一九四八年の土地改革活動と整党活動 (一九四八年五月二十五日)
これは、毛沢東同志が中国共産党中央のために起草した党内指示である。
一
季節に注意をはらわなければならない。ことしの秋と冬の全期間、すなわちことしの九月から来年の三月までの七ヵ月間を利用して、各中央局と分局のきだめる地区で、順次つぎの諸活動をやりとげなければならない。(1)農村の状況を調査すること。(2)正しい政策にもとづいて初歩的な離党をおこなうこと。上級から農村に派遣される工作団または工作班は、まず地元の党細胞組織内のすべての積極的な人や比較的よい人と団結して、その地区の土地改革活動をいっしょに指導しなければならない。(3)貧農団と農会を組織するか、改組または充実させて、土地改革の闘争をおこすこと。(4)正しい規準にもとづいて階級所属をきめること。(5)正しい政策にもとづいて封建的な土地と封建的な財産の分配をおこなうこと。分配は最終的には、すべての主要な階層から公平で情理にかなったものと感じられ、地主階級のものからも、自分たちには生きる道があり、その保障があるのだと感じられる、という結果がえられなければならない。(6)郷(村)、区、県の三つの級の人民代表会議を確立し、三つの檄の政府委員会を選出すること。(7)土地証を交付し、土地所有権を確定すること。(8)農業税(税として納める穀物)の負担の規準を調整または改定すること。こうした規準は、公私の双方に配慮をくわえるという原則にそくしたものでなければならない。つまり、一方では、戦争を支援するのに役立ち、他方では、農民に生産の回復と発展への意欲をもつようにさせ、農民の生活を改善するのに役立つことである。(9)正しい政策にしたがって党の細胞組織の整頓をやりとげること。(10)活動の方向を、土地改革の面から、農村におけるすべての勤労人民を結集し、また地主、富農の労働力を組織して、ともに農業生産の回復と発展のために奮闘させるようにするという面にうつすこと。自由意志と等価交換という二つの原則のもとに、小規模な労働力交換組織その他の協同組織をつくりはじめること、種子、肥料、燃料を用意しておくこと、生産計画をたてること、必要な、また可能な農業資金を貸しだすこと(生産手段資金の貸しつけを主とし、貸付金はかならず返済させるようにし、救済の性質をおびた救援金とは厳格に区別する)、可能なところでは、水利計画をたてること。以上が土地改革から生産にいたる活動の全過程であるが、土地改革活動に直接たずさわるすべての同志にこうした活動の過程を理解させて、活動が一面的になるのを防ぐとともに、時機を逸せず秋と冬の二つの季節のうちに、上述の活動を全部やりとげるようにしなければならない。
二
上述の目的をたっするため、ことしの六月から八月までの三ヵ月のあいだに、つぎの活動をやりとげなければならない。(1)土地改革をおこなう地域をきめること。その地域は、つぎの三つの条件をもとにしてきめなければならない。第一に、不安定な遊撃地区ではなく、その地区の敵のあらゆる武装力が全部消滅されていて、周囲の状況がすでに安定していること。第二に、その地区の基本的大衆(雇農、貧農、中農)のうち少数のものだけが土地分配の要求をもっているのではなく、圧倒的多数がすでにそうした要求をもっていること。第三に、その地区の土地改革活動を大衆の自然発生的な動きにまかせるのではなく、それを確実に掌握できるだけの党の幹部が量的にも質的にも保証されていること。これら三つの条件のうちどれか一つの条件でも欠けている地区は、一九四八年に土地改革をおこなう地域にくみいれてはならない。たとえば、華北、華東、東北、西北地方の各解放区で敵に近接している地域と中原局所属の長江・淮河・黄河・漢水地域のほとんど大部分の地区は、まだ第一の条件がそなわっていないので、ことしの土地改革計画にくみいれるべきではない。来年くみいれるかどうかは、さらに状況を見たうえでないと決定できない。こうした地区では、抗日の時期の経験を十分にいかして、小作料と利子の引き下げをおこない、また種子・食糧を適度に調整する社会政策と負担を合理的にわりあてる財政政策を実施すべきである。これによって連合するか中立化させることのできるすべての社会勢力と連合し、あるいはこれを中立化させ、人民解放軍が国民党のあらゆる武装力を消滅するのをたすけ、政治的にもっとも反動的な悪覇に打撃をくわえるようにする。こうした地区では、土地を分配すべきではないし、動産も分配すべきではない。なぜなら、新解放区あるいは敵に近接している地区という条件のもとでは、そうすることはすべて、連合するか中立化させることのできるすべての社会勢力と連合し、あるいはこれを中立化させて、国民党反動勢力を消滅するという根本任務を達成するのに不利だからである。(2)成果のある幹部会議をひらくこと。土地改革と整党活動のためにひらく幹部会議では、この二つの活動についての正しい政策をのこらず十分に説明し、やってよいこととやってはならないことのけじめをはっきりさせなければならない。党中央のだした重要文書は、土地改革活動と整党活動にたずさわるすべての幹部にしんけんに学習させ、完全に理解させるようにするとともに、それを全部まもるようにさせなければならず、勝手に修正することは許されない。もし地元の実情にあわないところがあれば、修正意見をだしてもよいし、まただすべきであるが、修正はかならず党中央の同意をえたうえでするようにしなければならない。ことしの各級幹部会議をひらくまえに、各地の高級指導機関は十分な、しかも適切な用意をしておかなければならない。すなわち、事前に少数のもので相談(ひとりがおもな責任をもつ)して、問題を提起し、これを分析し、要綱を成文化し、その要綱の内容と字句を念入りに吟味(簡潔にまとめるよう注意すること、要をえない長文に反対する)しなければならない。