深窓令嬢とバーリ家の決意
リリーは、血の気がなくなっていく。
「リリー!大丈夫?」
「も、申し訳ありません!私は大丈夫です。ただあまりにもマリエッタお嬢様がお可哀想で。」
「そうですね・・・わたくしもそう思います。」
薫子もことの重大さに気持ちが沈むが、リリーへ呼びかける。
「正直、わたくしはこの内容を鵜呑みにするわけにはいきません。真実かどうかもありませんし。ただし、この世界の誰も読めない文字でメモを残した。というのは見逃せない事実。わたくし、実はステラ語を自分の母国語に自動翻訳されて読めるのです。先程まで気がつきませんでした。ハナエさんもご存知だったのでしょうか?それとも知らずに書いたのかしら?もし日本語が皆さん読めないと知っていたら、この日本語で書かれたメモはハナエさんご自身用となります。もし知らずに皆さんを混乱させるものだとしたら・・・いえ、ですが文面、そう文面なんです。この文面を人様へ見せようと思えないの。リリー、この文章は私的なのよ。恥ずかしいメモなの・・・私的な内容だと、事実の可能性が高いわ。そうなるとマリエッタ様は・・・リリーわたくしたちだけで考えるには難しい状況かもしれない。もしできたらマリエッタ様のご家族を呼んでくれる?」
「かしこまりました。」
リリーは、静かに部屋を出た。
数十分後、薫子はダイニングへ呼び出された。
ダイニングには、マリエッタの父母、ハインツ、リリーが揃っていた。
薫子は、皆を見まわしてにこりと笑うと、
「皆様ごきげんよう。わたくしは、三条薫子と申します。現在16歳で学園へ通っておりました。昨日背後から刺され、以降マリエッタ様に憑依しております。時間が惜しいので、わたくしのことは、後ほど確認してください。さて、至急皆様にお集まりいただきましたのは、マリエッタ様についてお話しがあるのです。まず、このメモを見てください。」
薫子は、メモをテーブルにそっと置いた。
「ふむ、これはハナエ様が書いたメモか。リリーが持ってきたものだね。」
シャルールはメモを手に取るも、読めないのかメモをもて余してしまう。
「はい、自室を変更された後、私が回収したものです。」
リリーが答えると、薫子は驚いた。
「あら、部屋を替えていたのですね。」
シャルールは、薫子の様子に少し驚き答えた。
「そうだよ、実はハナエ様が急に部屋を変更したいと言われてね。部屋はたくさんあるからいいのだが、ご自身で部屋を決められたよ。不思議なのは、急ぐようにハナエ様が移動され、急に苦しみだしたと思ったらカオルコ様になっていたんだ。」
(・・・これで初日の謎は解けました。だけど新しい謎も生まれましたね。ハナエさんたら罪深い方)
「ありがとうございます、侯爵様もご覧になられているのですね。では簡潔に。この世界は、物語としてわたくしの世界で知られておりハナエさんはその内容をご存知でした。登場人物で悪役のポジションがマリエッタ様です。マリエッタ様は、エリック殿下と婚約し結婚されると・・・その・・・亡くなるそうです。」
リリー以外の全員が「!!!」と息を飲む
「ただし王子という記載しかないことからエリック殿下とも限りません。またエリック殿下と婚約をしなければマリエッタ様が亡くなることはないのですから、殿下との婚約は結ばないようにお願いできないでしょうか。」
薫子が、シャルールを見ると、
「王族に意見できる貴族はいないが、カオルコ様は大事なことを忘れているよ。マリーは、周りから嫌われている。だから王族から婚約の打診があると思えないよ。」
シャルールは、力無く肩を落とした。




