蛇足
なぜだかグッと来てしまう、およそ日常生活では使わない言葉というのが物を読み・書く人達にはあると思います。
特に言葉の発祥、バックボーンに、神話や伝承、歴史などが絡んでいると知った暁には、
その言葉が生み出す効果、ともすれば長尺になる文をたった一単語に内包されたときの愉悦、配された文字から醸し出される芳醇さが織りなす筆舌しがたい色香にほとほと打ちのめされてしまうわけです、はい。
と、そういうわけで、スケープゴート、身代わりの山羊です。
どうやらいつもお世話になっているWikipediaさんを筆頭としたwebサイトによりますと、この言葉は聖書由来の言葉らしいです。
聖書は強いです。
海外ミステリーが好きな人間にとって、キリスト教は切っても切り離せません。
しかも、山羊は生贄の代表格です。生贄は古今東西あらゆる創作物へインスパイアを与えたトップランナーの一人です。
ちなみに、由来となった聖書の中の儀式では、山羊は2頭いて、そのうちの1頭は神様への供物としてささげられて、もう1頭が人々の罪を背負って荒野に放たれるらしいです。こちらの山羊がスケープゴートの語源にあたります。
なんで無関係の生命体に自分の罪を背負わせることができるのかいまいち僕には納得できないのですが、このお話の副題でもあります「信じる者は救われる」ということなのでしょう。
やけに金銭的悲劇に遭う容姿端麗な異性のお知り合いがいる方も、
宗教だけが自分を救う唯一の方法なのだとその他すべてを犠牲にする人も、
それから「俺」の友人も。
友人は生粋のオカルトマニアで、それが度を越えていることが最後明らかになりました。
友人は「俺」を生贄にすることで自分の知的好奇心を満たそうとし、未来を聞いた「俺」は正当防衛の果て狂人と化した友人の代わりに罪を背負うこととなってしまった
__本当でしょうか?
友人は「俺」の殺害を計画するほど熱心な超自然現象の信奉者だった。
違和感がありました。
だとしたら、なぜ、友人は俺に確定未来の音という超常現象を体験させたのだろう?
来週末には「俺」を殺害するつもりだったはずだ
じゃあ、もしかしたら「俺」は自分が殺されることを知ってしまう可能性はあるし、残された期間から考えるとそれは決して低い確率ではないだろう。
友人は超常現象の類を信じていたはずだ__そのために「俺」を殺めるつもりだったのだから
なんでわざわざ計画が失敗する危険性を犯したのか?
確定未来の音なんて事象の検証は別に「俺」じゃなくても、正直誰にでも試せる類のものだ。
表向きは睡眠導入動画なのだから、人に勧めづらいものではない。__少なくとも人目のつかない山奥に連れてくるのよりははるかに簡単だ。
、、、
僕を彼のことを考えました。
心配性で、友人は一人だけいた。
その友人は少々変わった趣味を持っていて、彼はおそらく一番間近でその影響を受けていた。
受動的で、他責思考の傾向が見られるひとりの少年の姿が浮かびました。
それからこう思ったんです。
結局スケープゴートにされたのは一体だれなんだろう、と。
最後まで読んでいただきありがとうございました!




