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序章
どこまでも広がる蒼い空と海。
大陸から遠く離れた東の果てに小さな島国があった。
四季というものが存在しない国が多いこの世界で唯一、四季が存在する二、三年もあれば一周出来るのではないだろうかと思うほど小さな国。
春になれば沢山の桜が咲き乱れ、夏には向日葵や紫陽花、秋には秋桜が咲いて木々が紅く染まり冬は植物が雪化粧して椿や山茶花が真っ白な世界に赤を添える。
専門の学者が調べれば千どころではない種類の植物が芽吹き、時期になれば色鮮やかに花を咲かせ、実を付ける。
大陸から遠く離れているがゆえに独自の文化を作り上げ、時に隣国や大陸からの文化を取り入れて作られた国。
年間を通して様々な植物が彩る多彩な国を大陸に住む国の人々はこう呼んだ《自然に愛された国》と。
いつしか島国に住む人々は百花よりも沢山の花を咲かせるこの国を誇りを持ってこう名付けた。
千花を咲かせる国──《千花国》と。




