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異世界転生難民  作者: 夏色
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第1章 幼少期 4話

目を覚ますと自分の部屋のベットに寝ていた。


目を…開けたく無い。


感じる。

恐らく3人。

まぁクランとミリルとイリアで間違いは無いだろう。


ただ…だからこそ。

目を………開けたく無い…



とりあえず寝たフリをしながらこのまま本当に眠ろうと考えていると、イリアが呟いた。


「起きたみたいですね。」


え?超能力か何かですか?


「レイ?!大丈夫?!」

ミリルが心配そうに言う。


「レイ!目を覚ましたのか?! 身体は大丈夫なのか?!」

クランも心配している様だ…


流石に寝たフリも限界があるか。



「ん…あれ? 父様。母様?」

少し芝居掛かってしまったが観念してそう呟いた。


「レイ!身体は大丈夫か?! イリアが庭先で倒れているレイを発見してここまで運んでくれたんだ! 俺達もイリアにその事を聞いて心配で心配で!」


「レイ?大丈夫なの? 何処か辛い場所は無い? 一応治癒魔法は施したのだけど、大丈夫?」



ヤバい…めちゃくちゃ心配掛けてしまった様だ……気まずい…


「ええ。もうだいじょうぶです。 すこしねむけはのこっていますが、からだのほうはなんともありません。」


「そうか。良かった。…本当に心配したぞ。」


「良かった。本当に…」


「ごしんぱいをおかけしてしまってもうしわけありません…さいきんえほんにむちゅうになりすぎてしまって、おにわでねてしまいました…」

俺はまた、懲りずに見え見えの言い訳を放ってしまった。


「そう…夜はしっかり寝ないとダメよ?レイ。 母さんも身体はあまり丈夫な方では無いから、そんな所まで遺伝してしまったのかと心配で心配で…」

ミリルは今にも泣き出しそうだ。


「まぁレイも男の子だからな。多少の無茶はしてしまうのも分かる。  ただ母さんやイリアに心配をさせてはダメだぞ? 男なら尚更だ。  レイはまだ3歳とは言え凄くしっかりしているからな。 分かってくれるよな?」

クランは意外と空気を読める奴なのかもしれない。


と、俺の中で少し株が上がった。

これからはもうちょっとだけ興味を示してやろう。

等と、脳内で上から目線に考えていると――


「クラン様。奥様。どうやらもう大丈夫そうですので、暫く寝かして差し上げましょう。 私が横に居て見ていますので。」

と、イリアが言った。


「そうだな。今日はもう何処にも行かず、書斎の方で事務の仕事を片付けているから、何かあったら直ぐに呼んでくれ。 イリア頼む。」


「はい。畏まりました。」


「レイ。それじゃあ父さんは書斎で仕事をしているから、今日はゆっくりと休みなさい。」


「私もレイの側にいるわ。」

ミリルはここに居たいらしい。


「いえ奥様。 奥様もお疲れのご様子。ここは私に任せてお部屋でお休み下さい。 見た所別段悪い所がある様にも見えませんし。 少し眠れば回復もしましょう。 奥様の治癒魔法も効いているでしょうし。 何かあったら直ぐにお知らせ致しますので。」

イリアは俺と2人きりで話がしたいと見た。

怖っ


「そう…イリアさんがそうまで仰って下さるのであれば…何かあったら直ぐにお知らせ下さいね?  レイ。ゆっくりお休みなさい。  イリアさんもありがとうございます。」


「いえ。このぐらいしか出来ませんので。」



話を終え、クランとミリルが俺の部屋を後にする。

ミリルは最後まで心配そうにこちらをチラチラと見ていた。

大丈夫ですよ!と言う気持ちを込めて一生懸命に笑顔を向けておいた。


さて。

ここからが本当の修羅場だ。

やだなー…


2人が出て行ってから暫く沈黙が続いた。



そして――

「フゥ………レイ様…」


「は、はい」


「魔法が使えるのですか?」


唐突なイリアからの質問だった。

俺は一瞬ビックリしてしまった。


俺はまだ見ため的にも認識的にも歴とした3歳児である。

そんな俺に向かって、魔法を使えるのか。と言う質問だ。

ビックリもする。

だが俺は思い返していた。


毎回毎回庭先で倒れていて。

そこには表面が削れていく木が立っているのだ。


それを3度も目にしていれば薄々気付いてしまうのも無理はない。

これは誤魔化せそうも無いかな?


