彼女。
「俺彼女出来たわ。」
大学の帰り道隣のそいつが自慢げに話しかけてくる。
そいつ、Aは俺とはいわゆるオタク仲間というやつで俺もAも見た目通りの陰キャだ。
そんなわけで二人して彼女どころかまともに女性と話すこともできない。と思っていたが、どうやら違ったらしい。
「は?彼女?いつから?どこで?」
食い気味に話に乗る俺にまぁまぁ。となだめるように手を動かす。得意げなAの表情に内心イラつきを覚えながらも冷静に話を聞く。
「いつだったかなー、あんまり覚えてないけどきっかけはネットだよ。」
ネット…、今の時代出会う方法はネットが大半か。だとしても、女性と関わる機会の少ない俺たちが付き合うまでたどり着くとは思えなかった。
そいつの見た目は陰キャなのはもちろん、体つきもかなりふくよかでお世辞にもかっこいいとは言えない見た目をしている。かくいう俺も自慢できる顔はしていないんだけど。
「ネットって、じゃあお前の顔見たうえで付き合おうってなったわけ?」
訝しげな表情をしながら聞く俺にまたもや得意げな表情を浮かべ
「もちろん。俺のことかっこいいって言ってくれてるんだ。」
とスマホを見てはにやにやとしている。
同志だと思っていたAに彼女ができたことへの苛立ちか、裏切られたと思う悲しみかわからないがそれ以上その話を聞く気にはならず、
「あ、そう」
冷たくひとこと返した。そんな俺とは裏腹に
「そうだ。これから彼女とデートなんだけど、お前も見に来る?」
と相変わらず楽しそうなAにこれ以上みじめな思いをしたくない気持ちと、それだけ自慢するなら相当可愛い彼女なんだろうなと思う好奇心が入り混じりながら
「行く。」
と返事をしていた。
鼻歌を歌いながら楽しそうに歩くAの少し後ろを歩き着いていくとそいつの家が見えた。
家デートかよ。密室で見せられるイチャイチャほどみじめなものはない。俺は半分後悔しながらもここまで来たからと、腹をくくりAの部屋へ足を踏み込む
依然鼻歌を歌っているAをため息をつきながら眺めていると、目の前に大きなモニターがある椅子を引き、どすんっと腰掛けパソコンを起動させる。
「おい、これから彼女来るんじゃねぇの?」
ようやく口を開いた俺に不思議そうな顔をしながらAが振り向く。
「え、俺が行くんだよ。」
Aはこれからどこに行くんでしょうか。




