表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第一部 新世界~リーザス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/75

7話 リーザスの街 ドワーフ族のロンド

ようやく街へ入ることができたハルト達であったがもう既に問題があった。


お金がない。


「リーザスの街へようこそ!お二人さん!見ない顔だね!ランドボア肉の串焼きを1本どうだい!?この街の名物だよ!!」


目の前で焼かれている久々に目にする肉。

焼ける匂いも鼻腔をくすぐり、2人は肉の匂いで涎が止まらないが、金がないので泣く泣く断った。


街には念願の肉や魚が至る所に売っている。

大通りを歩いていると、度々先ほどの様に声をかけられるが金がないので買えない。


二人は待ち焦がれていたそれらを見て涎を垂らしていた。


「ご主人様ぁぁぁ……!お肉ぅぅ……」


ルナが涙を浮かべた辛そうな顔を浮かべつつハルトの袖を引っ張る。

だがしかし、何度も言うがお金がないので何も買えないのである。

ハルトは何とかルナを説得し、二人は肉や魚の誘惑を堪えつつ街中を歩いていた。


ルッツ達に会えたらご飯をおごってもらえる……。

そこまでは我慢……と自分に言い聞かせ、二人は凶悪な匂いに必死で耐えていた。



そこに1人の男が声をかけてきた。


「兄ちゃん……!その武器ちょっと見せてくれねぇか!?」


声のする方を振り向いたが誰もいない。

と思ったら目線を下げるとそこに声の主が居た。

子供くらいの背丈で逞しいひげを蓄えたガタイのいい男がハルトの刀を眺めて興奮していた。


「見るだけなら別に構いませんが……。あなたは?」


「おっと、申し遅れた。俺は鍛冶師のロンドってんだ。見ての通りドワーフさ。そこの角を曲がったところに俺の店があるんだが、そこでこの武器をじっくり見せてくれねぇか!?」


へぇ。この世界にはドワーフもいるのか。

特に行く当てもないし、冒険者ギルドにすぐに行く必要もないしいいかな?



ロンドについていき店に入ると、そこには様々な武器や防具が置いてあった。

ロンドは武具職人のようだ。


なるほど。

武具を制作している鍛冶屋なら刀は珍しいので食いついたのは無理ないかもしれないな。

あっちのせかいでも日本の刀は武器としても美術品としても高い価値を誇っているしな。


「どうぞ」


ハルトが店のカウンターに腰から抜いた刀を置くと、ロンドは興奮しながら見入っている。

ロンドは刀を手に取り、鞘から抜くとぶつぶつとつぶやきだした。


「この刃はなんだ!?こんなに綺麗に拵えられた刃物は見たことねぇ……。それにこの刀身は受ける側は柔らかく、切る側は鋭く硬くなっているのか……。こんな見事な武器は見たことがねぇ……!鞘もただの刀身を納める筒じゃなく、反った刀身をしっかり保護する形状、そして見事な装飾!!もはやこれは1つの芸術品!!!どうやって作ればこんなものが出来るんだ!?」


ははは……。

ハルトはロンドが早口で興奮する姿を見て、好きな物について語るときだけ饒舌で早口になるロボットアニメ好きの友人を思い出した……。


日本刀なんて珍しいだろうからなぁ。

でも俺に作り方を聞かないでくれよ。

俺も日本刀の作り方なんて何となくしかわからん!

砂鉄と木炭を混ぜて精錬してできた玉鋼を折り返し鍛錬で鍛えるんだっけか?


「なぁ……こいつを俺に譲ってくれねぇか?代金は言い値で払う!……って無理だよなぁ……」


武器はこれしかないし、日本刀なんて珍しい物を自分が持ってるのが広まるのは避けたいけど。

同じものならまた加護の力で作れるし、これは思っても見ないところでお金を得るチャンスが!!


お金が得られるということは!!

