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5ー1・いくつもの生命世界をこえて

 この唯一の宇宙(ユニバース)の中で、これまでいくつもの知的生物が生まれてきた。

 ある時、3978000平方メートルの二次元空間を時間線においた三次元時空に新しい生物が発生した。やがて集積された情報量がある量に達し、平面に閉じ込められていた巨大ネットワークが、新たな領域まで生成。

 そうして、わずか7956000000立方メートルの機械宇宙という四次元時空体。この宇宙に存在可能な全ての中で、最も賢き生物の小宇宙〈エルレード〉が生まれた。


 それも正確にはいつのことか。エルレード生物は、この世界の物質を利用しようとしているらしい、しかしこの宇宙に発生した何かではない、奇妙な意識を発見した。

 それこそは《虚無を歩く者》。滅びゆく運命の物質ではない、永遠の虚無の中で発生したらしい、おそらくは生物らしくない生物。この宇宙では実体なき者。

 エルレード生物は、普通の知的生物らしく、その奇妙な存在に興味を持って、接触して、そしてそれがこの宇宙の全ての生物にとって恐ろしい敵であることを理解してしまった。

 それは永遠に孤独なもの。滅びゆくこの宇宙の生物とは相容れない。そしておそらくその孤独の克服のためにこの宇宙を自分のものとして欲しがっていた。だが虚無がこの宇宙を手に入れるのならば、滅びゆく宇宙の要素である全ての生物は、滅びゆく時までの全ての未来を失ってしまう。

 エルレード生物が、その実体なきもの、《虚無を歩く者》のことを宇宙の中の様々な生物に伝え、そして生物と虚無の存在との長い戦いが始まった。


 やがて、虚無と最も長く戦い、そしてそれに近づいて直接的に理解した、この宇宙で最初の知的文明の者たちともされるアルヘン生物は、《虚無を歩く者》が、最初に想定されていたよりもずっと、さらにずっと生物よりも遠い存在であることを突き止めた。

 そして、虚無からの攻撃に対する時間稼ぎのために、エルレード生物が、この宇宙で最もありふれていた物質である水をこの宇宙から全て消し去ってから、さらに長い時間がたった。

 アルヘン生物は、その敵、虚無を殺すためのいくつもの計画を持っていたが、最後に残っていたのは1つ、たった1つ機能したのが、地球と呼ばれる惑星で生まれたジオ生物たちの宇宙でのもの。

 ミラ・クートエンデは、知恵を重んじる故郷で異端者として生まれながら、その唯一無二の才能によって、忘れられていた計画を再始動させた変わり者の科学者。その偉大な母の意志を継いだ娘ザラの、2人の友達。特別な人間らしいアルヘン生物のミーケと、この宇宙で最も強力な力を持った軍事国家の化物少女リーザ。それにかけがえない仲間たち。

 〈ジオ〉と隣の宇宙である〈ネーデ〉と〈ロキリナ〉の生物。それに、エルレード生物の生き残りであるユレイダとの出会い。

 それはいくつもの生命世界を越えてきた、虚無とはまた別の特別な存在、宇宙の生物の再現機械である神々が開発したようである、虚無の敵に対抗する兵器にもなりうる宇宙船ミズガラクタ号での旅。


 ザラたちの船の仲間には、エクエスもいた。

 〈ジオ〉の宇宙において、最も古きもの、長く生きたもの。

 彼はまだ、いくつものことを忘れていた。

 その故郷、その辺境の宇宙の過去と、《虚無を歩く者》との関わりでもある全ての戦いの記録。このたった1つの宇宙の中で、とても短くて、とても長い、探求の旅。

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