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「家の電話番号は?」
冷静に聞くあたしに
「別に金払うんだからいいだろ。」
と、そっぽ向く少年。
「名前は?」
「・・・・・・・・・・・」
何年生?」
「・・・・・・・・・・・」
ふてくされた態度に、雄輔さんが電話を取った。
「どこに電話すんだよ。」
ふてくされたまま少年が言う。
その目にはほんの少し戸惑いが見える。
「お前の学校だよ。」
「知ってるわけねーくせに。」
バカにしたように横目で見ながら言う少年に
「お前、港三中だろ。」
と、言いきった。
ギョッとしたように少年が目を見開く。
「なんで・・・・?」
「図星みたいだな。じゃ、この時間でも誰かいるだろ。」
と、電話帳を見ながらボタンを押す。
「やめろ!」
電話を切ろうとする少年に、
雄輔さんは受話器を置くと今一度名前を聞いた。
「自分で電話する。」
ふてぶてしい態度でケータイを取り出した少年に
雄輔さんが怒鳴った。
「それが人様に迷惑かけたヤツの態度か!」
「だからオレが何迷惑かけたってんだよ!
金は払うって言ってんだろ!」
「あなたがやったことは、泥棒なのよ。
泥棒は犯罪なの。
返せば罪にならないなんてことは
ありえないの。
それが社会のルールです。分かる?」
ヒートアップしている二人を前に
あたしは静かに話しかけた。
「君がしたことは、明らかに犯罪なの。
未成年の君にその責任はとれない。
だから、保護者に連絡するの。
私から電話するからケータイ貸して。」
渋々、少年はケータイをあたしに渡した。
「で、君の名前を教えてくれる?」
「仲野卓也。」
「ありがとう。じゃ、お家に電話するから。」
シュンとした少年、卓也にそう言うと
あたしは家の電話番号を呼び出し、
電話をかけた。
ほどなく、母親が血相をかけてやってきた。
「卓也、どういうことなの?」
「別に~~~。」
「別にってことないでしょ!まったくあんたは!」
母親は、卓也に向かって怒鳴りながら
「ご迷惑をおかけして申しわけありません。」
と、平謝りをした。
「金払えばいいじゃん。何謝ってんだよ。」
まだそんなことを言う卓也に母親の平手打ちが飛んだ。
「バカ!迷惑かけた上にまだそんなこと言うの!」
いや・・・あの・・・お母さん?




