見えない速度の斬撃を放つ、手榴弾を0秒で爆発させる、精神を追い詰めて自殺させるなど彼がやったとされる逸話が多すぎてどれが彼の能力かわからないのだ、そんな彼が率いるのが統制のとれたチンピラ集団「プラチナスター」、これより町の能力者ウン千人を巻き込む大抗争が始まる!
今日は新しいゲーム本体の発売日、朝から多くの子供たちが電気屋の前で心待ちにしていたのだが
(よーし、個数制限を設けないなんてマヌケな店だぜ!)
店の前で大量のゲーム機を車に積み込んでいる集団がいた
「うわーん、わーん」
店の前で男の子が泣いていた
「どうした坊主、なぜ泣いてる」
「ランゼさん!」
大人の男とその部下らしい人が現れた
「おー、ショータか。それよりなあ坊主、なんで泣いてるんだ?」
「きょうはつばいのゲーム、ぜんぶまえにならんでたおとながかいしめたんだ!」
「なんで全部買うんだ?一個あれば十分じゃあないか?」
「ランゼさん、あれは転売屋と言って大量に買った人気のゲームをネットで高く売って儲けるやつらなんですよ」
「なに!?子供たちを泣かせて商売するなんて酷い商売だな!」
「いや、転売屋は立派な犯罪者ですよ!」
「なるほど、子供を泣かせる犯罪者・・・」
転売屋の車が出発してしまった
「ショータ、やるぞ」
「ハイハイ」
二人はお互いに言葉を交わすとダッ!と駆け出した
ランゼは車を追い抜いて、その後スタン、と車道に出た
「人だ!危ねえ!」
すぐにブレーキをかけても3メートルの近さでは止められない、その代わり
ランゼが車のボンネットをバン!と踏みつけた、その力は凄まじく車は停止する
「ひえ・・・」
車の中にいた四人は完全におびえていた、すると運転手の横からガッシャーンとまた音がした
「やっほー、子供を泣かせて食う飯は美味いか?」
「ひ・・・強化ガラスをどうやって・・・」
「質問を質問で返すなああああ!」
質問を質問で返した運転手はベキ!ボキ!と体が変形していき・・・
「いたい・・・たすけ・・・・」
ぐるぐるねじれた歪なうずまきの球体になってしまった
「ぎゃああああああああああああああああああああああ」
「お前らも仲間か」
「ちがう・・・ちがううううぇ・・・」
三人ともねじれてうずまきになってしまった
「ランゼさん、これまた気持ち悪いの作りましたね」
「お前はいつもこの芸術品を気持ち悪いとバカにするな」
「いや、こんなん気持ち悪くない人間の方が特殊ですから、全部捨てますからね」
「ああ、よろしく」
そういうとショータは四人全員をブドウ一粒位のサイズにしてしまった、うずまきになった時点で確実に死んでいるが親指と人差し指で潰す、これをやる意味は子供のころ冬の朝、庭の霜でジャリジャリした感覚みたいな気分、すなわち気持ちいいのだ、潰した物は道路脇の排水溝に捨てた。
「ほらよ、坊主」
ゲーム機を何個か持って電気屋の前に戻って来た、電気屋の前でゲームが買えないと嘆いている子供たちに一つずつあげた
「おじさん、ありがとう」
そう言われるとランゼは悲しそうな顔をして
「俺にお礼するな」
「でも、おじさんはぼくらのヒーローだよ」
「ヒーローか、俺はヒーローになりたかったのかもな」
ランゼは子供の頭をポン、と叩き
「俺は『スターダスト』一番隊隊長ランゼ、立派な犯罪者だ、次に会った時には君を殺してしまうかもしれないし君の友達、君の両親をすでに殺してしまっているかもしれない、だから僕にはまた会っても近づくな。」
「スターダスト」一番隊隊長ランゼ、彼はヒーローになりたかった、しかし人間ならだれでも持っている悪の心を許せず、今では小さな子供しか信じられなくなった「悪役」
しかし闇の深い所にも光は確実にさしている
「な、何が起こってるかわからないけど、その人ボロボロにしているの君たちだろ、やめろよ!」
異能が見えない少年、シゲアキは何でこんなところに来てしまったのだろうと、そして何でこんなことを口走ってしまったのだろう、と思っていた
シゲアキは「プラチナスター」と「スターダスト」の戦いをたまたま見てしまった、しかし彼は能力が見えない、だがボロボロになっている「プラチナスター」の団員を放っておけなかった
「見えてねえ部外者なら引っ込んでろ!後で殺してやるからよ!」
