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おばさんの車に乗せられて
やってきたのは美容院。
「さ、すっきり切っとくれ。
あんたに希望がないならベリーショートで。」
いやいや、おばさんちょっと待ってよ・・・・
「あの、肩の長さくらいにお願いします。」
イケメンの美容師さんがニッコリ笑って
「ちょっと、何だか病み上がりみたいねぇ。
元気出るような髪型にしましょうか。
あたしにお任せしてくれるぅ?」
って言った。
・・・・・・お兄さん・・・ですよね・・・?
何だか口調が・・・・・
「やだぁ、なんて顔して見んのよぉ!
照れるじゃない♪」
・・・・・・・やっぱり・・・・?
おばさんは、隣の席に座ってのんびり
雑誌なんか眺めてる。
あたしはあきらめて
「じゃ、おまかせします。」
と、ため息交じりに言った。
なんつ―変な人・・・と思ったけど
ハサミを持って仕事に取り掛かった途端
その表情は一転して真剣なものに変わった。
眼つきが違う。表情が違う。
仕事してる人の顔だ・・・・
思わず凝視した。仕事のできる菊池さんを思い出す。
彼もこんな表情で仕事してた・・・・
つー―――と頬を伝う涙に
美容師さんはびっくりしてハサミを止めた。
「どうしたの?どこか痛かった?
あたしの腕、泣くほどひどかったかしら・・・」
カットしてもらっていたおばさんが
隣から声をかけた。
「ああ、その子は気にしなくていいよ。
あんたがあんまりカッコよくって泣けたんだろうよ。」
「やだぁ、そんな正直なこと言ってぇ♪」
思わず噴き出してしまった。
ギャップありすぎ・・・・
「ま、いろんな人が世の中いるんだよ。
この子、ちょっと弱ってるから
気にせず続けてやっておくれ。」
おばさんの言葉に、またハサミが動き始めた。
あたしは、今度は終わるまで目を伏せたままでいた。
記憶を封印するかのように。