そのうえで、幹部会議に報告し、討議をおこない、討議のなかでだされた意見をとりいれて、補足、修正をくわえたのち決定とし、同時にこの文書を全党に知らせ、できるだけ新聞紙上に公表するようにする。経験主義的なやり方、つまり、事前になんらの準備もなく、問題の提起も分析もせず、幹部会議にたいして、念入りに準備された、内容、字句ともによくねられた報告をせず、しかも、会議に出席した人びとが的はずれな、まとまりのない議論をするのにまかせて、会議の時間を長びかせ、はっきりした、ゆきとどいた結論がえられないようなやり方に反対しなければならない。各中央局、中央分局、区党委員会、省委員会、地方委員会の指導に、もしこうした有害な経験主義的なやり方があれば、かならず克服するよう心がけなければならない。政策を討議する会議は、人数があまり多くならないようにすべきであり、また前もってよく準備しさえすれば会議の時間も短縮できる。状況におうじて、だいたい十数人、または二、三十人か、四、五十人で、一週間前後の会議をひらくのが適当である。政策を伝達する会議は、人数がすこし多くてもかまわないが、時間はやはり長くならないようにすべきである。整党の性質をもつ高級、中級の幹部会議だけは、人数がすこし多く、時間がすこし長くてもかまわない。(3)九月の前半、おそくとも九月の後半までには、土地改革活動に直接たずさわる幹部が全員農村に到着し、活動をはじめなければならない。そうでないと、秋と冬の全期間を利用して土地改革、整党、政権の建設、春耕の準備を全部完成することはできない。
三
幹部会議においても、活動においても、幹部が具体的な状況を分析し、地区のちがい歴史的条件のちがいという具体的状況から出発して、その地区の、その時の活動任務と活動方法をきめることに習熟するように教育しなければならない。都市と農村とのちがいをはっきりさせ、旧解放区、準旧解放区、敵に近接している地域、新解放区のちがいをはっきりさせなければならない。そうでないとあやまりをおかすことになる。
四
封建制度が根本的に消滅され、貧農・雇農がだいたいにおいて平均数に相当する土地を手にいれ、たとえかれらと中農の所有する土地のあいだに差があっても(こうした差は許される)、その差が大きくないばあいは、土地問題がすでに解決したとみるべきで、もう土地改革の問題をとりあげる必要はない。こうした地区での中心任務は、生産の回復と発展をはかり、整党、政権の建設、前線支援の活動をなしとげることである。こうした地区の一部の農村で、もし分配または調整すべき土地がまだのこっていたり、階級所属をきめなおす必要があったり、土地証の交付がまだ終わっていなかったりすれば、もちろん実際の状況にもとづいてこれらの活動をなしとげなければならない。
五
土地改革を終わった地区とまだ土地改革を終わっていない地区とをとわず、すべての解放区で、ことしの秋、農民が麦をまきつけ、一部の土地の田おこしをするように指導しなければならない。冬季には、農民に肥料づくりをよびかけなければならない。こうしたことはすべて、解放区の一九四九年の農業の生産と収穫にとってきわめて重要であり、行政の力を大衆活動に呼応させて、実現をはからなければならない。
六
多くの地方に存在するある種の無規律状態または無政府状態、すなわち、党中央または上級党委員会の政策や戦術を勝手に修正し、ひとりよがりな、統一的意志と統一的規律にそむくきわめて有害な政策や戦術を実行したり、自分の管理するところをあたかも独立国のように考えて、活動が忙しいという口実のもとに、事前に指示もあおがなければ事後に報告もしないというあやまった態度をとったりするようなことは、断固として克服しなければならない。こうした状態が革品の利益にもたらす損害はきわめて大きい。各級党委員会はこの点についてくりかえし討議をおこない、こうした無規律状態または無政府状態をしんけんに克服して、集中することの可能な、また集中すべきいっさいの推力を党中央とその代表機関〔1〕に集中しなければならない。
七
中央、中央局(分局)、区党委員会(省委員会)、地方委員会、県委員会、区委員会から細胞にいたるまで、無線電信、有線電信、電話、郵便、または専門の係による送達などの通信の方法、小規模の会議(たとえば四、五人の)、区域会議(たとえばいくつかの県の)、個別的話し合いなどによる討議の方法、小巡視団(たとえば三人から五人の)や信望のあつい委員による巡視の方法などを十分活用するとともに、通信社と新聞を十分活用し、たがいに緊密な連係をとらなければならない。これによって運動の動態をつかみ、随時に情報を知らせ合い、経験を交流し、あやまりをいちはやく是正し、成果をのばすようにする。数ヵ月または半年、はては、もっと長い時間がたってからやっと、下から上へ総括的な報告をし、また上から下へ一般的な指示をだすようであってはならない。こうした報告や指示は、とかく時期おくれとなり、役にたたないか、または大して役にたたなくなる。すでにあやまりを為かしてしまって、是正しようにも間にあわないので、その損失はあまりにも大きい。全党が切実に必要としているのは、時機を逸しない、いきいきとした具体的な報告と指示である。
八
都市活動と農村活動、工業生産の任務と農業生産の任務を、各中央局、分局、区党委員会、省委員会、地方委員会、市委員会の指導のなかで適切に位置づけなければならない。すなわち、土地改革や農業生産にかんする指導を理由に、都市活動や工業生産にかんする指導をおろそかにしたり、ゆるめたりしてはならない。われわれはいまでは多くの大、中、小の都市とおびただしい工業、鉱業、交通関係の企業をもっているので、もし関係指導機関がこの面の活動をおろそかにしたり、ゆるめたりすれば、われわれはあやまりをおかすことになる。
〔注〕
〔1〕 ここにいう覚中央の代表機関とは、中央局と中央分局のことである。




