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第16話 彩夏ちゃんの家に呼ばれたけど、豪邸でリムジンって凄すぎる!

 あの騒動から翌日。実は今日、彩夏ちゃんとコラボの打ち合わせを詳しくする事になっている。


 学校の授業が終わり、俺とすみれ、竹中も含めて、姫柊家に招待されていた。実際はコラボするのは俺と彩夏ちゃんの予定なのだが、どうも迷惑をかけたことを詫びしたいらしく、2人も招待すると言い張って聞かないのだった。


 あのホテルで全員連絡先を交換しているので、俺、すみれ、竹中の3人で彩夏ちゃんが来るのを今現在、校門前で待っている状態と言う事になってるのだ。


 俺のスマホの音が鳴ったので確認したら、


『先に車に乗ってますの。中の準備が終わったので、もうすぐそちらに迎えに行かせてもらいますの』


 どうやら車で迎えに来てくれるらしい。


「さやかちゃんもうすぐ迎えに来てくれるってよ」

「迎えって車か何か?」


 すみれが疑問に思っている間に、校門前に横長い高級車である、白いリムジンが俺達の前に停る。まさにお金持ちの車って感じで、この学校の校門に存在しているのに違和感を感じるぞ。確かに昨日本人が、姫柊財閥の一人娘って言ってたし。それはどうも嘘偽りはないらしい。


 姫柊財閥と言えば超有名な姫柊銀行を始め、大手製薬会社、生命保険、金属工業、大手不動産会社など有名な企業やグループを統括している存在だ。その一人娘ともなれば、リムジンで送り迎えなど日常なのだろう。何度か俺が登下校する時にリムジンは、彩夏ちゃんの送迎のためだったと言う事だなと、今になって理解する。


「わおっ。この車リムジンだ。前から見たことあったけど、まさか彩夏たんだったとは、いやはや驚きだね」


 リムジンから壮年の執事が運転席から出てくると、彩夏ちゃんがいるであろう席を開ける。そして洗練された所作で座席から本人がリムジンから降りてきた。


「皆様お待たせして申し訳ありませんわ。さっ、中に入ってほしいですの」


 戸惑う俺達の背中をぐいぐいと押しこんで、あっという間にリムジンに入ってしまった。奥から俺、竹中、すみれ、彩夏ちゃんと並んで座る。


 中はとても広く、座席のシートも横長ソファで柔らかく、空調も空気清浄器も稼働しているのか、気持ちが良い。ソファ席の反対側にはまるでバーのカウンターのような備付(そなえつけ)テーブルがあり、そこには食べ物と、飲み物が用意されていた。


 俺達がぎこちなく座席で固まっていると、車が走り出した。


 何だかとっても彩夏ちゃんはうきうきした様子で、とても楽しそうだった。もう昨日の様子とは違い、とても元気な様子で、(ほが)らかだ。案外と言うか、さすがと言うか姫柊家の人間だからかは知らないけど、もうケロリと向日葵(ひまわり)のように明るい少女だ。


「この前は本当にわたくしとした事が大変失礼しましたの。すみれさんが渉さんの双子の妹さんだとは知らず、勝手に恋人だと思って暴走してしまい、姫柊の者として恥ずべき事ですの」


 予想通り、その事に尾を引いていたみたいだ。彩夏ちゃんはすみれに対してぺこりと頭を下げて謝っている。


「私としては彩夏ちゃんに謝られる事なんてないけどね。そもそもこの馬鹿兄貴が悪いんだし。こんな可愛い子に気付いてあげないのが悪いのよ」


 じろりと俺の面を睨んでくるすみれだったが、とりあえずスルーしておこう。そんな事言われても今更だろうが。


「すみれったら何ちょっと怒ってるの? もしかして赤坂君にこんな可愛い娘っ子が友達になって嫉妬してるのかな~」

「朱里はすぐそうやって茶化してからに~」


 すみれと竹中がふざけていたが、その間に彩夏ちゃんが備付テーブルから事前に用意していたアイスティーを俺達に渡してきた。


「あの、まずはこれでも飲んで家に着くまで(くつろ)いでくださいませ。海外から取り寄せた特製のアイスティーですわ」


 渡されたグラスを俺は受け取る。それはとても豊潤な香りと、少し甘く飲んだ事のない未知の味がした。高価な茶葉が使われているのが分かるが、普段50パック、600円のを飲んでいる俺からしたら、どう反応したら良いのか分からん。多分すみれも、竹中も反応に困っているようだ。


