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きっと漫画なら、あたしの顔にはくっきり
たくさんの縦線が入ってる。
一気に記憶がよみがえる。
ダメだ…恥ずかしすぎる・・・
ベッドから滑り落ちるように逃げようとすると
「んなに慌てて帰んなくてもいいだろ?休みだし。」
って、腕をバシッと掴まれた。
「いえ・・あの・・・これ以上お邪魔しては・・」
とか何とかごにょごにょ言いながら
どうにかして逃げようとしたけど
またベッドに引きずり込まれた。
「いい機会だからさ、ちょっとオハナシしよーぜ。」
って、ニヤッと笑う。
がっつり捕獲された気分・・・・
「何を話しするってのよ・・・はぁ・・・」
しかたなく脱力してため息をついた。
「昨日から俺の話聞いてねーのか!ったく・・・」
「聞いてましたよ!で、断りましたけど。」
「なんで?理由は?」
体をこちらに向けてじっと見つめられる。
至近距離過ぎて目もそらせない。
「好きじゃないから?」
「そこ、なんで疑問形?
で、お前、俺のこと嫌いなの?」
「好きか嫌いかなんて考えたこともない。」
あたしは正直に答えた。
あたしは、機械的に働きに行っていたのであって
恋愛なんてとんでもないと思ってた。
傷だらけの心に、そんな余裕は
どこにもなかったから。
「オレは好きだ。」
じっと視線を合わせたまま、雄輔さんは、はっきり言った。
「なぁ、アイツのどこが好きだった?
っつーか、まだ好きなのか?」
あんた、傷口に塩塗るつもりですか!
プイと顔をそらせると、
いきなりぎゅっと抱き寄せられた。
「アイツ、一緒に女いたよな。知ってるヤツ?」
目は合わなくなった代わりに
グイッと抱き寄せられて
肌が密着しダイレクトにそのぬくもりが伝わる。
「会社の同僚よ。ついでに、社長の娘。」
「へぇ、同僚にオトコ取られたわけか。」
「違うわ!そんなんじゃ・・・・」
「じゃ、なんだよ。」
・・・・・・・・・・・
関係ないじゃない。
あんたにはなにも。
周りみんな、あたしの味方なんてしてくれなくて
奈々美さんは確実に応援があって、
父親の力まで使って邪魔だからあたしを
地方に飛ばそうとした。
たかが恋愛に、何で親の力なんて使うかな。
理不尽でしょ。
しかも何より菊池さん。
正面切って守ってくれなかった言い草が悲しかった。
例え遠距離でもしっかり愛し合ってれば
きっと結ばれたはず。
なのに・・・・
前向きに検討します、だって?
ふざけないでよ。
あたしに対する裏切りでしょ!
あたしの眼には大きな涙が浮んだけど、
でも・・・・と、もう一人のあたしは思いなおす。
目の前の現実からさっさと逃げ出した事実。
努力しようともしないで
何もかも捨てた。
だから、菊池さんともうまく行かなかった・・・
仕方ない。
怒りと悲しみとがごちゃまぜになって
涙があふれ出した。
背中に感じるぬくもりが妙に優しくて
頬に感じる逞しさが暖かくて
やっぱり胸の奥はまだ痛いけど
それでも何だか別の暖かさが胸の奥に
ホワンと灯った。
好きじゃないけど・・・
このぬくもりはなんだか落ち着く・・・・




