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第10話

馬岱の前に2体のスケルトンが現れた。


「手伝ってあげる……」


トミコが馬岱の剣に雷のエンチャント魔法を唱えた。


「ありがとう!」

「さあ馬岱さん。存分に戦ってくださいまし」


馬岱がスケルトンに斬りかかると2体とも一太刀で骨がバラバラに飛び散った。


「やった!」


喜んでいると奥からもう1体現れた。


「杖を持っているわね。ソーサラーかしら?」


京香が倒れたスケルトンの骨を蹴って詠唱を邪魔した。


「もらった!」


これも馬岱が一太刀で倒す。


「これがエンチャント魔法の力なのか……。1人だとまだスライムしか倒せないんですよね」


馬岱の剣に宿っている雷はまだまだ尽きそうにない。


「パーティーは組まれなかったの?」

「他の冒険者と都合を合わせるのが難しくて……」

「そういえば京香もほとんど人と組んだことなかったな」

「人が相手だと気を使いますからね」


京香は格闘術で馬岱はエンチャントが付与された剣でスケルトンを倒し続ける。


「見落としがないように隅々まで探索するわよ。1号と2号はマッピングをよろしくね」

「わかった。でもまだ罠の情報がないから気をつけろよ」

「トミコさんの幸運の高さによる我々への恩恵がどれくらいなのかまだわかりませんからね」


探索していると分かれ道にきた。


「どっちに行くんだ?」

「意図して迷路に作られていないのなら先に続く道がどちらかわかるようになっているはずよ」


2つの道を見比べると馬岱が違いに気づく。


「正面の道のほうが少し広くて明るいですね」

「ということは機能性を考えてわかりやすくしているのかもな」

「とりあえずハズレの道を確認してみますわよ」


行き止まりだと予想したほうの道に行ってみる。


「待って! ……なにか聞こえない?」


耳を澄ます京香たち。


「うちは女の人の声だと思う」

「……悲鳴? 急ぐわよ!」


通路を行くと広場にたどり着いた。


「あれは……。人がモンスターに襲われてるぞ!」


2人の女冒険者が飛行するモンスターと戦っていたが劣勢のようだった。


「きゃーっ! このままじゃ殺されちゃうわ! 私はまだこんなに若くて美しいのに!」

「くっ……。男を利用するために見た目で装備を選んだのが失敗だったわ……」

「黒くて羽根の生えた……。確かガーゴイルだったかしら? トミコ!」

「わかった」


トミコがガーゴイルに雷魔法を唱えた。


「グガッ……」

「よかった……。てっきりトミコさんはあの2人を攻撃してしまうのかと思いました」

「なに言ってんだ1号……」

「すーっ……」


雷魔法を受けて落下してきたガーゴイルに京香が呼吸を整えて正拳突きを放つ。


「チェスト!」


スパーン!


胴体に大きな穴が空いてガーゴイルは動かなくなった。


「なんだか知らないけど助かったわ! 逃げるわよ!」

「危うくこの世界の大きな損失になるところだったわね……。男どもに新しい装備を買わせないと!」


走り去っていく女冒険者たち。


「ガーゴイルの素材は馬岱さんと山分けしますわよ。馬岱さんも解体を手伝ってちょうだい」

「はい!」

「スケルトンの持っていた剣や盾はボロボロで売り物になりませんからね」

「この行き止まりの広場にはなにもなさそうだな」


分かれ道に戻ると馬岱が話しかけてきた。


「すいません。僕はレベルアップのために一旦町に帰ります。ガーゴイルの素材も換金して身軽になりたいですし」

「それがいいわ。また機会があれば一緒に冒険しましょう」

「バイバイ」


馬岱と別れて探索を続けているとまた似たような広場に出た。


「あの石像はガーゴイルじゃないですか?」

「罠だったんだろう。近づいたり触ると動き出すかもしれないぞ」


京香は臆することなく近づいていく。


「さっきとは違う戦い方をしてみるわ。トミコは手を出さないでね」


ガーゴイルが京香に反応して襲いかかってきた。


「ふん!」


ガーゴイルの腕を掴んで投げ飛ばす。


「ギャッ!」


仰向けに倒れたガーゴイルの顔面に体重を乗せたエルボードロップを決めた。


グシャッ!


