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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード24(シーズン2 エピソード10) 『ラーメン』
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レーションよりも美味しいものを・前編

エピソード24

◇本作品は「FORSE」とのクロスオーバーですが、基本読んでいなくても問題ありません。

 その少々騒がしい二人組が入ってきたのは、ある昼下がりのことだった。

 扉を少々乱暴に開けてきたので、ドアにつけられていた鈴が強めに鳴り響いた。だからこそ俺は、その人間に気付いたのだけれど。


「だから言っただろ、グラム! このままだとまずいって! どうするんだよ、あんなでっかいメタモルフォーズをどうするつもりだよ!」

「いいからサリド、落ち着けよ。落ち着くためにこの部屋にやってきた。そうだろ? ここなら人の気配もないし……ん?」


 二人はそこまで会話をして、ようやくここの気配が、その場所とは違うことに気付いたらしい。

 ああ、迷い込んだのか。

 迷い込む。俺はそう呼んでいるのだが、時たま別の世界から偶然に迷い込んでしまうケースがある。ふつうはボルケイノが出している世界の扉から入っていくのが殆どなのだけれど、ボルケイノが偶然繋がってしまったことによって入ってしまうケースもある。


「……敵か?」

「いや、解らない。それにしてもこんな部屋に繋がっていたのか?」

「いらっしゃいませ、空いている席にお座りください」

「……お店?」


 俺がその言葉を聞いて、ようやくその意味を理解してきたらしい。

 一先ずサリドとグラムといった男二人はカウンターに隣同士で座ることとなった。


「ちょっと待っていてくださいね。……たぶん、少ししたらやってくると思うんで」

「ここって食事処なの? だったら別にレーションより美味しければ何でもいいけれど」

「あのレーションより不味いものはねーだろうよ。だって消しゴム味だぞ。味が一切しない、クソみたいな味付けだ。戦場の娯楽を一切奪っていやがる。あんなものはこの世から殲滅しちまったほうがいい」


 レーション……確か戦場で使われる戦闘員用の食料だったか。確かやる気を削ぐために味を薄くしているのかな? なんというか、面倒なことではあるけれど。そんなことよりも、もう少し美味しい味付けにしてやればいいのに。


「レーションより美味しいものは、たいていのものが含まれているから、別にハードルとしては低過ぎない? うそ、私のハードル低過ぎ……、ってレベルだよ」

「そういうもんかねえ……。ああっと、それにしてもちょっと汚れ過ぎているかな。大丈夫? ちょっとさっきまで汚い場所を歩いていたからな。もしあれだというなら汚れを流すことも可能だけれど。場所さえ提供してくれれば」

「いえ、別に問題ありませんよ」


 あとできれいにするのは俺だけどな!

 それはそれとして。

 いつになったらメリューさんは食べ物を持ってくるのだろうか。そう思いながら俺は厨房のほうを見ると、


「ケイタ! できたからちょっとこっちに来てくれ!」


 メリューさんの声が聞こえたので、水のお替りを注いでからそちらへと向かった。


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