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亜人会議 準備・中編

「亜人会議、出るんですか?」


 俺はメリューさんに問いかける。

 対して、メリューさんは失笑して立ち上がると、


「一応言っておくが、私が出るのは料理担当として。まあ、給料がそれなりにいいからな。……ケイタが見ても解らないかもしれないが、給料が出る。しかも、一人にここの一か月分の稼ぎ並みのお金が貰えるとなると、出るしかないだろ。材料費もあちら持ちというのだから、猶更だ」


 一か月!

 それはメリューさんが行きたがる理由も分かる気がする。

 だって一か月分貰えればそれだけでボルケイノの経営が安定するだろうし。


「……それで、だれが行くんですか。まあ、メリューさんは当たり前ですけれど」

「私と、リーサと、ケイタ。それで充分かな。ティアはあんまり外に出られないし、サクラもあんまり異世界に出すのはね……。本人は行きたいと言うかもしれないけれど」


 確かに、それはあまりしないほうがいいと思う。

 亜人会議がどういう場所なのかはっきりとはしないが、『会議』という名前がついている以上、いろいろな人種の亜人がやってくることは間違いない。まだ異世界に対してあまり免疫が無いサクラを連れていくのはリスクが高い。


「……それでいいかしらね。私はそれでいいと思っていたけれど、一応同じ世界の人間であるケイタの話も聞いておこうと思ってね。まあ、ケイタのその様子だとそれで問題ないようだけれど」


 そう言って手紙を受け取ると、封筒に仕舞った。


「チケットは三枚しかないからね。全員連れていくことは出来ないのよ。ボルケイノの管理の問題もあるし」

「成る程。ちなみに、亜人会議はいつからですか?」

「来週かな」

「来週ですか。それじゃ、告知しておかないといけませんね。メリューさんが居ないと、お店が回らないですし」

「それもそうね……」


 メリューさんは溜息を吐いて、カウンターの奥へと向かう。

 厨房のテーブルに封筒を置いて、そのまま厨房へと姿を消した。



 ◇◇◇



 あっという間に、亜人会議の前日。

 出口は亜人会議が開催される場所に一番近い場所が設定されているらしく、そこからそう遠くないらしい。一時間も歩けば、開催場所である城に到着するのだという。

 メリューさんと俺、リーサはたくさんの荷物を背負って、サクラとティアさんに向かっていた。


「いいなあ、ケイタ。何だか解らないけれど、そんなすごいところに行けるのでしょう? ……羨ましい。美味しいものとか食べられるんじゃない?」

「美味しいものって言うが、その美味しいものを提供するのがメリューさんだぞ。だから、メリューさんが行くんだから」

「あ。そっか。まあ、頑張ってきてね。お土産話も聞きたいし」

「そうだな。期待していてくれよ」

「それじゃ、行ってくる」


 メリューさんの言葉にティアさんはこくりと頷いた。

 そうして、俺たちは亜人会議の開催地であるグラスティア城へと向かうべく、その扉を開けたのだった。


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