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さくら咲く  作者: みほ
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片桐さんがカリカリしてる。


あたしはほんとにそんな気はないと言っているのに


雄輔さんが有無を言わせず


あたしを連れだしてから


「やっぱり嘘つきじゃない・・・・」


なんてピリピリ。



雄輔さんは雄輔さんで


あの後、特に何も言ってはこないけど


何だか不機嫌だ。



しまいには、


「あーーーーもう!めんどくせー!」


なんて時々ぶつくさ言ってる。



・・・・・・・・・・・・・


これはさすがにマズイ。


空気悪すぎる。


どうしたらいいかな・・・・・なんて考え始めているあたしは


自分でも気付かないうちに


前向きな姿勢になりつつあった。



何したらいいかよく分かんないけど


取り合えずお茶くらい入れてみようかな。


昔は毎日入れてたっけ・・・・


そう思いながら、丁寧にお茶を入れて見た。


そしてその横に、小さなチョコを一つ付けた。



お客さんの波も途切れ、交代で休憩をとる時、


片桐さんと雄輔さんに声をかけた。



「テーブルにお茶入れました。


良かったら飲んでくださいね。」



ここで働き始めてから、お茶なんて初めて入れた。


片桐さんが少しびっくりした顔してる。



「サンキュー。」


雄輔さんも、少し驚いたようだったけど


「ちょっとのど乾いてたんだ。


飲んでくるわ。」


と、事務所に入って行った。



そして、


「うまかったよ。ありがとな。」


ってニッコリ笑ってくれた。



今までもみんなああ言って笑ってくれてたっけ・・・


あたしはみんなのその笑顔が好きだった。


そして、菊池さんの一言が嬉しかったんだ・・・



ふと思い出して、また涙腺が崩壊しそうになったけど


何とか持ちこたえた。


そろそろもう、忘れなきゃね。




退社してかれこれ約1年がたっていた。


この日、あたしはやっと、ほんの少し前に進めた気がした。


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