「にげ・・・ろ・・・」
パワードスーツを着た彼の言うことはごもっともだった、能力者の戦いに無能力、それもパワードスーツすらない彼が乱入するのは自殺行為だった
「早く逃げろおおおおおおお!」
「うっせえんだよゴミ、今更いいやつみたいなこと言ってんじゃねえよ」
「元々そっちから仕掛けたんだろうが!アア!」
そう叫んだあとパワードスーツ男は何かの攻撃を受けたように見えるが能力者は何も動いていない
「に、げ・・・て・・・・」
「とどめだ!死ね!」
「うわああああああああああああ!!!!!!」
「何だ!?」
二人が僕の叫びに一瞬反応した隙に
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
パワードスーツの男を掴んだ
「お前!逃がすな!」
見えないけど相手は僕に対して確実に何かの攻撃をしてきている、まっすぐ歩くのは危険だと判断し、くねくね歩いていくが、
「ぐああああああああああ!」
左肩に何か刺さったみたいだ、それからふくらはぎ、頬など急所は何とか避けられているがそれでも人生で一度も食らったことの無いほどの激痛だ
「痛え!痛えよおおおおおおおおおおおお」
「君!何で逃げなかった!」
僕の叫びで目が覚めたらしいパワードスーツの男は早速僕に怒って来た
「分からないけど!なぜか助けなきゃって思ったんだ!」
「とんでもないやつだな、だがありがとう。でもこのままでは逃げきれない、ここからまっすぐ行ったところにカバンが落ちている、その中に仮面が入っているから被れ、役に立つ」
そう言うと男はぐったりしてしまった
言われたとおりにその辺に落ちていたカバンを拾って中に入っていた仮面を取り出した、そして被った、すると仮面からシュルシュルシュルと布かゴムのようなものが出てきて一瞬で体を覆った
「うおお!なんだこれ!これで逃げるのか?」
「てめーも変な服着てんのか!?ぶっ殺してやるよ!」
(見える!)
仮面をかぶったとたん今まで見えていなかった相手の攻撃が見えるようになった
(青い龍と・・・あれはウニか?)
見えたのは巨大な青い龍とトゲトゲの球、龍は大きく口を開けて突進してきて、ウニはトゲを発射して攻撃してくる
(見えるならさっきよりも避けられる、それにこれを着てると体がすごく動く!電動自転車に乗った感覚に似ている、これなら逃げ切れる!)
しかし見てしまった、目の前の通りに人がたくさんいるのを
(やばい、ここから先を通したらたくさんの人が殺される!)
シゲアキは次々に湧き上がってくる正義の心に心底うんざりしていた、しかしその正義の心を裏切らない形でUターンして敵に突っ込んでいった
「こ、こいつ!」
龍やウニには目もくれず、人間の方に攻撃すればいいと思い、ウニの本体と思われる方に殴りかかった、パンチの威力はかなり高く相手の体が少し浮いた、防御よりも早くみぞおちを殴ったため、倒れて少し悶絶していた。
「のんちゃん!」
のんちゃんというのは殴り飛ばしたやつのあだ名だろうか、仲間をやられた龍の本体が龍をこちらに突進させた
「ぐううううううううううう!!!!!」
龍は突進がすごく強く、何とか踏ん張ろうとしても押されてしまう、やがて龍は僕に噛みついた、服を貫通して肉をえぐるその牙は僕の動きを完全に止めながら三十メートル上昇し、勢いよくダイビングした
「があっ!!!」
叫んだのは一瞬だった、それは衝撃によって一瞬で声が出なくなったからだ
「はは、あんなに威勢よくやって来たのに一撃でダウン?情けないなあ、あのまま俺らに気づかれないまま逃げてればよかったものを」
もう一回ダメ押しで龍が上からドラゴンダイブする
「ああ・・・があ・・・」
「まだ息があるのか、次でとどめだ」
もう一度ドラゴンダイブをしようと龍が上昇していく
(嫌だ、死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・)
そのとき、ぶわっと力が湧いてきて立ち上がることができた
(なんだ?傷の痛みが引いた、それに元気が湧いてくる・・・)
よく見てみるとパワードスーツがごつくなっていた
(これは・・・このスーツの機能か?)
