三聖剣捜索
捜索隊は三聖剣のありかを見つける事は出来なかった。結果だけを申せばこの一文で完結するのだが、この三週間に渡って行われた三聖剣捜索が無駄ではない事を証明する、あるものが良好からKDAOの考古学博士ノーセンに渡された。それだけではなく、ある重大な事実も判明した。
後にもう一度捜索部隊を編成してチャレンジする事になるのであるが、三聖剣は洞窟の最下層(100F)に3本まとめて存在する事も分かっていた。今回三週間で洞窟のありかは分かっている。頑張って13~14Fまでは辿り着いてはいたが、良好の判断で引き返して来た。引き返して来た理由は単純明快である。人数が多すぎたのである。縦に並ぶだけで2、3フロア位にはなる人員の多さが100階まで行く事を困難にしていた。また、1フロア毎に現れる守護像の化け物も手強かった。
このように、未収穫とは言え分かった事もあった為、決して無駄ではなかった事はお分かり頂けるでだろうか。ノーセンは良好から受け取った一冊の文献と格闘をし続けていた。それは、11階層の宝箱から持ち帰った唯一の戦利品であった。「スリーセイントソードオブシークレット」と言う題名の本らしいのだが、表紙には「SSSOFS」と表記されていて、良好にはさっぱりチンプンカンプンであった。だが、ノーセンの不眠不休の解読作業で、三聖剣の概要が分かったのである。
風の属性を持つ短剣「フーセイバーズ」、炎の属性を持つ長剣「エンゼリウゲル」、氷の属性を持つ「ヒョウズマイル」の三剣であった。誰がどの剣を使えばいいのかまで、ノーセン博士は読み解いていた。フーセイバーズは、接近戦を苦手とするクラウドボーガンの使い手、イエロータイガー・ゼバスチャノス。エンゼリウゲルは、ブラックホール・レグムートのムラクモソードとの二刀流。ヒョウズマイルは、槍使いのバルザンを凡庸ユニットにしてくれるとノーセン博士は言った。
この情報は手に入れてから直ぐに使えると言う利点があった。問題は、いつ二次的捜索隊を開始するかであった。もたもたしていたらSSTTに持って行かれかねない。ただ、要員の拡充には事欠かなかった。それは、対SSTT戦を平行して続けても全く問題無い事であった。良好とその部隊の話からして、100階層に到着するだけの力はある様だ。ただ、洞窟の最下層への往復は2ヶ月程かかるため、戦力バランスを考えると、良好を捜索隊長にして良いのかは少し不安材料ではあった。だとすれば幹部クラスでは、バルザラント少将以外にこの重大なミッションをこなす人物を捜すのは難しかった。




