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あれ以来、菊池さんとはきっちり連絡を絶った。
話なんてない。
仕事も恋人も失ったあたしは
まさにどん底だった。
信じるものも、夢も希望も、
生きる望みさえないほどに
菊池さんの裏切りはあたしの心をぶち壊した。
幸いというか、何というか、
会社には自宅の住所や電話番号など
一切残していなかったため
会社関係の連絡が来るのは
転送されてくる郵便だけだったから
直接話すこともなく、誰かがやってくることもなかった。
実家に帰ってからのあたしは、まるで抜け殻のように
部屋に閉じこもり、
親が作ったご飯を辛うじて食べ、
話もせず、テレビも見ず、本も読まず
布団に潜り込んだままで一日を過ごした。
仕事を辞めたことは親には伝えた。
実家にお世話になることを伝えただけで
涙腺の崩壊したあたしに
両親は何も聞かず、
『落ち着くまでゆっくりしなさい。』
とだけ言った。
多分、表情も態度も、おかしかったんだと思う。
日頃頑張っていたため、相当反動は大きかったらしく
あたしは、自分から何もしようとしなかった。
出来なかった。
動けなかった。
『お願いだからごはんだけは食べて頂戴。』
やつれたあたしに母が悲壮な顔して言った。
だから、贅沢な話だとは思うけど
出されたものだけは食べた。
そんな生活をしていればもちろん、
一カ月ほどで歩くのもおぼつかない
廃人同様のあたしが出来ていた。
お母さんが泣いている。
どうしてこんなことに・・・って。
かわいそうだとは思うけど
あたしはき力が全くわいてこなくて
頑張るからなんていうことはできそうになかった。
親が、病院に行こうかと言い始めたある日、
いきなりあたしの部屋のドアが勢い良く開き
「いつまで甘えてんだよ!
人間、気力さえあれば何だって出来んだ。
あんたはもう十分休んだ。
とっとと着替えて部屋から出なさい!」
えらい剣幕でやってきたのは
近所に住む叔母さん。
小さい頃からよく面倒を見てもらっていた
大好きなおばさんだった。
今までにないいきなりな展開に
びっくりしたあたしは、
おばさんに押し付けられた服を手に取り
呆然とおばさんを見つめた。
「何だい、着替えも出来ないのかい?
手伝ってやろうか?」
慌ててあたしは服を着替えた。
それだけでふらつくあたしに
「情けないねぇ。しっかりしなさいよ!」
と、強引に家から外に連れ出したのだった。