二人はそう思って顔を見合わせて頷いた。

そして心の中でこう思った。


『『肉が食える!!!』』


「……どうぞ!こんなもんで良ければ!」


予想外の返事にロンドは逆に驚いていた。


「え!?ほんとにいいのか?」


「ああ!」


ハルトとルナはニコニコしていた。


「しかし、譲ってほしいとは言ったが……。この剣にいくらの値を付けたらいいのか俺にははかり知れねぇ……」


ハルトは冒険者登録の代金と肉が食えるお金さえあればよかったので即答した。


「じゃあ、銀貨16枚と数日分の二人分の宿代と飯代でどうです?」


「へ……??いやいやいや!安すぎるだろう!」


逆に安すぎてそんな金額じゃ買い取れないと言われたので、この人なら話しても問題ないだろうと思い、事情を説明した。




金がなければ何もできないので、自分に利のある安価な取引を断ったロンドの気の良さを信用して転生したことや加護の力のことなどを説明した。


「―――別の世界からって……。にわかには信じられねぇが……。こんな武器や製法、それに珍しい黒髪のヒュームとキャトラン。すべてが嘘ってわけではなさそうだが……」


「だから今は肉を食えるだけの金とギルドに登録する金さえ手に入れば俺らはそれでいい!」


「お肉っ♪お肉っ♪」


ルナはもう肉が食えると思ってテンションが上がっていた。


「……なぁ。旦那」


「ん?」


「その加護ってのはなんでも作り出せるのか?」


「んー肉とか魚とかは作り出せなかったな。でも木とか作物は大丈夫だし、意思を持つ生物以外なら大丈夫なんじゃないかな?」


「ちょっとここで待っててくれ!」


そういうとロンドは奥へ走って行ってしまった。




数分後、ロンドは戻ってくると手には何か鉱石を握っていた。


「こいつはミスリル鉱とアダマン鉱ってんだが、それなりに貴重で高価な鉱石なんだ。試しに旦那の力で増やして見てくれねぇか?」


「出来なくはないと思うけどそれって何に使うんだ?」


見たことも無い鉱石なのでしっかり失敗せずに想像するために、どういった鉱石なのか少しでも情報を把握しておこうと思い用途を尋ねた。


「あの棚に飾ってある剣とか槍がそれらを使って作った品だな。鉱石自体が魔力を帯びてるから物理攻撃が聞きにくいエレメント系の魔物―――たとえば、スライムなんかにも有効な攻撃できるぜ」


ロンドが指さした棚にある武器を手に取ってハルトは眺めた。

魔力ってのはまだよくわからないけど、たしかに不思議な力を感じるな。

知らない金属や鉱石を想像できるか怪しいけど一つためしてみるか……。


ハルトは目を閉じて両手を前に出して想像した。


『魔性鉱石と魔法武器生成。 成功しました』



「なっ!なんじゃこりゃああああ!!」


ハルトが目を開けて確認する前にロンドの叫び声が店の中に響き渡った。

見てみるとそこには先ほど見た鉱石の山と、なぜか先ほど見たロンドが作った剣が1本複数生成されていた。


「鉱石だけじゃなく……。俺が打った武器まで……。しかも完璧に俺の武器と酷似してやがる……」


「ご主人様さすがー♪」

ルナはハルトの腕に抱き着いた。


「あー、能力を使うのにイメージするのが大事だからロンドさんが打った剣を思い浮かべながら創造したら鉱石だけじゃなくて剣まで創造されちゃったみたいです。すみません!」


ハルトは故意ではなかったとはいえ、盗作したみたいで凄い罪悪感を感じた。


「いや、まぁ驚きはしたが……」





「それで?日本刀は買い取ってくれるのか!?」


とにかくハルトはさっさとお金を手に入れて肉を食べに行きたかった。


ロンドは神妙な顔をして少し考え込んで口を開いた。


「……そりゃもちろん譲ってくれるなら願ってもないが。なぁ?ものは相談なんだが……。俺をあんたのとこで雇っちゃくれねぇか?」


唐突な話にハルトは驚いた。


「は?いやいや、だから俺お金ないんだってば!人を雇う金なんて――」


ハルトがそう言い切る前にロンドが話を続けた。


「金は要らねぇ。その代わり加護の力?ってのでたまに鉱石を出しちゃくれねぇか!報酬はそれで十分だ。話を聞くにあんたの世界?には二人しかいねぇんだろ?人手が欲しい作業があれば何でも協力する。頼む!」


「こっちとしては助かるけど……。ほんとにいいのか?自然と畑だけで何もない世界だぞ?」


「かまわねぇ。これだけ希少な鉱石が湯水の様に使えるならどんな環境や大金よりも魅力的ってもんさ」


「この世界といつまでも行き来できるのかもまだ分からないんだぞ?」


「もしこっちと気軽に行き来が出来るならここで旦那からもらった鉱石から作った武具を売って金にするし、無理なら無理でも別に構わねぇさ。おらぁこの世界にもう家族もいねぇしよ」


「本当にいいのか?肉もないぞ……??」


「肉……?いや、別に肉はどうでもいいが……。歓迎してくれるってならよろしく頼むぜお二人さん!」


「ルナはいいか?」


「ん?ロンドさんはいい人そうだし私はいいと思うよ?」


「だそうだ。これからよろしく頼むよ」


こうして日本刀から繋がった縁で、なぜかドワーフのロンドがハルトの世界に来ることになった。

そして、先ほどの鉱石と日本刀を譲ることである程度の金額をロンドから受け取った。

ロンドは早速出立の準備を進めるとのことで店に残った。



これで念願の肉を食える!!と、二人は嬉々として街に駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