胃カメラ 目は口ほどに……
こんにちは、 紫雀です。
某年、某月某日 ある病院で人間ドックを受けました。
最近、下腹部が痛いので胃の検査は原因を知るために
バリウム検査じゃなく胃カメラを呑むことにしました。
知らなかったけど、胃カメラって、めっちゃ拷問。
体をベッドに横たえ、顏を横に固定されて口は開けっ放し。
よだれ受け用のトレイを用意され内視鏡を口からつっこまれる。
胃の中は空っぽだから、はく物なんて何もないのに
胃からせりあがってくる嘔吐感。
のどを越さない内視鏡がようやく喉を通りすぎた時の
気持ち悪さは例えようもない。
知らず知らずに目が潤む。
麻酔なしでの検査なので当然意識はある。
自分の胃腸をくまなく見せられ十二指腸まで来た時、
医者は鬼の首でも取ったかのような喜色満面な笑顔でこのようにのたもうた。
「あっ、十二指腸潰瘍ありますね。これですよー」
湯にといた片栗粉のような白濁したしろい壁面に
気泡が混じったような画像。
『何かあるとは思ったけど潰瘍だったのか。
道理でお腹痛いと思ったわ』
感想はその程度だった。原因はストレス、ピーンときた。
潰瘍があるとわかったんだから、薬の処方をしてもらえると思っていた。
でも甘かった。
すべての検査が終わった後で医者が言った。
「来週、もう一度胃カメラしますから」
『えっ、なんでぇー?写真撮ったんでしょ、内壁の組織まで取ったくせに
検査が不十分だっていうの?他に癌でもあったって言うの?』
もう嫌だー、あんな検査。誰だよ。胃カメラって病巣はすべて
解るし一回で済むからって言ったの……。
充分な説明もないまま次の週に再び胃カメラを呑むことになった。
でも、やりたくない。やりたくないまま一週間が過ぎ
当日、嫌々ながらもう一度受けた。
一回目の検査は覚悟できてたので我慢できた。
でも、二回目は、覚悟もへったくれもなかった。
検査で新たな病巣を見つけることはなかった。
検査後、私は幽鬼のようにふらふらと立ち上がり
射貫くような眼で医者を睨みつけた。
「お疲れさまでした。」と笑顔で言う彼は
般若の形相で見つめる私の視線に恐れをなし、
「ヒッ」と短い悲鳴を上げると一心不乱に謝り始めた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
私は一言も発していなかった。
しかし、目は口ほどにモノを言ったらしい。
いくら検査の点数が高く病院が儲かろうが、
短期間に同じ検査を二度は必要ないでしょう。
検査なんて、患者には苦痛でしかない。
医者も病院の利潤追求ではなく
患者の立場に立って診察をすべきだ。
私の視線で言いたいことがどこまで伝わったのかはわからない。
でも、眼力ってすごいと思った出来事でした。
以上、紫雀の体験談でした。