1.天使と悪魔
恐怖、孤独、不義、絶望、死。
それらの困難の先には、必ず希望が待っている。
絶望する時があるかもしれない、過去に戻ってやり直したいと思う後悔があるかもしれない。
しかし、どれだけ他人から信じてもらえなくても、諦めなければ、夢はきっと叶う。
それを最後に成し遂げるのが、たとえ自分ではなくとも。
◇
今から約100年前の1926年、突如東京上空に謎のゲートが出現し、地球とは別の遠い惑星から神々しい姿をした何者かが空から舞い降り、その者は自分の事を『支配者』と名乗った。
そして人間の中から無作為に選んだ者に天使の力と悪魔の力をそれぞれ与え、一つの予言を残して去っていった。
【100年後、この惑星に災厄が訪れるだろう】
最初に能力を授かった人は、何の為にあの支配者は力と予言を残していったのかよく分からなかったが、その意味を理解出来たのは支配者が訪れてから約3年が経った後だった。
突如、世界各国で支配者のとは別の禍々しい謎のゲートが出現し、ゲート内からは大小様々な機械のような外見をした怪物が現れ、今ではその存在を『エピドロメアス』と名付け、そのエピドロメアスを退治する人間達を能力者と呼ぶようになった。
西暦2026年、高校2年生の辻井怜は高校で授業を受けた帰りに友達とファミレスで食事をしたりゲームセンターによってゲームをして楽しんだりと言った何の変哲も無い生活を送っていた。
その帰り、アパートの付近で友達と別れた後、自分の家の玄関を開け、内側にある郵便箱の中を確認すると中にはとある黒い封筒が入っていた。
「何だこれ」
封筒の前にも後ろにも宛先は書いておらず、怪しみながらも封筒のシールをはがしてゆっくりと開けると、中には一枚の黒い紙が入っており、内容は以下の様に書き記してあった。
【辻井怜殿】
【貴方はとある悪魔に魅入られ、継承者に選ばれました。
今日中に、東京のエピドロメアス対策本部までいらして下さい。
さもないと、地球は存続の危機に陥ります。】
この俺が、悪魔に選ばれた?
封筒の内容を見た怜は驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった。
怜は確かにこの手紙に書いてあるエピドロメアスについては詳しく知っている。
現代の日本の教育機関では中学生から高校生までの期間でエピドロメアスの歴史や天使と悪魔の力の継承等を授業で習う事が義務化されており、知識はそれなりに入っているので今回の悪魔についても勿論知っている。
悪魔の力というのは主に近接戦闘型の力が基本的な物で、そこから時代が流れていき、今では遠距離型や魔法型など様々な戦闘型の力が生まれている。
そして極めつけは最後の文に書いてあった『さもなければ、地球は存続の危機に陥ります』という文だった。
今の日本では約5割ほどが能力者として天使や悪魔から上位〜下位までの力を授かっている上、世界に100人程度しかいない最高ランクの能力者が日本には20人も在籍しているので、これと言った特徴のない、そこら辺にいるような普通の高校生である自分一人がこの言葉を無視したとて影響は限りなく0に近いと考えていた。
それに加えて、こんななんの変哲もない一般人に、このような手紙が来ること自体おかしかった。
「くだらね」
そんな現在の状況を鑑みて、怜はこの紙の内容はくだらないと思い、その手紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨て、自室の隅にバッグを置き、部屋着に着替えた後はベッドに横になりスマホの電源をつけて動画配信サービスで動画を眺める。
夜、キッチンで晩御飯の支度をしていると突然インターホンが鳴ったので一旦鍋の火を止めてから玄関に向かってみると、黒服でサングラスをした男性の大人が3人、玄関前に立っていた。
「······どちら様ですか?」
「辻井怜さんですね。私達はエピドロメアス対策本部の者です。今すぐ我々と東京の本部まで来てもらいます」
「え、ちょっと、俺まだ晩飯食べてない······」
その黒服達はエピドロメアス対策本部の者達の様で、夜になっても東京23区内にある本部まで怜が顔を出していなかったことから此方に来たようだ。
怜は腕を掴まれ、強制的に黒い車に乗せられて本部の方まで連れて行かれる事になった。
一体何なんだと思いながらも車の中でどうして俺が必ず行かなければいけないのかと質問するも、返ってくるのは『それには私達は答える権利は持ち合わせていません』の一点張りで怜はため息を吐いた。
怜の住んでる所は東京23区外ではあるものの、それなりに近場のところに住んでいるので車で約30分程の移動でエピドロメアス対策本部に到着した。
本部の外装は白と黒を基調とした、横にも縦にも広い建物で思わずその建物に見入ってしまう程で、ただ唖然として眺めているだけしかできなかった。
「では、行きましょう」
「はいはい」
黒服について行くが、流石対策本部と言ったところなのか、セキュリティが厳重で目的の部屋に向かうまでカードキーの承認が2つ、生体認証と持ち物検査がそれぞれ1つずつあった。
これほどの検査や認証があるのだからそれくらい大事な部屋に連れて行かれるのだろうと今ここで理解できた。
「こちらです」
「ここって·······」
「局長室です」
目的の部屋というのは局長室だった。
本部の局長室、つまり、エピドロメアスと天使悪魔の関係の中で今最も権力が上の存在に今から出会うことに、驚きが隠せなかった。
何の変哲もないただの高校生がエピドロメアス対策本部局長と出会うなんて、普通の能力も持ち合わせていない人間なら人生何周してもあるのだろうかというくらい信じられないことだ。
黒服がドアを開け、『どうぞ』と言われ恐る恐る局長室に入る。
すると局長が座っていたが、後ろを向いていたので姿は見えないものの、ただの一般人である怜でさえ感じ取れるような圧倒的なオーラが部屋中に漂っている。
「辻井怜様をお呼びしました。局長」
「ありがとう、君達は下がってくれ。ここからは二人で話がしたいんだ」
「了解しました。失礼します」
局長はどうやら怜と2人で話がしたいようで、隣にいた黒服2人は部屋を出ていき部屋には局長と怜の2人きりになった。
すると局長は椅子をゆっくり回転させ、此方を向いていた。
「初めまして、エピドロメアス対策本部局長、近藤重隆と申します」
始めましての方は初めまして、普段カクヨムで投稿を行っているイワスズタです。
この度、小説家になろうの方でも人工悪魔は影からの投稿を始めました。
目的としてはカクヨムユーザーだけでなくなろうのユーザーの皆さんにも僕の作品を読んでほしいという気持ちから初めて見ました。
基本的にはカクヨムで書いたものをコピペしているので、もしかしたら抜けや誤字などがあるかもしれませんが、その時はそっと言ってくださるとありがたいです。
どうぞ本作品をよろしくお願いします。




