当面の情勢と党の任務 (一九三九年十月十日)
これは、毛沢東同志が中国共産党中央のために書いた決定である。
(一)帝国主義世界大戦は、帝国主義諸国が新しい経済危機と政治危機からぬけだそうとしたことによって勃発したものである。戦争の性質は、ドイツ側にしても、イギリス、フランス側にしても、不正義の略奪的な帝国主義戦争である。全世界の共産党は断固として、このような戦争に反対すべきであり、このような戦争を支持してプロレタリア階級を裏切った社会民主主義政党の犯罪行為に反対すべきである。社会主義のソ連は依然としてその平和政策を堅持し、戦争する双方にたいして厳正中立をまもっており、ポーランドへの出兵という行動によって、ドイツ侵略勢力の東への拡張を阻止し、東ヨーロッパの平和を強固にし、ポーランドの支配者に抑圧されていた西ウクライナと白ロシアの兄弟民族を解放した。ソ連は、国際反動勢力がおこす可能性のある襲撃をまえもってふせぐために、その周囲の諸国と各種の条約を結び、また世界平和の回復のために奮闘している。
(二)新しい国際情勢のもとにおける日本帝国主義の政策は、将来、国際的な冒険行動を拡大する準備として、中国への進攻に力を集中し、中国問題を解決しようとするくとにある。日本帝国主義が中国問題解決のためにとろうとしている方針はつぎのとおりである。
一、占領地域にたいしては、全中国を滅ぼす準備として、これを確保する。この目的をたっするために、日本帝国主義は、抗日遊撃根拠地の「掃討」を必要とし、経済の開発とかいらい政権の樹立を必要とし、中国人の民族精神の消滅を必要としている。
二、わが後方にたいしては、政治的進攻を主とし、軍事的進攻を従とする。いわゆる政治的進攻とは、大規模な軍事的進攻に重点をおくのではなくて、抗日統一戦線を分化させ、国共合作を分裂させ、国民党政府を投降にさそいこむことに重点をおくのである。
いまの時期に、敵は、過去二年あまりの中国の英雄的な抗戦の打撃によって、またかれらの兵力と財力の不足によって、以前の武漢進攻のような大規模な戦略的進攻の行動をとる可能性はもはや大きくない。このような意味で、もう基本的に抗戦の戦略的対峙の段階にたっしている。このような戦略的対峙の段階が、反攻準備の段階である。だが第一に、われわれは、基本的に対峙の局面があらわれたといっても、敵になお若干の戦役的進攻の可能性のあることを否定するものではない。敵はいま長沙を進攻しており、将来は、さらにその他の若干の地区を進攻する可能性もある。第二に、正面対峙の可能性が大きくなるにつれて、敵はわが遊撃根拠地にたいする「掃討」戦争をいっそう強めるであろう。第三に、もし中国が敵の占領地を破壊することができず、敵に占領地確保と占領地経営の目的を達成させるならば、また、もし中国が敵の政治的進攻を撃退することができず、抗戦を堅持し、団結を堅持し、進歩を堅持して、反攻の力を準備することができないか、あるいは国民党政府がついに自発的に投降するならば、将来敵が大挙進攻してくる可能性はやはり存在する。つまりすでにあらわれた対峙の局面は、敵と投降派によって破壊される可能性がやはり存在するということである。
(三)抗日統一戦線内の投降の危険、分裂の危険および後退の危険は、依然として当面の時局における最大の危険であり、現在の反共の現象や後退の現象は、依然として大地主・大ブルジョア階級の投降準備の段どりである。われわれの任務は、反攻の力を準備するために、依然として全国のすべての愛国者と協力し、大衆を動員して、わが党の『七・七宣言』①にある「抗戦を堅持し、投降に反対せよ」「団結を堅持し、分裂に反対せよ」「進歩を堅持し、後退に反対せよ」という三大政治スローガンを確実に実行することである。この目的をたっするため、敵の後方では、遊撃戦争を堅持し、敵の「掃討」にうち勝ち、敵の占領地を破壊し、広範な抗日民衆に有利な急進的な政治改革と経済改革を実行しなければならない。正面の戦線では、軍事的防御をささえ、敵のおこなう可能性のあるいかなる戦役的進攻をも撃退しなければならない。わが後方では、すみやかに、しんけんに、政治改革を実行し、国民党の一党独裁を終わらせ、真に民意を代表する、権力をもつ国民大会を招集して、憲法を制定し、憲政を実施しなければならない。いかなる動揺も怠慢も、これと相反するいかなる方針も、絶対にあやまりである。同時に、わが党の各級指導機関とすべての同志は、中国革命に危害をおよぼす、おこりうる突発事件に対処するそなえをし、その突発事件のなかで党と革命におもいがけない損失をこうむらせないように、当面の時局にたいする警戒心をたかめ、全力をあげて、わが党と党の指導する軍隊および政権を思想的、政治的、組織的に強化しなければならない。
〔 ##訳注## 〕
① 本巻の『中央通信社、掃蕩報、新民報の三記者との談話』訳注③を参照。




