第六十四話 怪しい女?守はどこへ!?
俺達は、守と別れた森の中を全員で手分けして、一人一人バラバラに探しているが、一向に見つからない。
バラバラになって探しているのは、もちろん効率が良い、と言うこともあるが、訓練をしていた奴らが、腕試しもしたいという要望もあったからだ。
ちなみにこの森はダーフォの森の反対側にある森で、俺はダーフォの森から出たことも無いので、この森の事は名前を含めて何も知らない。
しかし、見つからない。見つかったら大声で皆を呼ぶ事になっているが、大声なんて聞こえもしない。
『…む?なんだアイツは…?』
守を探して歩いていると、一人の女が森の中を歩いているのを発見した。
もう日は沈みかけている。それなのに、守やその友人に近い年齢の女が、一人で、武装もせずに歩いているのは怪しい。
『おい、お前はなんでこんな時間に森の中にいるんだ?それも、武装もせずに。』
怪しくてあまり話しかけたくは無いが、俺は少し思い切って、その女に訊いてみた。
「え!?…ああ、ちょっと頼まれ事があって…」
なにか、違和感がある。それがなんだかは分からないが、何かがおかしい。
『…お前、怪しすぎるぞ。何が目的だ?』
「いや、だから頼まれ事で…」
『…まあ、いいだろう。そういうことにしておく。』
この調子では、いつまでもしらを切り続けるに違いない。最も、本当に頼まれ事で遅くなった可能性もあるが。
「じゃ、じゃあ、この辺で…」
『こんな時間に一人じゃ、危なすぎるだろう。俺も付いていくぞ。』
しつこいようだが、こいつはいろいろと怪しすぎる。目を離すと何をしでかすか分からない。
「ええ!?魔物と一緒にいる方が危ないと思うんだ…けど…」
『まあ、護衛みたいなものだ。危なくなった時しか出てこんよ。』
「…まあ、いいか。じゃあ、よろしく…」
『ああ。』
守には悪いが、俺はこの女の監視をする事にした。
「じゃあ、ここまで護衛?ありがとう。」
『ああ、それはいい。疑ったりして悪かった。じゃあな。』
あの女の監視をしたが、特に怪しい動きも無く、何も無いまま宿屋に着いた。
ここに来るまでに聞いたが、女は旅人で、あちこちを旅していたら、スタッド村に着き、頼まれ事をされ、それを果たし、スタッド村へ戻っていたところを俺が見つけたらしい。
まあ、結局は何も無かったということだ。良かった。
さて、他の奴らはどうだったかな?
「う~ん…要するに皆収穫は無しか…」
ギーナが俺達の調査結果をまとめる。
結局俺達は、誰一人守を見つける事が出来なかった。
『捜索は、明日に続行か?』
「まあ、そうなるな。」
「でも、守は一体どこにいるんだろう?」
「まあ、どっかで障壁ハウスにでもこもってるんじゃない?」
「え~?まっさか~?」
その言葉を皮切りに、守の居場所談義が始まった。




