悪役令嬢の好感度
(マリエッタ様は、性格も悪くないようだし、胸もある。外見だって悪くない・・・わたくし頑張るって決めましたよね)
「侯爵様、わたくしはマリエッタ様の好感度をあげます!マリエッタ様が帰るまでに婚約者を選び放題できるよう頑張ります!・・・わたくしも実は婚約者がいるのです。その喜びは、家同士が決めた事とはいえ、かけがえのないものでした。マリエッタ様が何を望むか・・・お話しは聞けませんが、貴族の娘ならきっと望まれるはずです。」
薫子は、皆を見まわし、力強く頷く。
皆は薫子の勢いに押され、悲しい気分から一転、感情が迷子になる。
「さて、まずは何から始めればよろしいでしょうか?わたくし社交も幼少よりおこなってきましたし、少しはお役に立てるはずです。」
・・・少し沈黙した後、
「わっはっは!」「うふふ」
と、大声でマリエッタの父母が笑った。
「マリーのことは、悲しいことが多くて。色々なことを諦めてきたんだよ。まさか婚約者を考えることができるなんて思わなくてね。カオルコ様がこんなに意気込んでマリーのためと言ってくださるから私は嬉しくて。」
「旦那様・・・わたくしも嬉しいわ。カオルコ様ありがとう。」
2人は笑ったり涙ぐんだり感情をころころ変えて喜びを噛み締めていた。
「カオルコ様!どうぞマリーをよろしく願いします。」
そして静かに頭を下げた。
「はい。任せてください。」
薫子は、張り切って頷いた。
リリーと自室へ戻ると、
「カオルコ様、本日は残り時間でお身体をピカピカに磨きましょう!」
リリーは、やる気満々で腕捲りをした。
「えぇお願い。マリエッタ様をピカピカにして差し上げて!」
薫子は、ベットに寝そべりリリー渾身のマッサージを受けるのだった。
「ふうぅん」
リリーのゴットハンドで薫子は極上の気分を味わう。
「リリーは、マッサージが上手なのね!」
薫子に褒められたリリーは、顔を赤くし「マリエッタお嬢様の笑顔に慣れていませんので・・・」と呟いた。
リリーが落ち着くと、薫子は明日から何をするかリリーへ相談した。
リリーと相談した結果、明日はハインツが提案してくれた通り午前中に歴史と地理を。午後はマナーとダンスを習うことにする。
「あとはそうね・・・マリエッタ様の交友関係を教えてほしいのだけど。」
薫子がそうお願いすると、
「そうですね、私は半年前からマリエッタお嬢様専属となりましたので、個人的に親しい方のことはあまり存じ上げないのです。ただ家同士で仲良くされているのは、公爵家のコール家と領地が近いこともあり親しくされています。またコール家にはアルシャード様と歳が近いレックス様、シャイリー様と年が近いララエッタ様がいらっしゃいますのでご兄弟で交流があったように思います。」
「もしかして、マリエッタ様のお兄様はアルシャード様というのかしら?」
リリーは頷くと、
「カオルコ様失礼いたしました。ご家族についてご説明が済んでおりませんでした。私からの説明となり恐縮ではございますが、バーリ家についてご説明申し上げます。旦那様は、シャルール様、奥様は、リリーナ様です。マリエッタ様のお兄様がアルシャード様、ご弟様がシャイリー様です。アルシャード様は16歳で学園に通われておりデビュタントは済んでおります。シャイリー様は12歳です。領地につきましては、ハインツさんの授業でお伝えした通りとなります。おそらくは、マリエッタお嬢様はデビュタント前ですし、近くコール家の方々とお会いになる機会があると考えております。」
薫子は、少しづつ整理をしやるべきことを考え始めた。