魔女の居る村
「ひぇー!本当に無理無理無理。毒蛇だよね……ねぇ、君毒蛇だよね」
全力失踪しながらアルテミスは蛇に問いかける。
「……」
「ねぇ、返事して!……あ、そっか。君、蛇だったー!」
泣き目で、走るアルテミスが辿り着いた先は、大きな村だった。
「ねぇ、誰か!助けて」
アルテミスは大きな声でそう泣き叫ぶ。すると、皆はアルテミスを凝視した。でも、何もしない。
でも、一人だけ近寄ってきてくれた者が居た。
「もしかして、貴方。観光の方?」
「ふぇー、とにかくこの蛇をっ」
アルテミスは足踏みをしながら必至の訴えた。でも、その人は微笑んで答える。
「安心して、その子はうちの村の警備蛇だよ。噛んだりはするけど、毒蛇じゃない」
「え、噛んだりするのっ?」
まだ、怯えたままのアルテミスをみて、その人は蛇を肩に載せた。
「大丈夫だよ。もう、この子は敵じゃないって分かってる」
「ほ、本当に?」
落ち着いた顔で、その人は頷いた。
* * *
「ここには観光で?」
その人は、街を歩きながら尋ねる。
「えっと……同僚に吹っ飛ばされた……じゃなくて、仕事ですっ」
アルテミスの答えに、その人は不思議そうな顔をする。
「……気にしないでください。それで、私たちはどこへ向かってるんです?」
「村長の所だよ。村へ来た観光客とか、仕事人は皆んな村長に招いて貰わなきゃいけないんだ」
* * *
「こんにちは……」
村長の事務所らしき部屋に入ったアルテミスは震える声で挨拶をする。
「おぉ、もしかして外からのお客さんかね?」
返事をしたのは、優しそうなお爺ちゃんだった。
「はい、どうやら仕事で来たらしいです」
それから、その人は一度お辞儀をして、部屋から出て行っく。
「ほぉ、お仕事じゃな……お前さん、何の仕事をしているんじゃい?」
アルテミスは、懐から名刺を抜き取り、村長に差し出した。
「どうも、魔女探偵事務所の探偵兼事務所長のアルテミスって言います」
「おや、探偵さんかい……。それに、魔女とは……もしかして、悪い魔女を探す依頼を受けてる子なのかい?」
アルテミスは、違うと言いたかったが、そんなこと言ったらロクでもないことが起きると悟った。
だから、アルテミスは肯定する。
「なら、受けてほしい任務があるのじゃが」
「何ですか?」
「最近、ワシの村に、悪い魔女が居るようでな……村の人達が呪われているんじゃ……。その事件を解決してはくれぬだろうか」
「まぁ……いいですけど、じゃあ、犯人を見つけたら代わりに私に情報をくれますか?」
アルテミスの提案に、村長は頷いた。
「あとは、報酬として銀貨30枚を支払おう」
「え、そんなに良いんですか?」
アルテミスは、目を輝かせて尋ねた。
「もちろんじゃ」
それから、尊重が書いた契約書に目を通し、アルテミスはそのままサインをした。




