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20.甘い苺がなければ作ればいいだけ②


 そうして予定外の魔獣の飼育もあったが、〝霊峰の宝珠〟と呼ばれていた苺をベースに交配が重ねられ、ついに新たな品種が誕生した。

 大きさ、香り、味はもちろん姿形も美しい。まさしくリリアンに相応しい逸品と言えよう。

 唯一の欠点として、栽培するのが非常に難しいという問題が残ってしまった。味と香りを維持するのに温度管理がシビアで、病気に強いとも言い難い。一つの苗に一つしか実らせられないのも改善点だった。

 その上、収穫から時間が経つと格段に甘みが落ちる。三十分以内に食べるのが理想、三時間以上経つと甘味は半分以下にもなるというのは欠点でしか無いが、そこは栽培場所を変えればなんとかなるだろう。

 今回は植え替える時間が無かったので、収穫したら急いで運ぶしかない。


「ようやく……リリアンに甘い苺を届けることができる……!」


 交配を重ね、育成すること五年とちょっと。ようやくアルベルトの満足のいく味わいの苺が出来上がったのだ。

 輝かしい太陽の赤水晶(ローズ・ベリー)と名付けられたそれは、先述した通り素晴らしい出来栄えだ。

 ちょうど領地に滞在しているうちに実が成って良かった。連絡を受けたアルベルトはすぐさま屋敷を飛び出した。


「よし。急いで帰るぞ!」


 屋敷からこの農場は片道三十分。急いで馬を走らせれば問題ない距離だ。無事収穫を終えたアルベルトは即座に馬車に乗り込む。

 ——それがまさかあんなことになろうとは。アルベルトにも想像できなかった。



 収穫した苺を馬車に積み込んでいると、別の温室から騒がしい声が聞こえてきた。普段であれば気に留まらないはずだが、この時は違った。妙な緊張感があって、ただ忙しいから騒がしいという感じではなかった。


「何事だ」

「ちょっと様子見て来ます」


 アルベルトが怪訝に振り向くと、付き従っていたデリックが心得たとばかりに駆け出す。

 デリックだけでなく、農場の従事者達も優秀な者ばかりだ。放っておいても問題ないだろうとアルベルトが馬車に乗り込もうとした時だった。デリックが向かった温室から、どかんと派手な音がした。


「どわーッ!」


 と同時に聞こえたのは誰かの悲鳴。それがデリックのものだと気付いたボーマンはそちらを振り返る。

 見えたのは、温室のガラスを破って外に飛ばされるデリックの姿だった。


「デリック……!」


 デリックは、ガラス片と共に投げ出されたが受け身を取っているので大丈夫だろう。ボーマンが驚いたような声を上げたのはそちらではなく、デリックがその場を収められなかったことに対してだった。