「すげえ音がしたな」

「かわいそうに……。顔がペチャンコですよ」


2体目の解体をする京香。


「お金持ちになれば安い素材を破棄できるのだけど……。もう少し進んだら私たちもガーゴイルの素材を店に持ち帰りましょうか」


ガーゴイルの素材を抱えて探索を続けていると下へと降りる階段を見つけた。


「ここからが地下1階ですか」

「ここまでのマッピングは完璧だから1階に見落としはないぞ」

「区切りがいいからここまでにしましょう。マップはなくさないでね」


遺跡を脱出した京香たち。


「思ったより早く帰ることになったな」

「収納魔法や移動魔法がほしくなりますね。魔法の授業を受けたときのリストになかったですけど別の国に行けば習得できるかもしれませんよ」


自宅に素材を並べた京香。


「まだ売れていないドラゴンの素材もあるしちょっと店を開けましょうか」


店の扉がノックされて諸葛亮が入ってきた。


「あら先生」

「お邪魔します京香さん。ちょっと城まで来てもらっていいかな?」

「店番は僕と2号さんでやりますよ」

「うちはついていく」


諸葛亮に連れられて城に向かう京香とトミコ。


「そうそう。先生にいただいた木材で彼女を作りましたのよ。カワイイでしょう?」

「うちカワイイ」


諸葛亮の周囲を回るトミコ。


「……」


トミコを見て考え込む諸葛亮。


「どうかされました?」

「……あまりにも完成度が高いと思ってね。君は魔王もモンスターを作っているって知ってるかな?」


諸葛亮が質問した。


「ええ。授業でそんな話を聞きましたわ」

「僕もモンスターを作れるんだけどいつも失敗するんだよ。例えば僕の庵にいた一輪車のモンスターはしゃべれなかったでしょ? そして魔王が作るモンスターもそのほとんどが失敗作なんだ」


諸葛亮が首をかしげる。


「数百数千失敗した中で成功した一部のモンスターだけ流暢に言葉を話したり高度な意思疎通ができるんだけど……。君の力は僕や魔王が使っているモンスターを作る魔法とは違うのかもね」


女王に謁見する京香。


「来てくれてありがとう。また京香さんにお願いしたいことがあるのです」

「もちろん協力しますけどここでお話をするのかしら? 玉座の間ではないけど」

「人に聞かれちゃまずい話なんだよ」


女王が京香に近づいて小声で話し出した。


「あなたにある人物の処遇について助言をしてほしいのです」

「女王さまと僕とで重用するか処刑するかで意見が割れてるんだ」

「その人物とは誰ですの?」


京香の質問に女王が答える。


「魏延という将軍なのですが仕えていた国王を殺害してこのブンゴ国に寝返った者なのです」

「僕は敵を自分たちで育てることになってしまっていずれ強敵として僕たちの前に立ちはだかる危険があると思っているんだ。でも女王さまは人手不足だから使うべきだってね」


考えた京香はアドバイスした。


「私も諸葛亮先生に賛成ですがなるべく女王さまの意見を尊重したいですわね。ここは使えるだけ使ったら殺すというのはいかがでしょう?」

「どういうことですか?」


女王の質問に京香が答えた。


「魏延さんが裏切る前提で利用するのです。いつ裏切ってもいいように前線で戦わせれば裏切られたときの被害を小さくできます。前線で先生が彼を監視すれば裏切りも困難になりますしね。もちろん裏切るときに手土産を狙うはずですから女王さまと先生は人質にならないように気をつけてください」


女王と諸葛亮は目配せしてうなずいた。


「京香さんの案でいきましょう」

「魏延さんは本心を隠すために信用を得ようと必死に働いてくれますわ。ただし彼を重用しすぎないようにしてくださいね。富と名声を与えすぎると裏切りに同調する者が出てきますから」

「そうだね。注意するよ」


城を出た京香にトミコが詰め寄る。


「学校行きたい」

「そうね。でも2人も待っているし今日は帰って明日にしましょう」


京香とトミコは店を手伝うために自宅に帰った。そして商品が売れたことでまとまった金を手に入れることに成功する。

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