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黒い瘴気の獣3

 ――ちゃんと生きるから。


 私がずっと聞きたかった言葉。

ずっと欲しかった言葉。


 やっとここまで来た。

みんなに先へ進んでもらって、チャコの手を引っ張ってここまで来た。


 ここが山の頂上。


 ……私がチャコを引っ張っていけるのもここまで。





 腕の中にある温かい体。

それを一度ぎゅうっと力を入れて抱きしめた後、そっと頭を撫でる。

ふわふわの毛が柔らかい。

小さな狼は私の手を受け入れて、気持ちよさそうに目を細めた。


 ……私も手を離す。


 それはずっと前から決めていた事。

でも、いざその時になると、やっぱりつらくて……。


 いやだ。

苦しい。


 チャコがいないと生きていけないって。

チャコを助けたのは私なんだから私とずっと一緒にいてって。


 温かい体を腕に抱いたまま、ずっと自分のそばに縛りつけていたい。

優しいチャコに縋ってしまいたい。


 ……きっと、友孝先輩もこんな気持ちだった。


「どしたの? 唯ちゃん。」


 私が何も話さないから、不思議に思ったんだろう。

小さな狼が金色の目で私を覗く。


「ううん。ちょっと。」


 その金色の目に笑いかけた後、一度目を閉じた。


 ……それでも友孝先輩は手を離してくれた。


 背筋の伸びた、友孝先輩の背中を思い出す。

苦しい思いを全部背負って。

それでも、友孝先輩はチャコのために手を離したから。


 だから、私も……。


 抱いていた小さな狼の体をよいしょと地面に置く。

小さな狼は不思議そうに私を見上げていた。


「……チャコ。チャコが生きてくれるって言ってくれて嬉しい。」

「うん。……あー。なんか、今更って感じで、すごい恥ずかしいけど。」


 この世界で三年目なんだけどねーって小さな狼がバツが悪そうに後ろ足で首の辺りを掻く。

その仕草がかわいくて、思わずふふって笑ってしまった。


 うん。大丈夫。笑えてる。


「……あのね、これから先、チャコがどうやって生きるかはチャコが決めたらいいから。」

「……うん。」

「チャコの命だから……チャコが決めて。」

「うん。」


 がんばれ。


「おじいさんが生きてたらこの山で生きるっていうのもいいと思ったんだけど……。」

「あー、うん。……できれば、また、あの学校でみんなと一緒に暮らしたいかなー。」

「わかった。」


 がんばれ、私。


「……みんな待ってる。今もあの家でみんな待ってるよ。」

「そっかー……。いやぁ、なんか申し訳ないねー。」


 小さな狼が困ったように小さく首を傾ける。

私はその頭を撫でたくて……。

それを我慢するために、左手で右手をぎゅっと掴んだ。


「チャコ、前に私が言ったの覚えてる? ……誰も選んでないって。それは今も一緒だから。」


 そう。

私はみんなを選ばない。


「私に遠慮しなくてもいいから。チャコが決めていいから。」


 ちゃんと目を見て言いたいのに、ついつい俯いてしまう。


「……チャコが好きな人と一緒に――。」


 生きてね、って。


 そう言って、勇気を出して金色の目を見ようとした。

ちゃんとチャコの手を離そうって。


 心がちぎれそう。

でも、ちゃんとする。


 決意を込めて小さな狼を見た。

でも、小さな狼はなんだか驚いた顔をしていて……。


「……チャコ?」


 私の決意を込めた言葉なのに、なんだか小さな狼の反応はおかしい。

小さな狼は金色の目を大きくして、ぽかーんと口を開けていた。


「……わー。今、久しぶりにびっくりした。」


 小さな狼が呆れたように掠れた声を出す。


「まあ。うん。……唯ちゃんって時々、びっくりするような事言うもんねー。」


 やれやれ、と困った様な声。


「この期に及んで、まだヒロインを譲ろうとしなくても……。」

「……っ。ヒロインを譲るとかじゃなくて、ただ……。」


 金色の目が心底呆れたように私を見る。

私はその目に一瞬視線をさまよわせて……。