 割れた窓から、植物の蔦のようなものがうにょうにょと伸びていたのだ。


「魔物……!?」


 その蔦から妙な気配を感じる。魔力もだ。

 魔力を有し、人に害を成すものを魔物と呼ぶ。そんなものがなぜ領地の温室なんかに——ボーマンが考えていると、温室から更に悲鳴が上がった。


「た、大変だ! 魔力を使って生長速度を早める改造を施したら、苺の苗が魔物のようになってしまったー!」


 たいへん分かりやすい悲鳴だ。そういう事かとボーマンは警戒を強める。

 体勢を整えたデリックも剣を抜いて蔦に向き直った。


「んな馬鹿な話が」


 デリックが呟くと、立て続けにガラス窓を蔦が貫いた。


「げっ」


 その蔦はさっきデリックを放り出したものよりずっと太い。しかも複数絡み合って、石造りの建物を粉砕しているではないか。

 あれを排除するのは少しばかり手間になりそうだ。手の中でくるりと剣の柄を回すデリックは、蔦のうちのひとつに目標を定め駆け出した。

 ……のだが、そのデリックの目の前で蔦が真っ白に変わる。それと同時に馬車の方から立ち上るものがあった。


「何を遊んでいる」


 アルベルトの魔力だ。蔦が白くなったのは凍りついたからだった。どうやらアルベルトが魔法を使って蔦を本体から凍らせたらしい。

 絶対に手出ししないだろうと思い剣を抜いたというのに、無駄になってしまった。

 凍った蔦は簡単に砕けるだろう。温室の職員が木槌を持ち出しているのを見て、これ以上の手出しは無用と判断したデリックはボーマンを促して馬車へ戻る。

 主人であるアルベルトは、馬車の座席にどっかりと腰を下ろしていた。


「お一人で先に戻られるのかと」

「御者が居ない」

「左様で」

「さっさと出せ」

「へえい」 


 デリックが馬車の扉を閉めようとドアノブに手を伸ばした時、さっきとは別の衝撃が馬車を襲う。

 どぱん、という破裂音と一緒に、バケツの水を浴びせられたかのような水飛沫が一同に降りかかったのだ。


「なんてことだ! 究極のでかさを追求した果実が、成長しすぎて爆発した!」

「うえっぷ! 苺の果汁まみれだわ……!」

「か、果汁が口に! うーん、うまいなこれ」


 と、どうやらそういう事らしい。

 見渡してみれば馬車は真っ赤に染まり、滴る雫からはいい匂いが漂っている。ちょっとべたつくのも、苺の果汁だと言うのなら納得がいく。

 苺の果汁は馬車の中にまで飛んでおり、外にいたデリックとボーマンだけでなくアルベルトをも果汁まみれにしていた。

 高価な服が赤くなって、馬車の豪奢な装飾も汚してしまっている。それだけではない、芳醇な苺の汁はアルベルトの銀髪と、御尊顔をも赤く染めていた。

 が、どっかりと腰を据えるアルベルトは微動だにしない。


「あー……アルベルト様?」

「なんだ」

「着替えられます?」

「一秒でも早くリリアンの元へ行く必要がある。そんな暇はない」

「……左様で」


 果汁にまみれたのはデリックとボーマンもだったが、アルベルトが先を急ぐと言うのであれば仕方がない。適当に顔だけ拭って、そのまま出発した。

 苺のジューシーな香りが、実に爽やかであった。



 べたつく馬車は、そのまま街道を進んでいく。途中で嫌気が差したのかアルベルトが大量の水を降らせ果汁を洗い流していたが、完全に落ちたわけではない。薄いピンク色のデリックとボーマンはやけくそ気味に馬車を走らせた。

 ここから屋敷までは、橋を越えて街を抜ければすぐだ。道中でトラブルなど起きようもない。……はずだった、いつもなら。

 それが急いでいる時に限ってなにかがあるのはなぜなのか。アルベルトはとんとんと指先で膝を叩いた。

 小さな橋に、家畜が群れをなして立ち塞がっているのだ。


「おい、親父さんよ。こりゃどういう状態だ?」


 デリックが馬車の上から、橋のたもとの農夫に声をかける。


「ああ、申し訳ない。それが、柵が壊れて、家畜が逃げ出しちまったんだ」

「そうなのか。困ったな、急いでんだが」

「それなら別の道を行った方がいいだろうよ」

「そうだなあ」

「デリック……だめだ」

「あん? なんだよボーマン、だめって……」


 思案していたデリックは、ボーマンが指し示す後方へと視線を向けた。そう狭くない通ってきたばかりの街道に、橋と同じく、家畜の群れがひしめき合っていた。

 悪い事にこの街道、左右に柵があって、そこにぎゅうぎゅうに家畜が詰まっているのだ。


「ゲェッ! 挟まれた!」

「な、なんだって?」


 デリックが叫ぶと農夫も驚愕の声を上げた。農夫は逃げ出した家畜の多さに、デリックは道を阻まれたことに顔を青褪めさせる。

 ここからどうすべきか。橋を渡るのに、家畜を排除するにしても時間がかかりすぎる。急がねばならないのにとデリックが顔を歪ませていると、ガチャリと馬車の扉が音を立てた。


