初村人! なのに自分が対人恐怖症だったって。つらい
三日目の朝、人の視線で目が覚めた。ばっちり目が合った。
男が三人、驚いたような顔をしてる。
びっくりした。こっちだって、びっくりした。
待ちに待ったはずの異世界人との出会い、なのに、声が出ない。
飛び起きたが、ひざがガクガクする。
汗が一気に出る。気分が悪い、気持ちが悪い。
こんなことは初めてだ。なんでだ。
逃げ出したい、でも足が動かない。
「神官様」
男の一人が言った。
しばらく頭がまわらなかった。
どこにいるのその神官様? え? 私? 私のことなの? こっち見て言っているからそうだよね。
落ち着け、私。
深く息を吸ってはいて。この症状を知っている。これは対人恐怖症。大丈夫、頭では理解できる。
相手は、驚いた様子だけど、敵対心はなさそう。
相手は息子。相手は息子。相手は旦那。これから、この世界で生きるのに、必要な第一歩。相手はご飯、相手は家。一言、言葉、出ろ。
「少し」
出た。
「少し、具合悪いです」
三人の男たちは顔を見合わせ、そして、またこちらを見た。視線が合ったとたんにまた汗が出る。
「泉の水を飲んでください、楽になるはずです」
男が泉を指さす。振り返ってみると、そこには水があった。水が静かに青く光っていた。
考える余裕もなく、片手ですくって一口飲んだ。冷たい、おいしい。もう一口飲んだ。
本当に楽になった気がする。だるいが震えは止まった。
「私」の状況は思ったより深刻なものなのかもしれない。竹の水筒を泉に差し入れ、水をいっぱいにした。これは保険だ。昨日まで、たしかにここには水はなかった。枯れていたはずだ。昨日のお祈りを神様が叶えてくれたのかもしれない。
ありがとう。神様。けれど、この対人恐怖症を先にどうにかしてもらえると助かります。