チラリと小さな狼を見上げた。


「……だって、チャコ、好きな人いるでしょ?」

「え?」


 私の小さな声にチャコが本当にびっくりしたようにまた目を大きくする。


 ……やっぱり、好きな人がいるんだ。


 その反応がそれを如実に表していて……。

だから、大丈夫、とチャコに伝えるように、精いっぱい微笑んだ。


「友孝先輩が好きなんだよね?」


 うん。知ってるよ。

チャコは友孝先輩が好きなんだ。


 私が確信を込めて、告げた言葉。

だけど、小さな狼はええー! と大きな声を上げた。


「いやー、いや、ちょっと待って、唯ちゃん。今、ステーキに見えてたって話をしたよね?」

「……うん。友孝先輩の事が好きだから、食べたくなかったって話だよね。」

「いや、いやー。そうだけど、そうじゃないよ。あのね、友孝様じゃなくても食べたくないから! その辺にいる人だって食べたくないから!」


 小さな狼はないないって頭を横に振る。

その様子を驚きながらまじまじと見てしまった。

小さな狼の言葉も態度も、そこにウソはないように見える。


 ……友孝先輩じゃない?


 それは予想もしていなかった事で……。

色々あったけど、それでも、チャコは友孝先輩が好きなんだろうって思っていた。

でも。それは違う?


「じゃあ、鋼介君?」


 友孝先輩じゃないなら、鋼介君なのかもしれない。

うん。鋼介君と一緒にいたチャコは楽しそうだった。


 そう思って、ぎこちなくも、小さく笑って聞く。

だけど、小さな狼はそんな私を疲れたような目で見た。


「いやー。いやいや……。今さ、ボコボコに振ってきた所だから。唯ちゃんも聞いてたよね?」

「……あれは、チャコが私のためにってしてくれた事で……。大丈夫。みんな本気にしてないよ。チャコの気持ちを伝えれば、きっと鋼介君だって……。」

「いやー。気持ちって……。」


 小さな狼はショックを受けたように首垂れた。

そして、じっと私を恨みがましく見ると、はあと溜息をつく。


「唯ちゃん、この姿じゃさ、ちょっと話しにくいよね?」


 突然の話題転換について行けず、え、と言葉が詰まる。


 この姿……。きっと小さな狼の姿のことだろう。

確かに、小さな狼と二人っきりで山に座り込んで話しているのはちょっと不思議かもしれない。


「うん。ちょっと変かな。」

「だよねー。……人間になるから。ちょっと待ってね。」


 私の返答に小さな狼が満足そうに頷いた後、グッと金色の目に力を込める。

一瞬の後、小さな狼の体から黒い靄のようなものが立ち上がった。


「よし、こんなもんかなー。」


 黒い靄は一瞬で形を作り上げる。

まばたきをするぐらい一瞬。

目の前にちょこんと座っていた小さな狼は、人間へと姿を変えていた。

ふふんと胸を張り、金色の瞳が自慢げに輝いている。


「どう? 唯ちゃん。これでもうそんな話はできないよー。」


 それは私の知っているチャコとは全然違っていた。


 茶色の柔らかそうな髪は耳が見えるショートのマッシュボブ。

金色の瞳は優しそうに微笑み、薄い唇の口角がニッと上がっている。


 長い黒髪と深いブルーの目じゃない。

顔も美少女というよりも、柔らかい感じの顔に思える。

今までのチャコと違う。

髪色も目の色も、顔も。


 でも何よりも違うのは……。


「……え? ……おとこ?」


 がっちりとした肩幅、程よく引き締まった体には男子の制服を纏っている。

ネクタイを少し緩めて、着崩したシャツの合間から見えるきれいな鎖骨。


 知らない。

こんなチャコ、知らない。


「ほら、本体が瘴気の渦だからねー。」


 制服のまま地面に胡坐を組んで座っている知らない男の子の目が悪戯っぽく輝く。

その声は男の子らしく低いが、どこか優しさを感じられた。


「男にも女にもなれる。まあ、その時の形によって、中身がちょっと左右されちゃうんだけどねー。」


 知らない男の子がイヒヒと笑って説明してくれている。

ニっと笑うその姿を私は呆然と見ていた。


「なんで……。」


 チャコが男?