「おい、何があった」

「だ、旦那様」

「あ、アルベルト様!?」


 そうしてアルベルトが降りてきたものだから、彼らの顔色は更に悪くなる。

 その顔色と周囲の様子で、アルベルトは状況を理解する。ふんと鼻を鳴らすと、おもむろに馬車へと戻り、苺の入った箱を手にした。


「旦那様、なにを」

「デリック、ボーマン。お前らで対処しておけ」

「え?」

「構っていられるか。私は先に屋敷に戻る」

「ヘェッ!?」

「そんな……だ、旦那様」


 デリックもボーマンも、アルベルトの言葉に目を剥く。けれどもこうなった以上、アルベルトがその手段を取るだろうというのも想像がついた。

 慌てて二人はどちらが残るか、アルベルトに着いていくかを検討するが、そうしている間にアルベルトは駆け出していってしまう。


「やべえ、置いてかれた!」

「む……」

「ベンジャミン殿に知られたりしたら減給だぞ、どうする」


 デリックは今にも走り出しそうだったが、ボーマンはそれを制した。


「おい、ボーマン」

「デリック……落ち着け」

「落ち着けったって」

「もう、無駄だ」

「あ?」


 ボーマンが指差した先を見ると、橋の向こうに小さくアルベルトの姿があった。嘘だろ、というのはデリックの叫びで、ボーマンの心の声と同じである。


「はっや! つうか旦那様、どうやって橋越えやがったんだ!?」

「……跳んでいた」

「は?」

「凄い、ジャンプして」

「お、おお……」


 さすが、我らの奇怪な旦那様。デリックは主人をそのように評して、それ以上考えるのをやめた。

 追うにもまず、家畜の群れを柵の向こうに追いやってしまわなければどうしようもなかったからだ。



 橋を飛び越えたアルベルトは苺の入った箱を胴に縛り付け、とにかく走った。


「無駄な時間を過ごした……!」


 全力で走るが、問題ないだろう。箱は柔らかい苺であっても傷付かないよう工夫された品だから。

 リリアンに使って貰った弁当箱の改良品。今回のものはデリケートな苺の保護に特化させているので余計な機能は取り払ってある。その分多少重さは減っているから、そう荷物にもならない。けれども可能な限り衝撃を抑える必要があった。出来上がったローズ・ベリーはとにかく繊細な品なのだ。

 アルベルトは全力かつ細心の注意を払って全速力で駆けていた。あまりにも無駄に時間を浪費したせいだ。苺を収穫した後すぐに自分の足で移動すべきだったと、深く後悔している。

 遅れを取り戻す為、砂塵を上げて街道を走っていたアルベルトだったが、またもやその行く手を阻む者が現れた。


「ブモォ〜〜〜」


 家畜である。


「なんなんだ、今日に限って!!」


 さっきは羊の群れだったが、今度は牛の群れだ。それが街道を縦断している。

 それはいいのだが、牛歩という言葉になっている通り、その歩みは遅い。それが列をなして街道を渡っているせいで、街道のこちら側と向こう側では馬車の行列ができていた。

 普段、領地を移動している時には、こういう事態に見舞われたことはない。それが時間制限のある今日に限って立て続けに起きている。それも二件もだ。はっきり言って異常である。


「おのれ……」


 ピキリと青筋を立てるアルベルトは牛の列の後方へと目を向ける。そこには(ひし)めき合う牛の姿があった。


「ずいぶん待ってるがまだ終わりそうにないな」

「そうだなぁ」

「なんだってこんなのがあるんだ。普通、こんな移動させないだろ」

「それがさ、熊みたいな人が群れを追い掛けたのが原因で、牛が逃げ惑って怪我をしたんだと。それでせめて群れを移動させて落ち着かせるそうだ」

「ふうん。効果がありゃいいけど」

「そうだなあ」


 周囲からはそんな話が聞こえてくる。熊みたいな人というのが原因らしいと耳にしたアルベルトは、ぎりりと歯を鳴らす。


「どこのどいつだ、ふざけた奴め」


 後で炙り出してやろう。アルベルトは心にそう刻み、一旦忘れる事にした。今はともかく先に進まなければ。

 みっちり詰まって移動する牛の間を行くか、あるいは背中を跳んでいくかだが、後者はともかく前者は、繊細な苺を持った状態では避けたい。

 なら牛の背中伝いに行くか、と視線を巡らせるが、ふとそんな必要も無いなと気が付いた。

 アルベルトは馬車の列の一番前まで進むと、そこで声を上げる。


「貴様ら、道を空けろ!」


 それと同時に魔力を放出し、威嚇をする。威嚇する相手はもちろん牛だ。


「ブモゥッ!」


 突然現れた強大な魔力に驚いた牛は、半ば恐慌状態となりながらもアルベルトから距離を取りだした。

 アルベルトを中心にして、牛の波が左右に別れていく。

 それはさながら大海を割ったという神の、神話を表したような光景である。何が起きているのかまったく把握できない人々はぽかんとそれを見守るしかない。

 なんだか急に威嚇される羽目になった牛の方も、おっかないから逃げろと言わんばかりにアルベルトを避ける。

 そうして群れを横切ったアルベルトは、向こう側に辿り着くと魔力をぱたりと収めて走り出した。


「なんだったんだ……?」

「さあ……」

「モォ〜」


 急に現れた強い魔力は、出現した時と同じように急に消えて無くなった。変な方から押された牛は非常に迷惑そうに声を上げる。

 それを牛飼いが宥めるが、結局群れの移動には想定の二倍かかる事になった。

 牛も人も、不服そうに呻いた。



 そんな大移動からしばし、ようやく屋敷までもう少しという所までアルベルトは辿り着いていた。

 街を抜ければすぐだが、大通りは人が多くて素早く移動できない。アルベルトが通りを駆け抜けるという、それ自体も問題だろう。それなりに有名人の彼が街中に現れたとあっては、縁を結ぼうとする輩に取り囲まれる可能性がある。

