病院にて
こんにちは,紫雀です。
昨日、病院で診察を受けて支払いをすませ、いざ帰ろうと
車の鍵を探したら、あるはずの鍵がどこにもない。
『うっそーん!しか麿がいない!』
しか麿は奈良のゆるキャラで、しょっちゅう鍵を失くす私の為に
旦那様がキーホルダーにつけたぬいぐるみの事だ。
事務方、検査技師、ドクター、果ては扉を直しに来ていた業者さんまで
巻き込んでの大捜索となった。
検査で一緒になったイケメンの患者さんも心配して探してくれた。
時間ばかりが過ぎていく。
待合に午後の診察を待っている患者さんが三人いた。
中の一人がにやにや笑いながらこの捜索劇を見ていた。
中年の女の人だった。
私の失態で時間を無駄にするのが申し訳ないので
支払いを終えたイケメンさんに、帰ってもうらうよう声をかけた。
「あの、どうぞ、お帰り下さい。探してくれてありがとうございました。」
「でも、見つからないと帰れないんだろ。もう少し探そうか」
「帰れないですね。でも、大丈夫。なんとかします。」
「お体大事にしてください。」
「あっ、ああっ。そうですね」
思いがけない言葉だったようで彼は照れたように笑った。
もう一度、お礼を言って玄関まで見送った。
彼の前では笑って見せたが、内心は脳内修羅場。
だって、ホルダーにはシェルの電子マネーの EasyPayまでついている。
(クレジットカードを登録して使うポストペイ型電子マネーの事)。
クレジットを停止して、このまま歩いて帰って車のキーを……
だめだ。ホルダーには家の鍵も一緒についてる。家に入れない。
なんて事を考えていると、例の女性は名前を呼ばれたのか、
応接セットのような豪華な椅子からツイっと立ち上がり
診察室の中に消えて行った。
彼女のにやにや笑いが気になって座っていた椅子を覗き込むと
なんと、そこには「しか麿」の姿があった。∑(゜Д゜)
(-_-メ……わざとかよ。
人の不幸は蜜の味。さぞかし甘かった事でしょう。
以上、紫雀の体験談でした。