「えっと…そうですね…ウォーターショットというまほうがつかえます…」


「なるほど。では今までのは全て、魔力を使い切った事により起こる気絶だった訳ですね…」


「はい…」


「はぁ…色々思う所はあります。 3歳にして私が仰っている意味をしっかりと理解している事もそうですが、魔法を使える事にも驚きを隠せません。 ましてやクラン様や奥様に嘘までつかれて」


うっ……痛い所を全て的確に突いてきやがる。


「その…すいませんでした…いままでうそをついてしまっていて…ふつうではないと、なんとなくわかってしまったので…うそをつき、かくれてやってしまっていました………ごめんなさい…それとイリアさん…父様や母様にまえのはなしはしないでいてくれたんですね…その…ありがとうございます…」

いつもの伝家の宝刀悲しいオーラで包みあげてやる。


「………いえ。ご無事ならそれで。 ただ、今後も。となると容認はしかねますが」


なんと!今日は手厳しいやないの。

とりあえずあれだな。

もっと押してみよう。

「………」

無言という攻撃を仕掛けたみた。




「はぁ…今後は私がお側にいる時以外は控えて下さい。 私が居る時であればお助け致しますので」


勝った!!

ふっ。チョロいな!





それからの練習はイリアが居る時だけにやる様になった。


訳も無く。


こっそりと居ない時にもやっている。

ただ、魔力を使い切って気絶するのを精一杯避ける様に心掛けてだ。


それと、最近では風魔法の初級で(ウィンドウェアー)と言うのを覚えた。

この魔法は全身に風を纏い身体強化をする魔法だ。

これなら部屋の中でぶっ放せるのでそろそろ魔力が切れるってタイミングを見計らって、部屋でぶっ放して気絶する様にしている。


完璧な作戦だ!





それと魔法の制限回数なのだが、あれから1週間経った今では8回になっている。

これはもう間違い無く魔力総量が上がっていると断定して良いだろう。


初めて使ったウィンドウェアーに熟練度も何も無いのだから。





それを得て。

俺なりに推測してみた。


この世界では10の歳になると属性適性を教会にて教えて貰う決まりだ。


つまり10歳になるまで魔法を使う事は無いのだ。

もし仮に、今までの先人達と自分の違いを挙げるのであれば、異世界転生をしたか、10歳よりももっと幼い3歳という歳で魔法を行使しているか、のどちらかだ。


どちらにしても条件は厳しいだろう。

前者は言うまでもなく後者も厳しい。


俺みたいに全ての初級魔法のあの訳の分からない詠唱を覚えて、随時諦めずに何度も何度も試していかなければ辿り着けないからだ。


そんな事をするよりも、10歳になり教会にて属性適性をしっかり調べて貰ってから、効率的に魔法練習をした方が良い。

なんて言うのは魔力総量は生まれた時から一生変わらないとされているこの世界では、常識的な考えだからだ。


ともあれ、どちらかの推測が的を得ている可能性は高い。

が、とりあえずどうでも良い。


使えば使っただけ伸びるならそうするまでだ。


俺が転生者だから、とか、幼い頃に魔法を使った訓練をすれば、とかはどうでも良い。

魔力総量が伸びるという事実だけがそこにあるので、使って使って使いまくるだけだ。







俺が魔法に夢中になっているうちに、俺に妹が出来た。

知らなかった。



やる事やってんなおい。

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