 そう考え、アルベルトは遠回りとならない、けれども人の少ない道へと入っていった。

 しかしそれが裏目に出るとは。この日はとことん巡り合わせに難があったようだ。


「大変だ!」

「だ、誰か! あの子を助けて!!」

「あんな所、どうしたら……」


 細い路地に溢れる人の群れ。それが空を見上げた状態で、アルベルトの行く先を塞いでいる。


「……今度は、なんだ」


 人々は誰もが空を見ている。いや、正確には目の前の建物をだろう。大勢の人が指差したり心配そうに見上げている先には、子供の姿があった。ただその子供は、四階建ての建物にぶら下がっている。屋上から伸びたロープの先にしがみついているのだ。


「ああ、なんてこと……!」

「なんだってあんな事に」


 群衆の声とアルベルトの心の声が重なった。なんだってこんな騒ぎになっているのだ。

 よくよく子供を観察してみれば、胴体と足にロープが絡まっているようだった。長いロープの途中に子供がいて、端は掴めない位置にある。大人二人が肩車をしてもロープが掴めないので救助に苦戦しているらしい。


「屋上から引き上げるしかないんじゃないか?」

「それが、今日の作業は終わってるから鍵がかかってるんだ。元々立ち入りできない場所だからきっちり管理されてて……鍵を持ってる担当者が帰っちまって、今呼びに行ってるが時間がかかる」


 そんな、という悲痛な声は女性のもの。おそらく子供の母親だろう。


「なら、あの部屋の窓から」

「落ち着け、今男衆が向かってる! あそこも空き家で鍵がかかっていて——」


 その時、ビュウッと強い風が通り抜けていった。そのせいで子供の体は大きく揺れる。


「みぎゃあああああ!」

「ダン!!」


 子供の泣き叫ぶ声と、母親の悲鳴とが響き渡った。

 なんだってまあ、こんな事に。アルベルトはひくりと頰を引き攣らせた。


「ええい、そこを退け!」


 叫びつつ、人垣を掻き分ける。人々は突然の来訪者に誰もが驚くが、現れたのが領主様であった為に更に驚愕が深くなった。


「えっ、あ、アルベルト様!?」


 悲鳴のような声に構わず、アルベルトは垂れ下がるロープを見据えている。

 階層の上の方は、やはり強風で煽られてしまっている。子供の体にはロープがしっかり絡まっているので、すぐさま落ちてしまうような事態にはならないだろう。

 けれども逆に言えば、締め付けが強くなる可能性があった。長いロープがそのうちに別の場所に絡まってはまずい。

 けれどもそれとは別の理由から、アルベルトは事態解決を急いだ。時間が無いのはアルベルトの方なのだ。


「ふん!」


 魔力を全身に漲らせ、跳躍したアルベルトは壁を蹴って建物を駆け上がった。二歩で子供の元まで行くと、その子を抱き抱える。

 それと同時にナイフでロープを切る。余談だがこれはミスリル製ではない、普通の小型のナイフだ。〝リベラ〟は使う前に成形する必要があるので、咄嗟に使うには少し不便なのだ。

 ざっくりと切られたロープは、落ちる途中で引っかからないように風魔法で調整する。ついでに着地の衝撃を吹き上げる風で緩和した。とん、と軽い音を立てただけで、アルベルトは無事子供を救出し地上へ帰還する。

 その途端に、周囲がわっと沸いた。


「すげえ!」

「さすがだ……!」


 歓声が路地に溢れた。あわやという大事件を瞬く間に解決したアルベルトを讃える声が上がっているが、彼はそれには全く意識を向けていない。肩に担ぐように救助した子供をさっさと母親に引き渡そうと、それだけに集中している。

 が、見たところ三つかそこらの幼子は、恐慌状態から復帰していなかった。もう危険はないというのに泣き叫んで、アルベルトの背中にしがみついて離さない。


「おい、泣くのをやめて手を離せ。母親に引き渡せないだろうが」

「びゃああああ!!」


 聞く耳を持たない子供に、アルベルトは舌を打つ。


「耳元で泣くな暴れるな! ロープが切れない!」

「うああわあああん!」

「ええい、いい加減にしろ!」


 美貌を歪めて怒鳴るアルベルトの姿に、いち早く復帰したのは子供の母親だった。今度は別の意味で青褪めて騒ぎの元へ駆け寄る。


「ああ、も、申し訳ありません」

「謝罪はいいからこの子をどうにかしてくれ」

「あ、そうですよね。ダン、こっちへいらっしゃい」

「ぶええぇん」

「まったく……」


 母親が視界に入り安心したのか、子供は少し落ち着いたようだ。叫ぶ声が小さくなった。

 そうして顔を上げた我が子にほっとしたのも束の間。ひゅっと母親の喉が鳴った。

 アルベルトの高価そうなジャケットに皺がつき、坊やの涙や鼻水やらで汚れている。母親やそれが目に入った大人が、小さく「ヒィッ」と悲鳴を上げてしまったのは無理もないだろう。なにしろ相手はヴァーミリオン公、彼が半端なものを纏っているわけがないのは、領民である彼らが一番よく知っている。