しかしダイブしてくる龍はもう目の前にいた、早速肉をえぐろうと噛みついてきた、しかしごつくなったスーツには傷一つ付かなかった
(これなら・・・いける!)
「ふん!」と両腕で龍の口を無理やりこじ開けると結構簡単に開いたので、このまま顎を外そうと踏ん張ってみる。
ベキ!龍の顎を外すと龍のビジョンが薄くなって消えた
「な!?龍が・・・お前誰だ・・・?」
見た目が変わった僕を見て他人だと思ったらしい
「りゅ、龍!出てこい!」
新しい龍が出てきたがさっきよりもずっと小さい、長さ5メートルくらい(さっきは20メートルくらい)
「まだ子供だがいけ!突っ込め!」
小竜が突っ込んでくるがそれを両手でしっかり受け止める、そして背負い投げの要領で本体にぶつける、しかし本体にはダメージが無かったようなので直接殴りに行った
「勝った・・・」
勝利を確信した瞬間
ドドドドドドドドドと横から何かがたくさん飛んできた、何かと思えばそれはすっかり忘れていたウニの能力者だった
「針串刺しの刑だ!」
ウニからは絶え間なく針が飛んでくる、しかし僕は避ける動作も防御すらもしなかった、それらをする必要がなかったからだ、針はパワードスーツに刺さりすらしない
やがてウニは剥げてただのボールになった
「嘘だろ・・・」
ウニの能力者は戦意喪失した
(これで本当に終わりだ・・・)
さっきのパワードスーツ男が心配だったので、戻ることにすると・・・
「君!何者だ!その恰好、ヒカワくんじゃあないな」
今度は何だ、まだ戦わなくちゃあならないのか
「待ってくれ、彼は僕を助けてくれた恩人だ・・・」
パワードスーツ男と思われるパワードスーツを脱いだ男がフラフラだがやってくる
「僕は彼を能力者から逃がすために僕の予備の仮面を渡したんだ、でも能力者と戦闘になってしまった、その中で彼はおそらくスーツと『セットアップ』したんだろう」
「彼がスーツと『セットアップ』を・・・」
「セットアップ」とはさっきスーツがごつくなったことだろうか
「君、名前は?」
「シゲアキです」
「シゲアキ君、君とスーツに起きたことについて調べたいからちょっと僕たちのアジトに来てくれないかな?」
「は、はい。いいですよ」
こうして車に乗った僕は少し話を聞いた
「僕たちは『プラチナスター』この町で少しづつ増えている能力者の駆除を目的とした集団だ」
「駆除!?人間ですよね・・・」
「違う、あれは人の形をした怪物だ、人間社会に溶け込み人間を内側から蝕んでいくんだ。一匹残らず駆除しなくてはならない対象なんだ」
なんということだ、さっき戦っていた能力者は人間ではなかったということだ
「君はパワードスーツを着て戦闘、そして何かのはずみで自分のパワードスーツを一段階強化した、その機能は我々の組織の研究者が言っていただけでまだ誰もその領域に立っていない。分かるか、君の存在が我々には必要なんだ、君の住んでいる町を怪人から守るためにも」
僕の街には怪人がいる、だったら僕の家族や友達も怪人に殺されてしまうかもしれない。ならば強い力を手に入れた僕が・・・
「僕が・・・この町を守ります」
「ようこそ、『プラチナスター』へ」
「『スターダスト』か。」
アジトにて、モモはさっき聞いた名を気がかりにしていた
「モモも聞いたんだ、『スターダスト』のこと」
そう口を開いたのはアマバだった