「あの……、お口に合いませんでした……?」


 誰も黙って感想も言わないから心配になって、上目づかいで俺を見ながら聞いてくる。


「いや、違うんだ。美味しいよ。ただ普段飲みなれた味じゃないから、ゆっくり味わっているんだよ」

「うん、そうそう。とっても美味しいよ。これすごく良い茶葉使ってるよね。だからね」


 すみれもフォローしてくれた事により、彩夏ちゃんは納得したらしく、


「それは安心しましたの。色々迷ったのですが、結局飲みやすい物に選びまして。でも気に入ってもらえて良かったですの」


 自らもアイスティーを優雅に飲む様子を見ると、本当にお嬢様って感じが改めて感じた。いや、お嬢様なんだけどさ。そこにティーを飲み終えたすみれが、グラスを備付テーブルに置き、彩夏ちゃんに向き直る。


「ねぇ、彩夏ちゃん。でもどうして私と兄貴が恋人同士だと思ったの。確かに、あれは彩夏ちゃんを釣る演技だったけど。それに探偵を雇ったのなら私が妹だって事くらい知っててもおかしくないと思うけど」

「そ、それは……。全く渉さん以外の情報を調べてませんでしたの。妹さんがいるとは報告ありましたが、それ以上は追求しておらず、顔も知らないままでしたの。えへへ、うっかり屋さんですのわたくし」


 照れ笑いして、ゴクゴクとアイスティーを飲み干す。


「それに、すみれさんがこんなに美人だとは思ってなくて。その時とてもわたくし焦ってしまいまして。その上、朱里さんまで美人ですし、気が気じゃなくなっちゃいましたの」


 言われた2人はいきなり彩夏ちゃんの頭を急に撫でだした。


「何か困ったらお姉さん達に何でも相談していいんだよ、彩夏たん」

「彩夏ちゃんもとても可愛いわよ。こんな兄貴とは不釣り合いなくらいにねっ」


 一部失礼な事を言われて腹立たしいが、ちょっと言い返せないんだよなぁ。


 そんな話をしていると、車が不意に一度停まった。窓から外を見るとそこには立派な豪邸が、見事で(おごそ)か存在していた。ここが姫柊家だと一見してすぐに分かる程だ。鉄製の門扉が開き、その広い敷地へ車が進みだして入って行く。


「お待たせしましたの。さぁ皆さま、どうぞ入って下さいですの」


 中に入ると門扉が閉まり、車のエンジンが完全に切れる。執事が先に降りて、黙って俺達の扉を開けてくれる。俺達が降りると、その豪邸は4階建てで、屋上にはテラスがある。壁色は薄茶色でとても落ち着いた雰囲気を醸し出している。外側にも駐車スペースもあり、とても俺達の住む世界ではない。


「わぁ~。すごい豪邸だね、彩夏たんの家。屋上でパーティーとかやれそうだね。いいなぁ~」

「おい、竹中。そんなふうに庶民全開の台詞言うのやめてくれ」

「え~良いじゃん、別に」


 唇を尖らせる竹中に対し、


「あの、皆様が宜しければここの屋上庭園で、お食事会を致しませんか。これからお詫びも兼ねて、色々お話をしながらで。その皆さんも配信で忙しいかも知れませんが、それで良ければなのですが……」

「おおおっ、良いね、良いね。やるやる、私は大賛成だよ、彩夏たんが良いなら。配信は今日休みだし、ね?」


 うきうきの竹中だが、まぁここは甘えても良いのかもしれんな。何せ本人がめっちゃやりたくて仕方がないって顔だからな。ちらちらとみんなの顔色をうかがって見つめてくるし。


「彩夏たんの家の方に迷惑がかからないなら、甘えて良いのかな?」

「私も昨日朱里とゲリラ放送して今日は予定してないから。彩夏ちゃんとお食事出来るならしたいわね。それにこの兄貴がスケベな事しないか見張っておかないとね」


 おいおい、すみれさんよ。俺は盛った猫でも猿でもないんだぞ。人を何だと思ってやがる。


「わぁっ! では早速皆様入って下さいの。諸々の用意はすぐにメイドさん達に伝えておきますので、今日は皆さんで楽しみますの!」


 彩夏ちゃんに腕を引っ張られながら、俺達は姫柊家へと入ったのだった。

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