 好奇心旺盛なダン坊やが、母親の後をこっそり追って家を出て、途中で作業中のロープに気を取られなければ。そのロープが強風で煽られていなければ。煽られたロープに好奇心を掻き立てられた坊やが、建物に入らなければ。その建物で、たまたま作業員がほんの僅か部屋から出て、無人の状況が出来上がっていなければ。ダン坊やは宙吊りにならなかった。彼が宙吊りにならなければ、ヴァーミリオン公の上着を汚すこともなかったのだ。

 坊やは無事だったが、周囲の大人達は無事では済まないかもしれない。特に担当していた作業者は、監督責任を取らなければならないだろう。偶然とは言えそれに領主様を巻き込んでしまったからには、それがどの程度になるか想像もつかなかった。

 ごくり、と誰もが息を呑む。アルベルトが次にどんな行動を取るのか、固唾を飲んで見守った。

 ともかく子供を引き剥がせねば——母親が手を伸ばす我が子を抱き上げようとしたその直後、ゴォーン、という鐘の音が鳴り響いた。

 途端、アルベルトががばりと顔を上げる。その勢いに、見守っていた領民達は驚いて半歩後退った。


「この鐘は……も、もう昼だと!?」


 こうしてはいられない、とアルベルトは纏わり付いていたロープを切り刻んだ。切れ端がぼとぼとと地面に落ちる。


「おい。子供は預かる。後で引き取りに来い!」

「えっ? あの」

「急がないと……!」


 言うなり、領主様は地面を蹴って行ってしまった。ダン坊やを助ける時、いやそれ以上の勢いの跳躍だ。街道を駆け抜け、その姿はあっという間に見えなくなってしまう。

 母親の姿が遠ざかったせいで坊やが再び泣き叫ぶ。伸ばした手が空を掻いた。その表情はまさに絶望といったものだった。

 その悲痛な叫びと、残った砂塵は、この日の強い風が掻き消していった。そうしてみればもう、あんな騒ぎがあった事さえ消えてなくなってしまったような、そんな錯覚さえ覚える。

 まるで突風が過ぎ去ったかのようだった。


「……領主様は、どうしてあの子を連れて行ったんだ」

「さあ……ずいぶんお急ぎのようだったから、それでじゃないか」


 そんな声が囁かれ、母親は絶望した。


「あ、あたしがさっさとあの子を引き剥がしていれば」

「奥さん、落ち着きなって! あのヴァーミリオン家だもの、丁寧に預かってくださるさ」

「で、でも」


 ぶるぶると震える母親の手は己の頬に添えられている。

 よく働く女の手だ。水仕事が多いのか、あかぎれが目立つ。けれどもそれは、街の女によく見られるものだった。つまり彼女は、ありふれたどこにでもいる母親で。


「ああ、どうしよう……! あんな上等な上着、ウチじゃとてもじゃないけど弁償できない!」

「いや、でもなぁ……。それ以前にもっと汚れていたようだし、大丈夫なんじゃないか?」


 国で一番のお金持ちの方の衣類なんて、お返しできないのである。

 周囲が宥めるも、動転している彼女の気持ちは少しも収まらなかった。が、確かにあの時の領主様は、なんだか可愛らしい色合いに染まっていた気もする。

 それを思い出し、少しだけ落ち着いた彼女は、そうかしらと首を捻った。


「そんなこと……はっ!」


 そうして気付く。それも大事だが、それ以上に肝心な要件が出来上がっていたのだ。


「ダンを迎えに、お屋敷に行かないといけないの!? あのヴァーミリオン家に!?」


 ああ、と崩れ落ちる母親に、その場の誰もが同情する。

 我らが至宝たる方の住まう、極上の邸宅。馬車に乗ったお姿をちらりと拝見するだけでも畏れ多いというのに、敷地内に立ち入るなど、ただの庶民である彼らにはとてもではないが考えられない事だったのだ。


