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彼氏なんて2度と作らない。
そう決心した。そう、あの日・・・・
菊池さんとあたしは、上司と部下だったから
いつも同じフロアにいた。
毎日顔を合わせて、同じプロジェクトに取り組み
二人は同じ気持ちで頑張っていると
疑ったことはなかった。
忙しい日々だけど、気持ちはちゃんと
つながっていると信じていた。
ある日、あたしたちの部署に一人の社員が配属された。
北条奈々美。
彼女は、あたしより一つ年下。
だけど、あたしとは正反対だった。
きれいに手入れされたネイル。
完璧なお化粧。
お人形さんのように可愛い彼女。
彼女に仕事を教えるようにと頼まれて
あたしは、様々な事務と、自分からやっていた雑用も
彼女に伝えた。
「それって、あたしたちの仕事なんですか?」
その一言で、バッサリあたしの意図を無視し
自分の意思を通す。
彼女は、ゴミ捨てや用紙補充は
別の誰かの仕事と認識していたらしい。
まして、お茶なんて自分で入れたらいいと
そう言った。
そうなんだけどね・・・
そういうもんじゃないと思うんだ・・・
あたしの想いは彼女には伝わらなかった。
そして、日に日に菊池さんへの
熱い視線が目に余るようになってきた。
あたしの彼氏なんですけど。
面と向かって言いたかったけど
そんなこと言って喧嘩しても
仕事に差し障りが出るだけ。
そう判断して、あたしは黙っていた。
「菊池さんみたいな人のお嫁さんになりたいです!」
人目もはばからずそうのたまう奈々美さんに
周りのみんなも言う言葉が見つからなかった。
菊池さんも苦笑い。
「俺は彼女いるから。」
そうはっきり言ってくれていたので
あたしは安心していた。
「見てらんないですねぇ。
ガツンと言ってやったらどうです?」
同じ部署の同期、陽太くんが
そう言ってくれたけど
あたしはそんなことはしなかった。
「憂さ晴らしだったら付き合いますよ。
課長、今日も遅いみたいだし。」
陽太の申し出になにも思わず乗ったのは
あたしのミスだったかもしれない。
晩御飯を食べに行った居酒屋で
陽太と楽しく飲んでいるとき
ガラッと戸をあけて入ってきたのは
菊池さんと奈々美さんだった。
仕事遅くなるんじゃなかったの・・・?
「まぁ、偶然ですね。
すっごい楽しそう!
邪魔しちゃ悪いですから向こう座りましょ。」
そう言って奈々美さんは菊池さんの腕を引いた。
「どういうことだ?」
菊池さんの声に棘が混じっている。
「ご飯食べに来ただけだけど?」
「それにしちゃ楽しそうだな。」
・・・・・・・・・・・・・・
あたしたちのすれ違いの始まりだった。




