4ー28・地球もどき
アズテア第六暦511年の197日。
ミズガラクタ号とカルカ号の2つの船は、まだ目指〈スレッド〉にはたどり着かない。そこは本来のアルヘン生物の最終計画においても最後の重要な場だったろう。別の宇宙を造るために。
しかしまだ、たどり着かなかった。進む方向が間違っているのかシミュレーションのどこかが間違っていたのか明らかにそこにたどり着くまで超えなければならなかった宇宙領域は、とっくに全て超えていたのに。
「ミーケ」
「あ、何? いや、ほんとに」
部屋で寝ているミーケを、突然にスブレットが起こすのはあまり珍しくはない。
しかし、ファッションにこだわり強い彼女が、味気ない防護服みたいな寝巻き姿のままやってくるのは珍しい。
「あっ、ちょっと待って」
ちょっとと言えるのかどうか。一瞬でモノクロのボーダーがおしゃれな印象の服装に替わるスブレット。
「とにかくミーケ、これ、どう思う?」
「地球?」
そう、彼女が自分との間に表示した、青と緑色のコントラストが綺麗な惑星。それは明らかに地球に見えた。ジオ生物の始まりの惑星。
「もちろんわたしもそうだと思うわ。あるいは、少なくとも完全にこれは地球のコピーね。見た目だけの話じゃなくて、惑星を構成するあらゆる要素がそうなの。これは地球よ、間違いなく」
「でもそれが」
「この異常な状況は簡単に説明できるわ。この地球らしき惑星がある場所はね、ここなの」と彼女は、ミズガラクタ号と、その惑星との現在の位置関係示す映像を、表示した。
「え、これ、どういうこと?」
「て、わたしもまさにそれが聞きたくて来たんだけど」
だがミーケにだって答えれるわけがない。
あまりにありえないことだ。そんなこと。
その時、ミズガラクタ号は、生物は存在していないが大量の岩石が散らばっている宇宙領域を抜けたところだった。
そこがかつて何と呼ばれていたのかはわからない。また生物の存在しない宇宙だと最初はみんな思った。だが、物質が妙にごく一部だけで密集していることから、何か生き残りの生物がいるかもしれない可能性もすぐに出てきた。そしてその物質が妙に密集している部分は、遠くからだと〈ジオ〉の渦巻き型の銀河系そっくりに見えた。さらに、そのほとんど中心に、その銀河系の中で、実質的に固定状態である(いくつかの定義では惑星とも言えないだろうが)惑星が1つ。
最初にスブレットが発見して、すぐさまミーケにそれを見せた、その惑星こそ、まさに地球もどきだった。
第四部、予定よりかなり時間かかってしまったけど、一応ここまで。
ザラは、恋愛感情に興味があっても、彼女自身は基本的にそれを抱けない設定だけど、 彼女が恋愛感情を知らないとしても、ミーケやリーザに対する気持ちは恋愛的なものと考えていいと思います。
ミラは、自作のキャラクターの中でも、特にお気に入りです。三部のミジィに、ザラの従姉のシェアラと、なぜか作者は、出番の少ない脇役を好きになる傾向があります。
第五部は、ジオ宇宙の過去(と言っても現実から見るとほとんどが未来。ただし始まりは21世紀から見れば5億年くらい前からです)の話が多く、第六部はアルヘン宇宙の過去の話が多くなると思います。
第五部では、ジオの宇宙の、機械神との戦い、科学結社同士の戦いとか、最初のフィラメント国家フィデレテや、"世界樹"という小世界の成立とか。後、昔のエクエスが見て、出会って、理解してきた(そして忘れてしまった)いろいろ。その辺りの話が出てきます。