「だって、唯ちゃんがみんなを選べって言うからさー。これならそんな事言わないよね? 今までは私って言ってたけど、今日からは俺にする。」


 えへへって笑う。

その笑い方はやぱりチャコで……。


 でも、そんなのダメだ。

だって、そうしたら……。


「チャコ……男になっちゃったら、鋼介君に気持ちが……。」

「……唯ちゃん。さっきから『気持ち』って言ってるけど。……あのね、鋼ちゃんへの気持ちを言葉として表すなら、『友達』だから。一片のくもりもないから。」


 知らない男の子が私の言葉をばっさりと切り捨てる。

私はなんだかすごく焦ってしまって、目をさまよわせながら、言葉を続けた。


「……じゃあ、友孝先輩は……。」

「えーえー。またそこに戻るの? あのね、唯ちゃん。そもそも女の子の姿になってたのは友孝様に言われてただけだから。」


 そういえば、二度目の時、友孝先輩が『同性であれば、親密になるのも簡単だろうと思った』と言っていた。

チャコは女の子だから女の子になっていたわけじゃない。

友孝先輩が妖雲の巫女に近付くために女の子になるように言って……。

チャコは命令を守っていて……だから女の子で……。


「友孝様がさ、さっき任務達成って言ってたし。自由にしていいんだよね? ってことは、もう女の子になる必要もないしねー。」


 確かに、先ほどチャコが消える時、友孝先輩は最後に『任務達成だよ』ってチャコに告げていた。

つまりそれは妖雲の巫女に近付くように女の子になる必要がないっていうことで……。

命令がなくなったから、女の子である必要はなくて……。


 懸命に頭を働かせるんだけど、あまりの事に頭がなかなか言う事を聞いてくれない。

なんだか胸が痛いくらいドキドキしてきてしまって、焦る。


「ねね、唯ちゃん。小さな狼を鞭でバシバシ打って、じいちゃんに剣を突き刺しながら、女子高生になってって言う男の人ってどう思う?」

「えっと……。」

「それでさ、跪いて、血を舐めろって言うんだよ? ……俺は思ったね。あー、これ変態の人だーって。」


 闇だよ、闇。って知らない男の子が肩を竦めた。


「……っ先生は?」

「えー。それも? さっきボコボコにした所だよ?」

「っじゃあ勇晴君?」

「いやいやいや。俺を見るあの目、見た事あるでしょ? やだよ。絶対解剖されるし。」

「友幸さんはっ?」

「お金。」


 視線をさまよわせながら、必死でみんなの名前をあげる。

でも、知らない男の子はそんな私をじとっと睨みながら、次々に切り捨てていった。

そうして、みんなの名前をあげ終わってしまう。

だから必死で他の名前を探した。他に……とクラスメートの名前をあげようとした。

けれど、知らない男の子はそんな私を見て、大きく溜息をつく。


「唯ちゃん。よく俺を見て。俺は男? 女?」

「……男。」

「うん。だよねー。俺、男だから。男を好きにならないから。女の子がすごい好きだから。」


 知らない男の子なのに……。


「みんなの事は好きだよ。……でも、きっと唯ちゃんの言ってる好きとは違う。」


 私を見る金色の目は私の知っている色。

話し方だって笑い方だって、私の知っている人。


「あー……。」


 男の子は一度、困ったように声を上げながら空を仰いだ。

夜空には木々の葉が広がり、その向こうには銀色の満月が見える。


「もし、本当に俺が誰かを選んでいいっていうなら……。」


 男の子が一度話を止める。

私はそれに促されるように、思わず目の前にいる人をじっと見つめてしまった。


「俺は唯ちゃんがいい。」


 優しい金色の目。

私の大好きなその色。


「一生懸命がんばって、時々びっくりする事を言う、唯ちゃんがいいよ。」


 その金色の目が熱くて。


 頭が一気に真っ白になる。

