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挫折、絶望、Uターン

 破滅は水と共にやってきた。

 百年かけて積み上げた街の灯り。千年間変わらないはずだった海岸線。

 変わらない日常だったはずのものが、わずか数年のうちに(かさ)を増してきた海へと溶けていった。


 住む場所を追われた人々は挫折と絶望を味わった。

 それは16歳の俺にとって、家族との別離という最悪の形で現れた。

 顔も覚えていない、東京の親戚に引き取られたのは幸運だったかもしれない。

 しかし俺はそこでの生活に馴染めなかった。


 だってそうだろ?

 何もかもが海に沈んでしまった後で、田舎から都会に住めてラッキーだなんて思えるか?

 俺は自分の世界に引きこもり、再び挫折した。こんな世界じゃ未来に何も希望が描けなかった。


 何もせず親戚から愛想を尽かされた俺は、最低限の荷物をリュックに詰めて電車に乗せられた。

 要は厄介払いされたってわけだ。

 行き先は俺の元いた故郷。段々畑とミカンの(だいだい)が美しい、田舎の町。


 俺はリュックの中からモノクロのチラシを取り出してその表面を目で追った。


 『援農・フリースクール・参加者募集中!』

 

 俺はフリースクールに通うことになる。その間の衣食住は、募集先が提供してくれるらしい。

 それが親戚の人たちが俺にしてくれる最後のお膳立てだった。

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