「どうして、こんなことに」


 母親の震える声が痛々しい。

 けれど、宥めて鼓舞するくらいしか、周囲にできる事はなかったのだった。



◆◆◆



 そんなわけで予定より遅れること約三時間。ようやくアルベルトは屋敷へと帰ってきた。


「リリアーーーン!」


 大声を上げてその場に居た使用人に玄関を開けさせると廊下を全速力で駆け抜ける。

 その間中、使用人達は目を丸くしてアルベルトを見ていた。

 当主の帰還が遅れたのは、まあ、その場の気分で予定を変えるお方であるからいいとして、問題はその背中だ。どこかの子供がその背にしがみついているのだ。

 幼い子供の表情は驚愕とも恐怖とも取れるもので、アルベルトが同意を得て連れて来たものではないと見て分かる。

 一刻も早く、子供を引き離すべきだろう。そうは思ったが、アルベルトは瞬く間に廊下の向こうへと走り去ってしまい、手出しが出来なかった。

 そんな使用人達を置き去りにし駆けるアルベルトは、さりげなく屋敷の様子を窺って、今リリアンが何をしているところなのかを推測し向かう先を決める。

 廊下の奥の扉を開ければ、アルベルトの推察通り、昼食を食べ終えたリリアンは食後のお茶を飲んでいるところだった。

 その時もまだ、アルベルトはダン坊やを背中に背負っているのだが、あえてリリアンはそれには触れなかった。かちゃりとカップをソーサーに戻し、笑顔でアルベルトを迎える。


「あらお父様、お帰りなさいませ」

「ただいま! ……じゃなくて!!」


 麗しのリリアンの笑顔に、アルベルトはご機嫌で挨拶を返す。その微笑みに思わず目的を忘れてしまったが、なんとかすぐに思い出す事に成功した。

 取り乱したままではリリアンに失礼だ。こほん、と咳払いをして、アルベルトは姿勢を正す。——この時アルベルトは、背中に子供を残したままだなんて、すっかり忘れていた。


「リリアンのために特別な苺を作ったんだ。ようやく完成したから食べて貰おうと思って」

「まあ。それで、今朝から出掛けていたの? ずいぶん遠くにあるのね」


 意外そうに首を傾げてみせるリリアン。遅くなった失態を知られたくはなかったものの、準備に抜かりはなかった事だけは伝えておきたい。


「いや、すぐそこの農場で作らせたんだが、色々あって」

「……もしや、お父様の衣服が桃色になっているのと関係が?」

「え? あっ」


 すっかり忘れていたが、アルベルトは農場で苺の果汁を浴びていたため桃色に染まっていた。真っ赤だったのを、水でさっと流したせいで可愛らしい色になってしまったわけだ。

 ほんのり甘い香りを漂わせているのを、ベンジャミンが渋い顔で見ている。もっとも、彼がそんな顔でいる理由は、それだけではなかったが。


「無関係ではないが、今はそれどころじゃないんだ。その話は後で」


 そんな執事の様子には目もくれず、アルベルトは括り付けてあった箱を解放した。保管箱をリリアンの前に差し出すと、そっと蓋を外す。

 微かに隙間が生じただけで、そこから豊かな苺の香りが漏れてくる。


「まあ……!」


 そうして現れた果実に、リリアンは瞬いた。


「これが、その苺?」


 書類と同じくらいの大きさの保管箱に収まっていた実は、わずか三つ。それもそのはずだ、苺は普通のものとは比べ物にならないくらい大きい。リリアンの手のひらほどもあった。

 つやつやの実は、リリアンの唇のように瑞々しい。先端からヘタの根元までもが真っ赤な苺は、食べ頃だというのが一目で分かった。


「きれい……! それに、とっても良い香り」


 匂いからもそれが分かったが、アルベルトは収穫時よりも格段に香りが減っているのに気が付いた。

 やはり、密閉するだけではだめだったようだ。なにか方法を考えねば、と脳裏に焼き付ける。

 ただ、街で暴れる子供を抱き抱えたというのに、苺には傷ひとつ付いていなかった。保護の機能はばっちりだったらしい。


「リリアン、実はこの苺は収穫した直後から香りも味も落ちていく。信じられない速度でな。だから急いで運んだんだが……」

「その間にトラブルがあって、こんな時間になってしまったというわけね?」

「ああ。だが今は説明している暇はない。さあ」


 こうしている間にも甘みが抜け落ちていっているに違いないのだ。アルベルトはリリアンを促した。

 あまりに大きいので、一口では頬張れない。リリアンは実の先端をそっと齧る。そうして口いっぱいに広がった果汁の味わいに、目をまん丸になるほど見開いた。


「ん……! すごく甘いわ!」

「美味しいかい?」

「ええ、とっても……! こんなに甘い苺があるだなんて」


 リリアンの頰は、苺の果汁で染まったアルベルトの服のように鮮やかな桃色に変わっている。


「まるではちみつのよう……! 濃い苺の果汁の中に、それとは別の澄み渡るような甘みを感じるわ。濃いのにしつこくなくて……いつまでも口の中に燻っている。どうしたらこんな風に甘い苺ができるの? きっと大変な苦労があったのでしょうね」


