ルさん、ナンパに失敗して喧嘩になる
泉に向かおうとして、虎族の女性と、ルさん・ダさんとプレーリ神官がもめているところへ行き合わす。
若いルさんが虎族の女性にちょっかいをかけようとして返り討ちに会い、ダさんと神官で、仲裁に入っているようだ。
女性は怒り、ルさんも怒り、ダさんはルさんをなだめ、神官はひたすら女性に謝っている。
「俺は声をかけただけだ。なのに、いきなり平手をかましやがった!」
とは、ルさんの弁。
「いやらしい! 汚らわしい! 気持ち悪い!」
女性は感情的になっているようだ。
若い女性がこうなったら、時間をおかないとまともな話にならないのは経験済み。
遠巻きに見ている女性たちに頼み込み、彼女を連れって言ってもらう。
「おまえなあ」
と、ダさん。
「なんで、獣人にナンパ? 友好的に見えても、俺たちの間には深-い溝があるんだぞ」
「声かけただけだっつーの。家に入れてって言っただけ」
「おま、それ、最悪」
ダさんに連れていかれるルさん。
見送りながら
「泉、行きましょうか」
気分を変える。
プレーリ神官が泉に手をかざす。変化なし。
「だめ、気分がのらない」
同じように手をかざす。少し考え、
ひとしずく
一瞬光っておさまる。
プレーリ神官、ため息をつく。
「私たちの間の深-い溝って」
こちらから、話を振る。
「やっぱりあの、人間が神様を独占したっていう、アレですかね?」
「そうでしょうね。他の種族の中には人族を本当に嫌っているところもあるそうですから」
プレーリさん、あまり嬉しくない情報を提供。
「私の師匠は、そういうこともきちんと弟子に伝えてくれる人でしたから、幸いにも今伝わっていることくらいは知っています」
「私は、あまり詳しく知らないんです。よかったら教えてくれませんか?」
「コピペさんのお師匠様はそういうことを話したがらない、お人だったのでしょうね」
プレーリさんが勝手に誤解してくれた。説明するのも何なので、黙って話の続きを促す。
「実は、ここ以外にも世界があるんだそうですよ? 他所の村とか、国とか、土地じゃなくて、世界が、だそうですよ? 異世界って、どんななんでしょうね?」
あ、それ知ってます……。




