この世界、働かなくても生きていけるっぽくない?
二日が過ぎた。
いくつかの嬉しい発見があった。飲食はしようと思えばできる。しかし、しなくてもよかった。排泄もそうである。異世界人、便利すぎる。
命拾いをした、と本気で安堵したものだ。アグネさんが食料などを用意してくれなかったのは、こういうことだったのか。餓死する心配がないというのは、ありがたいことだ。
さらに運が良いことに、廃村を見つけた。
探索してみると、いくらかは壊れたりしているが使える道具類も見つかった。
泉の跡地から距離にして一キロほどの場所だ。小さいが川が流れている。昔は人が住み、生活していた場所。そして、なぜか今は誰もいない。
微生物や虫がいないからか、木の板などに腐った形跡がない。
しかし、激しく壊されている場所がある。大型の動物のせいか、争いごとがあったのか。
木の葉は落ちれば、消える。枝も折って捨てれば、やはり消える。試してはいないが、木を切り倒せばやはり、消えるのだろう。ならばこの木の桶はどう説明がつくのか。木の家はどうやって建てたのか。
割れた板の破片を持って呟いてみる。
「役目を終えた物は自然に還れ」
手の中で瞬時に粉々になりそして、消えた。
「わっ」
びっくり。
もしかして、と木の枝を持って
「神様、これを利用したいので、消さないで」
ぽきりと折って落としてみた。
消えない。そのまま、そこにある。
すごい、この世界すごい。
まあ、いちいち神様にお伺いを立てるのは正直めんどうくさいところもあるが、廃棄物問題は解決である。どうやら、この世界は超過保護な神様が作ったらしい。これほど、甘やかされている人間に是非とも早く会ってみたいものである。
「いや待て、私やん」
なるほど、逆境に弱いはずである。反省。
疲れや眠気を知らないのをいいことに、廃村から道具を運び、泉の復活を試みる。そこを掘ってみても堅い地盤が出てくるだけで、水が湧き出してくるわけでなし。試しに川の水を注いでみても、しばらくはそこにあるものの、当然、半日すればしみ込んで無くなる。
これはどういう仕組みでここにあったのか。雨水を溜めるための池だったのか。
ダメもとで神頼み。
「神様、お願いします。泉を復活させてください。ゲームとかである回復の泉のように、訪れた人が一息入れるような場所になりますように」
……誰もいないから言えることだ。恥ずかしい、マジ、恥ずかしい
寝よう、うん、眠くないけど。
一呼吸置いたのち、枯れた泉の地面は淡く青く光りだした。光はじわじわと増し、それは水のさざ波のように揺れ、しだいに大きくなっていった。