そんな目に見つめられて、何も言えなくて……。

ただ、ドキドキと鳴る心臓の音だけが聞こえる。

鼓膜の奥の方がじんじんと痺れた。


 私は何も答えられないまま、金色の目をじっと見つめ続ける

すると男の子はそんな私の様子にイヒヒと悪戯っぽく笑った。


「なんてねー。まあ、そんなわけだから、俺にヒロインを渡そうとするのはやめて、大人しく唯ちゃんが選んでねー。」


 冗談だよって。

気にしなくていいよ、忘れちゃっていいよって笑う。


「選択肢はねー。ヘタレ詐欺師と自分に厳しい変態と……。」


 男の子が告げる選択肢。

それはみんなの事なんだろう。

その言葉は結構酷い。

でも、その言い方がおかしくて……。

勝手に口元が緩んでしまう。


「ヘタレナルシストとオタク眼鏡と若作りなお金持ちですよー。」


 なにそれ。

そんな選択肢へんだよ。


 少しだけ笑えば、真っ白になっていた頭がゆっくりと動き出す。

すると、さっきまで混乱して、受け入れられなかった事がストンと胸に入った。


 ああ。

チャコだ。


 この男の子がチャコなんだ。


「……私、ずっと……チャコにウソをついてた。」

「うそ?」

「うん。」


 目の前にいる優しい目をした男の子がチャコなんだってわかったら……。

ずっとグルグルと渦巻いていた、汚くて黒くて……苦しいこの気持ちが出口を見つけた。


「チャコが……みんなを選んで欲しいって。誰か好きになって、生きる意味になって欲しいって……。」


 ちゃんと思ってた。

だけど、いつも目を合わせられなくて……。


「ウソ。そんなの全部ウソ。」


 そう。ウソだったから。


「ずっと……ずっと。……私がそうなりたかった。」


 みんなじゃない。


「私がチャコの生きる意味になりたかった。」


 ……こんな自分がいやだった。

汚い気持ちがいやだった。


 でも、チャコはそんな私でもいいって言う。

失敗ばかりで情けなくて。

欲張りで諦めの悪い私でいいって。


「私が主人公ヒロインなら……。私が選んでいいって言うなら……。」


 目の前にいるあなたが、いいって言ってくれるなら。


「私はチャコがいい。」


 金色の目が驚いたように私を見ていた。


「チャコがいいよ。」


 ずっと前から。

ずっと、ずっと前から。


「チャコ……私、チャコの手を離そうって思ってた。……チャコがみんなのうちの誰の手をとっても応援しようって。」


 みんなの顔が思い浮かぶ。

チャコが男の子になっちゃって……。

みんな辛い思いをしたり、悲しい思いをするよね。


 それでも……。

私はこの気持ちを伝えたい。


「……離さなくても、いいのかな?」


 離そうって思ったこの手を。


「……この手をずっと握っていてもいいのかな?」


 自分の左手でずっと握っていた右手。

ぎゅっと強く握りしめれば、そっと上から大きな手が被さった。


「離さないで。」


 前かがみになったチャコが私の手をぎゅっと掴む。

そして、金色の目を柔らかく細めて、私を見た。


「俺の手をずっと握っていて。」


 私の手を包み込む大きな手。

温かくて優しい手。


 その手から温度が伝わって……。

自然と言葉が口から出た。


「……チャコが好き。」


 やっと言えた言葉は小さく掠れる。


「チャコが好き。チャコが……す、き。」


 見つけた出口にバカみたいに涙が溢れた。


「ずっと、そばにいてくれ、た……いつだって、わらって……私をゆるしてくれた。いつも、わたしを見ててくれた。まもってくれた。」


 しっかり伝えたいのに、喉がひくつくせいで、うまく話せない。


「おっきくて……あったかくて、やさしい。チャコがすき。チャコがすきだよ。」


 ちゃんと伝わってる?

