閑話
ルを獣人の町にとんぼ返りさせてから(その折、虎族の女性から「あなた、また来たの?」と嫌味を言われていたが)、ダがテグウ村に戻って来てみると、神殿の外観はほとんど出来上がっていた。
普通の家を一回り大きくした程度だが、周りに広く土地をとっているところを見るとゆくゆくもっと大きくするつもりなのはバレバレだ。
建築を手伝っていた村人たちに、バーカウンターとは何ぞな、を説明し、作り方を指示すると、その足でテグウ神官に会いに行った。
テグウ神官は子供と若者に字を教えている最中で、待たされた。
「おかえりなさい、お疲れ様。その様子だと何か言いたいことがあるのでは?」
「ああ」
ダは言いあぐねていたが、思い切ったように
「コピペ神官を追いたい」
と切り出した。
「気持ちは分からないでもないですけどね」
テグウ神官は、回復の泉に目を向けた。
王都の泉に匹敵する大きさ、圧倒的な力。
「テグウ神官、あんたがしばらくここに腰を落ち着ける気だと分かった。シャン村はこのテグウ村の一部として統合されると聞いた。ガリオン村でもその流れに傾いてきている」
「仮に追いついたとして、連れ戻ることが可能だとでも?」
「いや……」
「仮に可能だとして、テグウ村で一生を過ごすことがコピペ神官にとって、良いことだと思いますか?」
「……」
「まあ、時に人は理屈ではなく、行動を起こしますがね」
テグウ神官はため息をついてダを見た。
「税として没収した中で、『馬』というのがありましたよ。餞別にそれをあげましょう。
泉の水も竹の入れ物に入れていくらが持っていくことを許します。売れば旅費になるでしょう。
コピペ神官は最終的にはハムズ王都に向かうでしょう。
どのルートをとるにせよ、あいだでチンチラ町には立ち寄ると思われます。会えることを祈っていますよ」
「すまない」
ダはテグウ神官に頭を下げた。
「世話になった」
「私もです。お元気で。神様が貴方の旅を守ってくださいますように」