「ん?アマバ先輩も聞いたの?」
「ああ、最近活発になって来た組織だ、ウチの仲間が何人かやられて「スターダストに気を付けて」と私に言った。ボロボロになってね、死んだ奴もいる」
アマバは死んだ仲間の名前を何人か上げた
「な・・・そんな・・・」
モモの知り合いもいたみたいで絶句する
「私、明日から『スターダスト』と戦いに行く、もちろん敵討ちじゃあない、奴らは能力者に明確な敵意を持っているし容赦もしない、これから始まるのは能力者を守る戦いだ」
「アマバ先輩・・・アマバ先輩が行くなら私も行きます・・・」
「相手は組織だ、私たちもやらないといけない事がある」
「何ですか?」
「名前」
「は?」
「組織名だよ、『スターダスト』とか『プラチナスター』とか横文字でかっこいい名前じゃん、私たちも「自警団」とか「正義の組織」とかじゃあなくてもっと良い名前つけようよ」
「まあ、言いやすくなるのは一理ありますね、どんな名前がいいですか?」
「うーーーーーーーん、そこで他人事みたいにしている三人!なんかある?」
「え!?俺ら!?」
そう言ったのは僕、クロハだ。僕たちはアジトにてアリサの様子を見ていた、アリサは治癒に成功して命に別状はない、という状況だ。だがアリサは中々目覚めないので僕たちで様子を見ていたのだがそこにアマバが帰ってきて・・・こんな話し合いが始まったのであった
「両方ともスターが入ってるんですよね」
そう口を開いたのは意外にもナオヤだった
「『トライスタービジョン』とかどうですか!?」
「「「!?」」」
ナオヤの口から滅茶苦茶いい名前が出てきて一同啞然
「ナオヤ、お前そういうキャラだったのか!?」
「めっちゃいい名前、お前ホントにナオヤか?能力で化けた刺客じゃあないのか?」
そんなこんなで騒がしくしていると・・・
「うるさいですね・・・」
「「「「アリサ!」」」」
アリサがやっと目覚めたようだ
「アリサ、良かった、どこか痛い所はない?」
「・・・私、竜巻で腹を裂かれたのに生きてる・・・?」
「クロハがアジトまで運んでくれたんだ」
ナオヤがそんなことを言うけれど
「ナオヤが敵を足止めしててくれたおかげじゃあないか」
「そっか、二人とも私を助けてくれたんだ・・・ありがとう」
「そうだ、この組織の名前を考えていたんだけど・・・」
「え?何でそんな話に?」
何も聞いていなかったアリサからしたらよくわからないだろう、ここまでの成り行きを一から話した
「なるほど、『トライスタービジョン』確かにいい名前ですがトライは三角、モモ先輩要素が強いですね、ナオヤがモモ先輩のことだい好きなのは分かりますがウチのリーダーはアマバ先輩ですよ」
「お前病み上がりのくせによくしゃべるなー」
今の話、ちょっと疑問に思うところがあった
「ん?ここのリーダーってアマバなの?」
「アマバ以外に誰がいるのさ」
「前に言っていた「先生」がリーダーだと」
「「先生」はあくまで先生なの、リーダーじゃない」
「・・・?」
「「先生」は先生」・・・?よく分からない
「いつか先生に会わせられる時が来たら分かるよ」
まだ会える段階にいないという事だろうか
「ズバリ、この組織の名前は『スターエレメンツ』がいいと思います!」
「おお、いいじゃん」
「それでいいよ」
「異議なし」
こうして三つ目の星、『スターエレメンツ』が誕生した