ちゃんとチャコに届いてる?


 チャコの様子を見たいのに、涙が出すぎて、目が開けられない。

涙を拭こうと思っても、手は膝の上でチャコと繋がってるから。

もったいなくて離せない。

だから、涙が流れるままにただチャコに思いを伝え続ける。


「チャコがここに来てくれて、よかった……。まだここにいてよかった。生きてくれてよかった。ずっと一緒にいたい。そばにいたい。チャコと生きていきたい。……チャコがすきっ、だいすき……っ。」


 もうよくわかんなくなって、最後の方はわーんって泣いてるみたいになってしまった。

すると、チャコと繋がっていた手が離れる。

思わずその手を追おうとしたのに、それは適わなくて……。


「……っチャコ?」

「ん。」


 気づけば、チャコにぎゅうと抱きしめられていた。

私の顔がぎゅって固い胸板に当たる。

まさかそんな事になるなんて思わなくて、びっくりして、涙が一気にひっこんだ。

だけど、ひきつる喉はそのままで、体がひくっと動いてしまう。


「……文化祭の時にさ、唯ちゃん、俺に願いは何? って聞いてくれたよね。」

「う、ん。」


 低くて優しい声が耳元から聞こえる。

あまりに近くに聞こえるその声に体が硬くなった。


「唯ちゃんに幸せになって欲しいって言ったよね? ……あれも、願いなんだけど。本当はもう一つあって……。」


 チャコが少しだけ身を離して私を覗きこむ。

男の子になったチャコは身長が高くて、その目を見返そうとすると頭を上げるような形になった。

思ったよりも近くにある金色の目に胸がドキドキと鳴る。


「本当は俺……ずっと、ずっと……。」


 チャコの声が掠れた。


「唯ちゃんに選んで欲しかったんだ。」


 チャコに触れられている背中が熱い。


「みんなが羨ましかった。みんな攻略対象者ヒーローで。……俺だけ悪役で。」


 チャコが眉を顰めて、小さく息を吐いた。


「唯ちゃんが攻略対象者みんなを選ぶのは当たり前だけど……でも、選んで欲しくなかった。鋼ちゃんも勇ちゃんも。友孝様も先生も理事長も……。」


 チャコは私の……主人公ヒロイン攻略対象者ヒーローになりたかったの?


「唯ちゃんが俺を選んでくれたらいいのにって。」


  私、やっと辿り付けたのかな……。

ずっとずっと、望んでいた答えに。


「絶対無理だって思ってた。……よくわかんない妖の体で……友孝様の式神で。女の子として出会った悪役の俺なんて、絶対選んでもらえないって。……諦めてた。」


 チャコが私を見てる。


「……俺も唯ちゃんが好きだよ。ずっとずっと前から。……多分、唯ちゃんが遡った時、全部。」


 チャコの金色の目が熱くて。

耳から聞こえてくる言葉も私の中でどんどん熱くなって。


「ありがとう、唯ちゃん。」


 暗い葉の影の向こう側に銀色の満月が浮かんでいる。

月の光を背に受け、私の大好きな金色の目が優しく笑った。


「――俺を選んでくれて。」

『黒い瘴気の獣』友永チャコ トゥルーエンド達成

エンディング『悪役やってました』 再生します

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活動報告にupした小話をまとめました。
本編と連動して読んで頂けると楽しいかもしれません。
和風乙女ゲー小話

お礼小話→最終話の後にみんなでカレーを作る話。
少しネタバレあるので、最終話未読の方は気を付けてください

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