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神々のガラクタ船 ーWater alchemist and the Worldtree’s landsー  作者: 猫隼
Ch1・宇宙から失われたもの
21/142

21・ラブコメの始まり?(自分の世界でひとりぼっち7)

 再びボーダーラインを越えようとしたリーザだったが、一旦は止まった。

 透明の維持をやめて、首のない人型という、その姿を見せた2体のロボット。


「なんで姿を?」

 ミーケの問い。

「意味がないからだ。さっきの戦いぶりを見ただろ。リーザは大気の揺れを細かく感知して、相手の場所を察知することができる」


 さらに、視覚的な透明を維持したままの動きには、多大なエネルギーと制限がかかる。透明にならなくていいなら、そっちの方が戦闘能力は高めれる。


「でも普通は、人間は敵が見えないと、それだけでかなり動きが鈍ってしまうものだ。だから最初、敵は戦闘能力を下げてまで透明なままでいた。だがリーザは例外な相手だから、透明でいるより、普通に全力で戦った方がいいってわけだ」

 自分で説明しながら、驚きをかなり見せるエクエス。


「じゃ、それだとあの2体、さっきよりも強いってことだよね? 他の条件は同じで」

「大丈夫だよ、ミーケ」

 もうさっきと違って、他の声もしっかり聞いているようで、心配げなミーケの言葉に、笑みを見せたリーザ。


 次にはまた、真剣な顔になって彼女は告げる。

「ちょっと本気出すから」


 そしてリーザは、これまでミーケにも見せたことのない、前にだした腕がやや下がり気味な構えをとった。


(あれは)

 ミーケもザラも知らない、リーザが見せた構えの型を、エクエスは知っていた。

(そうか、どうりで。だけどそれじゃ、ますますわからないな。なんでこんなとこにいるんだ)



「やあっ」

 気合いの声を発し、次の瞬間には、ロボットの内の1体のすぐ前まで近づいていたリーザ。

 さらに掌底打ちを当てた、ようにミーケたちには見えたが、実際は寸止めして、その風圧によって、ロボットを吹き飛ばしたリーザ。


 続いて、もう1体の方のロボットが仕掛けてきたが、 さっきよりも早いのだろう連続の攻撃をすべてかわすリーザ。

 吹き飛ばされた方も、すぐに体勢を立て直して、戦いに加わってきたが、2体がかりでもリーザに攻撃を当てることはできない。



「あの、見える?」

「いえ」

「いや」

 ミーケの問いに、ザラもエクエスも即座に首をふる。


 正確にはまったく見えないとも言えない。

 ロボットが攻撃を仕掛けては、リーザがかわしているのは、ミーケたちにもなんとなくわかる。ただ腕や足の細かい動きを、目で見て認識できない。


「ただ、ひとつだけ」

 また苦笑いするエクエス。

「あいつのこと、わかったよ」


 少し迷いもしたが、結局エクエスは、その戦闘技術や、構えから察知することができたリーザの故郷を、ミーケらにも簡潔に伝えた。



(これが全力ね)

 そしてそのロボットたちの全力の攻撃も、もう完全に見切っていたリーザ。


「やっ」

 片方のロボットは、その片腕を掴んで地面に叩きつけ、もう片方は、 今度は寸止めキックの風圧で吹き飛ばす。


「もうこれ以上は無駄なのわかってるでしょ。そろそろ止めないと、破壊するよ」


 そのリーザの叫びに屈したのか、関係ないのか、ロボット2体は停止した。


 それから平然とミーケたちの近くに戻ってきたリーザ。


「エクエスさんは、さすがに知ってたんだね」

 どうやら、エクエスがミーケたちに伝えたことも、気づいていたらしかった。

「隠したかったなら、勝手に喋って悪かったけどな、だけど別に」

「うん、別にそれは隠すようなことでもないよ。ただ」


 故郷。

 "世界樹"ではなくて、生まれた場所。


「わたしもう帰れないんだ。それだけ、今はそれだけ」

「リーザ、別に」

「ううん、ミーケ、いつか、いつか全部話せる勇気を持てたらさ、あなたには聞いてほしい。昔のわたしの話。よかったら」


 ミーケは、もう何も言わないで、ただ頷き、笑顔を見せた。


(ミーケ、ありがとう。わたし、やっぱり、きっと)

 リーザも笑みを返した。



「あっ」

 まだ近づく前の家から、まさしく会いに来ていた人物であろう少女が出てきたことに、ザラが一番始めに気づく。


 それから少女は無言で、自分の方からミーケたちに近づいてきた。

 前髪に隠れがちではあるが、なかなか眼光鋭い。


「きみがスブレット?」

 彼女が立ち止まったところで、ミーケが尋ねる。

「そうよ。あなたたちはザラセニタと、そのお仲間たちなんだってね」

 なかなか不機嫌そうな感じだったスブレット。

「目的ももうわかってる。わたしがミィンから受け継いだ記録が目当てなんでしょう。いいよ、わたしは別にそんなものに興味もないし。それに限らず、大学を出た時に持ち出したものは全部、家の真下の地下貯蔵庫にあるわ。だから勝手に入って、勝手に取ればいい。それじゃね」


 それからミーケたちに背を向けたスブレット。

 しかし、すぐさま家に戻りはしない。


「それじゃあね」と歩き出さないまま、もう1度言う。

「それじゃあ」

 声を大きくした、その3度目の後、家へと歩きだしたスブレット。

 しかしその速度は、やって来る時よりも明らかに遅い。


「き、聞こえてるでしょ」

 何も言わない、実際には何を言えばいいのか戸惑っていたミーケたちに、また一旦振り向き、ちょっと泣きそうな顔を赤くして叫ぶ少女。

「だからもう1回しか言わないからね。そ、れ、じゃ、あね」

 そして、今度は家に向かって駆け出した。



「やっぱり、根は深そうだな」

 スブレットがまた家に姿を消してから、まず呟いたエクエス。

「う、うん」

「そうだね」

 ミーケとリーザも頷いた。


「あの、おれ、ちょっと話してくる。なんとなくだし、妙な勘違いかもしれないけどさ、ちょっとだけ話に誘われてるような気がしたから。そもそもおれは彼女の技術に興味あるし」

「あっ、わたしも行くよ、ミーケ」

 そして家の方へと、ミーケとリーザも歩んでいった。


 そういうわけで、その場に残されたザラとエクエス。


「わたし、学園での話聞いて、彼女も仲間として誘えないかなって思ってたんですけど、誘うまでもないかもしれないですね」

 そんなふうに言ったザラ。

「おれなんて、これからいろいろややこしいラブコメ展開が起こるんじゃないかと、ちょっとヒヤヒヤだ」

「あなた、そういうの苦手なんですか? エクエス」

「これでもとても長く生きてるんでね。そういうことに関していろいろ辛いこともあったわけさ。で思い出すのがいやだ」


 ちょっと、子供が拗ねたような感じであった。

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