 齧った実の断面は芯まで赤い。じゅわりと滲む果汁からは、更に濃い香りが漂ってくる。

 リリアンは、アルベルトがこんなものを作っているとはこれっぽっちも知らなかった。いつもながらとんでもない難業を行う人だなと父親を見上げる。


「お父様、ありがとう!」

「リリアン……!」


 そう言えばアルベルトはわかりやすく喜んだ。それを見て、良かったとリリアンは笑みを深める。

 なにしろこれは自分のためだけに作られたものなのだ。リリアンが喜ばなければ、父も、この苺に関わった者達も報われない。

 決して嘘ではなく、本心からの言葉だったが通じただろう。いつだって父は、リリアンの事なんてお見通しだったから。

 リリアンが喜んでいるのが本気で嬉しいらしいアルベルトは、今度はぎゅっと固く拳を握り締めて奥歯を噛み締めている。

 そんな父の姿は、リリアンにとっても喜びとなる。良かったわとリリアン一息つくと、保管箱の苺に改めて目をやった。


「あなたも食べてみる?」

「は?」


 リリアンは、大ぶりの苺をひとつ手に取ると、それをアルベルトに差し出した。——正確には彼の肩から顔を覗かせている子供に。

 そうしてようやく、アルベルトは背中に子供を背負ったままだったと思い出した。子供はアルベルトの背中で、あんぐりと口を開けている。口から垂れた涎がアルベルトの肩をびっちょりと濡らしていた。

 ダン坊やはこの日、生まれて初めて見る貴族の姿に呆然としていた。

 王国で最も裕福な家。そこで信じられないくらい美しい令嬢に、とてもいい匂いの苺を勧められている。

 苺はよだれが垂れるくらいいい匂いだし、令嬢は天使のように美しい。見るものすべてが現実とは思えなくて、三つのダン坊やは、ここは天国なのだと錯覚する。

 実際によだれまみれになったダン坊やを、ベンジャミンがアルベルトの背中から降ろした。


「はい、どうぞ」


 興味津々で苺を見る子供に、リリアンはそれを差し出してやった。

 受け取るなりダンは、小さな口に苺を押し込む。


「……!」

「美味しい?」

「おいしぃ!!」


 口の周りを赤くするダンは目を輝かせている。その気持ちはリリアンにも理解できた。


(とっても美味しいものね)


 くすり。リリアンは微笑む。

 恐ろしいまでに甘い実。凝縮された香り。ほんの僅かに感じる、苺ならではの酸味。そのどれもが心地よく、一切が他のどれをも阻害していないのだ。どういう配合で、なにを掛け合わせればこんな実になるのだろう? リリアンは父と、それに協力した者達に静かに感謝をした。

 そんな娘と、彼女のために準備した特別な果実を頬張る小僧。リリアンの意思とは言え、せっかくリリアンに食べて貰おうと運んだものをそれ以外の者が口にするのは、どうにも許し難い。だけどリリアンが望んだ事だし、とぐぬぬと唸っているアルベルトに、すすっとベンジャミンが近付いた。


「アルベルト様、あの子供は……?」


 アルベルトは子供から目を離さずに答える。


「街で助けた」

「街で? 何があったのですか」

「後で母親が来るだろう。返しておけ」

「ですから、何があったのです?」


 ベンジャミンは気が気ではない。なにしろ、当主が幼い子供を連れ去ってきたのだ。子供の様子からそこに彼の意思は無く、おそらく母親の了承も得ていないだろう。アルベルトは助けた、と言っているが、それだって本当かどうか。

 せめてもの救いは、幼い子供が取り乱していない事だろう。さもあろう、とベンジャミンは思った。あの苺は、確かに素晴らしい香りを放っていたから。

 手についた果汁を舐めるダン坊や。見かねてか、シルヴィアが彼の両手を布巾で拭っていた。ついでに顔も。手だけでなく、口の周りも果汁まみれになっていたのだ。

 そんな彼の姿を見ていたリリアンは、ふと思いつく。


「ねえお父様。この苺は採ってすぐが一番美味しいのよね?」


 リリアンの声にはっとしたアルベルトは、すぐに反応を示した。


「ああ、そうだな」


 それにそうなのね、と返すと、リリアンはぽんと両手を合わせる。


「だったら、わたくしが農場へ参りますわ。そうしてその場で食べるの。それが一番ではありませんか?」

「えっ」

「ね?」

「…………確かに」


 その手があったか、とアルベルトは内心膝をつく思いであった。あの苦労は一体なんだったのか。

 けれども、リリアンを同行させていたら、今日あったあれやこれやの騒ぎに巻き込んでいただろう。それはどう考えても望ましくない。

 呆然とするアルベルトの姿に、リリアンはくすりと笑みをこぼす。


「ふふ。お父様ったら、うっかりさんね」

「リリアン……」

「それほどまでに、わたくしに食べさせようと必死でしたのでしょう? 嬉しいわ」

「リリアン……!」

「お父様も一緒に食べましょうね」

「……ああ、そうだな」


 笑顔のリリアンにアルベルトが即答できなかったのには理由があった。これまで品種改良やらなにやらで事あるごとに苺を口にしていた彼にとって、いくら究極の出来であってもいい加減食べ飽きていたのである。

