表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/82

背は低いけど雰囲気がカッコいい人に会った

 木の根元に張り付くように体を小さくかがめた子供がいた。似たような技を使って木に擬態していたのだ。全身、頭まですっぽりと、茶色の皮で覆っている。


 目の部分だけ、見えている。じっとこちらを見て

「神官様だね?」

と、聞いてきた。直感的に分かった。背は低いが子供ではない。目は大きく澄んでいる。

「泉の回復に来たのかね?」

直球で、きた。


 こちらは慎重に答える。

「どこまで、力が及ぶかわかりませんが、できる限りの、努力をするつもりです」


「先に立って歩きたまえ。道を指示しよう」

 相手も慎重だ。後ろには立たせてくれない。前を歩かせ、目を離さない。緊張してきた。一言、ことわってから、水を飲む。

 ゴクリ。


 途中で、珍しくも道の真ん中に水たまりがあり、それを飛び越そうとして、後ろからコートの襟首をつかまれ、ぐえっとなった。


 何なんですか、もう


「見れば分かるだろう」


 分かりません


「スライムだ」


 え、本当に? あの有名なアレ?


 偽子供はごそごそ何か取り出した。見ると、ネズミ。ひええ

 少しだけ離れた場所に放り出す。水たまりはフルフルと震えた後、ネズミのもとへ素早く移動。


「行くぞ」


 流石です。師匠とよんでいいですか?


 必要最小限の会話しかなかったが、道の端に隠れるようにひっそりと立つ、立て札のところまで来て、ほっと一息ついた。


「ここからは、めったなことでは魔物は出ない。話しても大丈夫だ」


 あ、そういうことだったのか


「エーでは早速、質問が」

「なんだ」


「最初に出た気味の悪いサルみたいな」

「ゴブリンだ。巡礼者のくせに、なんで、ゴブリンを知らない」


「ゴブリン! あれが有名なゴブリン!」

「なんで嬉しそうなんだ。お前、少し頭、変なのか?」


「いえ、実は記憶を無くしていてですね」

「嘘くさいな。ヤバい奴はそんなことを言ったりする」


 ですよね……


「手紙を見ていただけると分かりやすいのですけど」

「やめろ、懐に手を入れるな。必要なら、こちらが出す。手を大きく上げて後ろを向け」


 本当に慎重。

 言われたとおりにする。偽子供は、コートを外側から探り、手紙・水筒。ナイフを探しあてた。


「後で返す」

 と、一時、没収。


 しっかり十歩離れた場所で待機させられ、彼が封筒から手紙を取り出すのを、見ていた。


「字、読めますか」

「馬鹿にするな」


 失礼しました……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