上空からの景色、ある意味では絶景
完全に高度が上がり切るまではまさしく恐怖しかなく、助けて―と神に祈った。これほど信仰がカンストしたのは初めてかもしれない。神官のくせに……。
竜のヘルメットのせいなのか、気圧や風の抵抗を、思ったほどは感じない。
ある程度高度が上がったら、魔素の濃度が明らかに下がったのを感じた。目の前が明るくなったような感じだ。
「意外と安定感がある。高い木の上に登った時の感じだ」
猫らしいコメントはミケさんの声。
叫ばなくてもきちんと聞こえている。このヘルメットは高性能だ。見た目には、間の抜けた被り物にしか見えない。貴方も私もワイバーン。
「下、見てみろよ。ちと、黒ずんでいるが、けっこう見えるだろ」
同行しているドワーフの声。
岩ばかりかと思いきや、木々もそれなりにある。
木々だよね。動いているのあるけど。
緑は少なめだ。魔物がいる。黒く大きいのが動いているので遠目にも分かる。何か巨大な生き物が死んでいて、周りに集まったものたちがむさぼり食っている。
岩は、規則的に四角く、ほぼ等間隔で存在している。上空から見るから気が付くことだが、これらはかつての住宅の土台部分だ。完全に破壊しつくされた、遺跡という有様だった。
「考古学者なアグネさんには、興味深い光景だったでしょうね」
「昔のことを研究している人間には、たまらん土地だぜ、ここは」
ドワーフが言った。
「この都市が機能していたころは、世界で最大の都市だったっていうぜ? もうすぐ、昔の城、兼、神殿の上に差し掛かる」
見ごたえあるぞと、ガイドしてくれる。
この辺りは魔素が濃いからと、さらに高度を上げる。
高い塔のある真っ黒な城が、黒い霧の向こうから現れた。塔は野生のワイバーンの巣になっているようで、群れている。
「うわあ……」
コピペは背中にぞっとするものを感じた。
城の半分はほぼ完全な形で残っていたが、もう半分はまるでミサイルでも撃ち込まれたかのように、地面からえぐれている。
上空からはミミズのように見える何かの魔物が大群でうごめいていて、気持ち悪かった。
コートのポケットから竹の水筒を取り出し、久々にその水のお世話になった。