 けれどもリリアンの申し出を断るわけにはいかない。アルベルトは懸命に表情を保つ。

 が、そんな父の様子はリリアンに筒抜けだったらしい。


「もしや、飽きていらっしゃいます?」


 ずばりと言い当てられてしまった。


「いや、そんな事は」

「ご無理なさらなくてもいいのに」

「何を言う! リリアンが美味しく食べるものなら、私も味わいたい!」

「でも」

「それよりもほら、残りの苺を食べてしまいなさい。次はもっと美味しく食べられるぞ」

「ええ、楽しみにしていますね」


 そう笑ったリリアンは、本当に楽しそうで——それだけを目指していたアルベルトは、大いに満足して頷いたのだった。



 次の機会は早々に訪れた。三日後、次の実が熟したと連絡があったのだ。

 収穫は早朝に行わなければならない、というわけでもないので、通達を受けたアルベルトとリリアンはお茶の時間に農場へと向かった。

 その特別な温室は、近付けばすぐにそれと分かる。むしろ農場一帯に広がっているのではないかと思えるほどに濃い香りが満ちていたのだ。その事に驚くリリアンを伴い、温室へと入っていく。

 温室の扉を開けると一段と香りが濃くなった。苗の近くはもう、それ以外の何も感じないほどだ。

 職員がこちらですと案内をする以前に、その実は強烈な存在感を放っていた。


「わあ……!」


 苗からぶら下がっている実は、屋敷で見たものよりもずっと艶やかで瑞々しい。ぷっくりと表面の粒つぶが際立つほど成長している。


「さ、リリアン」


 アルベルトに促され、リリアンはぷつりと苗から実をもいだ。念の為に小さく渦を巻く水魔法を出して、表面を洗い流す。

 そうしてもいだばかりの実をぱくりと齧った。

 すると、リリアンの瞳がきらりと輝く。


「この間食べたのよりも、ずっと甘いわ! 凄い!」


 美味しい、不思議だと声を上げるリリアンの隣で、アルベルトもひとつ実を口に含む。先日運んだものとの味の違いを比べるためだ。

 アルベルトも齧った途端に表情を変える。彼の場合、それは苦々しいものだったが。


「ここまで差が出るか……やはり苗を屋敷に置くしかないな。いや、これだけ変化が大きいのは改良すべき欠点だ。やり直しだな」


 父親の言葉にリリアンは、えっ、と瞬く。


「そんな。こんなに美味しいのに?」

「そうは言うがリリアン、これを食べて分かったろう。数時間であれだけ甘みが落ちるんだぞ。採りたてでなくてはならないというのは明らかに欠点だ」


 リリアンは手に残っている果実を見下ろした。アルベルトの言葉は一理あるが、数時間経って甘みが抜け落ちたものであっても、従来の苺とは比べようもないほど美味しかった。それは欠点かも知れないが、むしろ逆なのではと、リリアンにはそう思えて仕方ない。


「お父様、逆よ。これはご褒美なんだわ」

「……ご褒美?」

「ええ、そう!」


 リリアンはくるりとドレスを翻す。


「苗を手元に置いた者だけが味わえる甘味ということよ。素晴らしいわ! その特別な瞬間にこそ価値があるのではないかしら。だからきっと、失敗なんかじゃないわ」

「リリアン……!」


 ひぐう、とアルベルトは呻いた。

 リリアンの清らかな性根がアルベルトを照らすかのようだ。浄化されたなにかが涙となって溢れる。

 そんな見慣れた父親の姿に、リリアンは「もう、お父様ったら」といつも通り笑って、残った苺を口に含んだ。

 そうして極上の果汁に舌鼓を打つリリアンの、なんと可愛らしいこと! 恍惚と眺めるアルベルトの手の中で、究極の苺はジュースへと姿を変えた。

 その芳しいジュースで再びアルベルトの服が汚れ、ベンジャミンが渋い顔をするのだが……まあ、些細な事だろう。

 そんなものよりも数年かけて改良した苺よりも、もっと価値のあるものが今、アルベルトの目の前にあるのだから。





 ……ところで、牛の群れを追いかけ回した熊のような人、というのを探したアルベルトは、その正体がゴットフリートであった事に大いに憤激した。

 なぜそんな事をしたのかと問われたゴットフリートはこう答える。


「そこに獲物がいたら、普通追いかけるだろうが」

「家畜は獲物ではないだろうが、脳味噌を筋肉に譲るな馬鹿が!!」

「父親に向かって馬鹿とはなんだ、馬鹿とは!!」


 そんな会話をしつつ行われた「修練」という名の罵り合いは、午後目一杯行われたという。


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