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さくら咲く  作者: みほ
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35/110

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おばさんの車に乗せられて


やってきたのは美容院。




「さ、すっきり切っとくれ。


あんたに希望がないならベリーショートで。」


いやいや、おばさんちょっと待ってよ・・・・


「あの、肩の長さくらいにお願いします。」


イケメンの美容師さんがニッコリ笑って


「ちょっと、何だか病み上がりみたいねぇ。


元気出るような髪型にしましょうか。


あたしにお任せしてくれるぅ?」


って言った。




・・・・・・お兄さん・・・ですよね・・・?


何だか口調が・・・・・




「やだぁ、なんて顔して見んのよぉ!


照れるじゃない♪」


・・・・・・・やっぱり・・・・?




おばさんは、隣の席に座ってのんびり


雑誌なんか眺めてる。




あたしはあきらめて


「じゃ、おまかせします。」


と、ため息交じりに言った。




なんつ―変な人・・・と思ったけど


ハサミを持って仕事に取り掛かった途端


その表情は一転して真剣なものに変わった。




眼つきが違う。表情が違う。


仕事してる人の顔だ・・・・




思わず凝視した。仕事のできる菊池さんを思い出す。


彼もこんな表情で仕事してた・・・・




つー―――と頬を伝う涙に


美容師さんはびっくりしてハサミを止めた。




「どうしたの?どこか痛かった?


あたしの腕、泣くほどひどかったかしら・・・」




カットしてもらっていたおばさんが


隣から声をかけた。


「ああ、その子は気にしなくていいよ。


あんたがあんまりカッコよくって泣けたんだろうよ。」


「やだぁ、そんな正直なこと言ってぇ♪」


思わず噴き出してしまった。


ギャップありすぎ・・・・




「ま、いろんな人が世の中いるんだよ。


この子、ちょっと弱ってるから


気にせず続けてやっておくれ。」


おばさんの言葉に、またハサミが動き始めた。




あたしは、今度は終わるまで目を伏せたままでいた。


記憶を封印するかのように。


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