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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第77話 黒狼登場です

「お前、どこから来た?」


 私に剣を突きつけている男が質問してくる。

 私はその男の顔を見て気付く。


「まあ! 貴方、イケメンじゃない!」


「は? イケメン?」


 茶髪に茶の瞳は平凡な色ではあるが顔立ちは整っていて年齢は30歳前後ってくらいかしら。

 そりゃ超絶イケメンのモンスター王子たちには敵わないけどクリスと同等くらいってことは認めるわ。


「お前。頭、大丈夫か?」


 その男は私を奇妙な物を見たという顔をする。


 あら、失礼ね。イケメンって褒めてあげたのに。


 そこまで考えて私は思い出す。


 そうだった。ここは盗賊のアジトなんだからこの人は盗賊で私は今剣を向けられているんだった。


「ホホホ、ちょっと盗賊のお頭さんに用事がありまして」


 私はなるべく笑顔で答える。


「何の用事だ?」


「それは直にお頭さんに会って話すわ。私をお頭さんのところに連れて行ってくれない?」


「正体も分からぬ者などここには置いておけない」


「だから、お頭さんと話したらここを出て行くから!」


 私とその男が揉めていると周囲に他の盗賊の人間もやって来る。

 そして一人の男が茶髪のイケメンに言った。


「お頭。誰ですか、その女性は?」


 え? 今、何て言ったの?

 この茶髪の男性がお頭なの?


「お前たち、ちゃんとアジトに着いたら荷物を確認しろ。頭のおかしな女が紛れてたぞ」


「すいやせん。お頭」


 他の男たちが茶髪の男に頭を下げる。


「ねえ、ちょっと貴方が盗賊団の頭なの?」


「だったらなんだって言うんだ、姉ちゃん」


「ようやく捕まえたわ。逃がさないわよ!」


「逃がさないって。お前は警備隊の関係者か?そもそもこの状態でお前が俺を捕まえたって言えるのか?」


 私は自分に突き付けられた剣を見て今の立場を思い出す。


「私は怪しい者じゃないわよ」


「どっからどう見ても怪しい人物でしかないだろうが」


「うっ!」


 この男の言う通りよね。

 でも私には奥の手があるんだから。


「私はワイン伯爵の娘のアリサよ。これがワイン伯爵家の人間だって証拠よ」


 私はクリスから渡されていた指輪を見せる。

 男はその指輪を受け取り確認する。


「確かにこれはワイン伯爵家の人間を示す指輪だな」


「でしょ? 私はワイン伯爵の代理として貴方に会いに来たのよ。話を聞いてくれないかしら?」


「俺に話だと? 俺たちを捕まえに来たんじゃないのか?」


「いいえ。取引に来たのよ」


「取引? よく分からんが話だけは聞いてやるよ。こっちに来い」


 茶髪の男が剣をしまい私に「ついてこい」と言って歩き出す。

 私は遅れないようについていく。

 私の周囲には私が逃げ出さないように盗賊たちがいる。


 フン、逃げ出すわけないじゃない。

 私は話し合いに来たんだから。


「ねえ、ところでお頭さんの名前は何ていうの?」


「俺はウルフ・ブラックだ。まあ、俺の名前を知ったところで俺の過去は分からないだろうがな」


 ウルフは不敵に笑う。


 黒狼か。上等じゃない。相手に不足はないわ!

 狼を飼いならしてあげるんだから!


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