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病院からの帰り道、あたしはどっと疲れていた。
いくら知らないとはいえ、
他人である店長にあそこまであけすけに
話をするとは、雄輔さん、信じられません・・・
「何か怒ってんのか?
もしかして、内緒にして密かに付き合いたかったとか?」
ムスッとしたあたしに雄輔さんが運転しながら声をかける。
「密かにもおおっぴらにも付き合うなんて言ってません!
何であんな風に、あんな場所で言えるかなぁ・・・」
あーあ、何かの折に家でポロっと
おばさんにばらされたら、居心地悪いじゃない。
根掘り葉掘り聞かれるのもイヤだしなぁ。
期待されるのももっとイヤだし。
さっさと連れて帰ってきて良かった・・・
また余計なことばらされても困るし・・・・
はぁ・・・・
何だか気が重い・・・・・
「なぁ、そんなにオレのことイヤか?」
考えに浸っていたあたしは、いつしか車が
路肩に停車していたことに気付かなかった。
そして、隣に座る雄輔さんが、
いつにない真面目な顔してあたしを見つめていたことも。
「もし、本気で全力でイヤなんだったら
オレも無理強いしない。
けどな、仮にも一晩一緒に過ごしといて
可愛い顔見せといて、嫌なわけねーだろ?」
・・・・・・・
そういうセリフを真面目な顔で語りますか・・・・
「つらい思いしたことも、
これからのことも、全部守ってやる。
一人で頑張るなよ。」
まっすぐに見つめられてそう言われると
どう答えようかと戸惑う。
「守られるようなやわな人間じゃないから。」
目をそらして答えると、雄輔さんは
あたしの頬に手を添えて顔を固定すると
「目をそらすな。ちゃんと向き合え。」
と、無理やり自分のほうにあたしの顔を向けさせた。
その目に逆らえるほどの強さは
残念ながらあたしにはなく、
瞳の奥の強さに、心をギュっと捕まえられてしまった。




