馴れてますとも、仕事は色々やってきましたからね!
午前中はゼミ、本日の課題は「新興宗教とのトラブルの回避、とその対策について」。
そんなのあるんだ……。
午後からはいつもの奉仕活動。
今日はミケさんを待たずに早めに夕食をすまし、ジュさんに居酒屋の場所まで連れてきてもらった。
店主と簡単な面談。急募だったらしく、即決。
ただし、髪はまとめてすっぽり包むタイプの頭巾に入れるように言われた。
衛生上の問題かと思ったが、「神官様に給仕をされると恐縮して酒がすすまない」とのことだった。
致し方なし。
店内は見渡して把握できる程よい大きさ。料理数も酒の種類も、前の世界程豊富ではなく、注文も単品のみで、楽勝である。すでに客が入っている。八割が獣人。外食が好きなのだろうか。
給料は時給制で一時間当たり1銀貨だが、閉店までに一定以上の客が入ると、大入り袋として、プラス銀貨1枚が支給されるそうだ。
大入り袋! なんと、心躍る響き。バブルですか、ここにはバブル時代再現ですか。
学生バイトのお姉さんがいないのにがっかりして
「野郎じゃあなあ」
などと失礼なことを言う人も居ますが、下手に出ておけばほとんど問題なしです。
「学生さんですからねー。試験が終わったら戻ってきますよ。ご苦労さんって言ってあげてくださいねー。ごめんなさいねー」
にっこり。
「揚げどり、揚げたていかがですか。ビールもどうです」
「あ、たのむわ」
「まいどー」
「あ、揚げたてならこっちも」
「ありがとうございますー」
店主、目が点。
「神官さん、あんた慣れてんな?」
もう、けっこう何でもやってきましたからね。残念ながら大入り袋はゲットできなかったが、うまくやっていけそうな自信はついた。終わって神殿にたどり着くまですっかり自分の対人恐怖症のことは忘れていた。
獣人がほとんどの客とはいえ、こちらも克服できそうな予感だ。
-・・・-・・・-・・・-
明け方近く帰ると、ミケさんは心配して、起きて待っていた。先に寝ていて欲しかったと言うと、情報のすり合わせの時間が無くなるからと。
そんなの起きてからでもいいじゃない。
大部屋で話すと迷惑になるので以前使った取調室ならぬ、懺悔室へ移動。
ミケさんは、
「冒険者組合で気になる話を耳にした」
と言った。
ドワーフ街へ仕事に行った冒険者が聞いた話らしいが、土竜が引いてきたトロッコに、鉱石ではない石が混じっていたというのだ。
何故そんなことが話題になっているのか、聞いた者は全く理解できなかったが、話していたドワーフの様子が尋常ではない様子だったので、一応という形で、組合に報告したのだ。
「積んだ時に石が混じったのではないかと、思うのだが」
ミケさんもよく分からないと言った風だった。ただ、世話になったドワーフだから気になっただけらしい。
「でも、それならそんなに慌てないですよね」
コピペは少し考えた。
「長い間、無人で土竜頼みのトロッコ運搬だったのですよね。トンネル崩壊の危険性? 落盤?」
え? ぎょっとしたようにミケさんがコピペを見た。
「魔素だまりはめったなことでは動かないと言っていたし、ここには立派な泉もあって守られてるしで大丈夫だとは思うのですが、トンネルを通って、魔物が入ってきたら大ごとですね。うまい具合に土砂で塞がれればいいのですが、ぽっかり空いてしまったら」
「ここに来る途中で見た、魔物の群れが」
ぞっとしますね。
「一応、組合に戻って話をしてくる。こんな時間でも誰かいるはずだ」
「私も神殿長に一応、話しに行きますよ。また、外に立たされるかもだけど」
何事もなくて済むなら、立つくらいしますよ。




