成り
ヤヒス達はジャパンからソヴィレバーレに戻り、リビングに集まっていた。
「ねぇ皆、ジャパンでの修行をしてみてどうだった?」
「どうだった・・・とは?」
ヴィーシャの投げかけにリャヒが疑問符を返す。
「私は極限状態の中でどこまでも走れるし、どんな苦難にも負けす高揚感すら感じたわ、仙空は『成り』と言うものだと言っていたんだけど・・・」
「私は普段よりも疲労感が少なく脳が俊敏になったような感じがありました」
「私もそう」
ミードリとパムは何か感覚を得たようなことを言った。
「ワシは物足りなかったな、腹が減ってたまらんかったが」
「我は疲労を感じにくかった気がするが・・・はっきりとは」
フィスとリャヒはまた違った感覚だった様で互いに顔を見合わせている。
「俺ははっきりとクライマーズ・ハイ、もしくはランナーズ・ハイをかんじていたよ『成り』と言うのと同じ状況だね」
「クライマ・・・?」
マサカツの話しにヤヒスは疑問を投げかける。
「おれがいた世界で、体内に発生する現象でね、自分を追い込んだり極度の疲労感に陥った時に何でもできて疲労感も吹き飛んで万能感を感じることなんだ」
「それは私が感じた事ほぼそのままだわ『成り』のことよね?」
「おそらくそうだ」
マサカツの話しにヴィーシャが乗って来て他のメンバーは良くわからないと言うような表情を浮かべた。
「その『成り』を自在に操ることが出来れば戦闘を有利に進めることが出来るんじゃないかしら」
「ヴィーシャさんの話を聞く限りだと相当に有利になりますね」
ヴィーシャとミードリは頷き合っている。
「それなんだけれども、効果が早くはっきりと表れる者もいれば、あまり効果を感じない個人差もままあるんだ、ランナーズ・ハイが発生するに必要な運動量もまた個人で差がある、だが格闘家やスポーツ選手は、準備運動などでそれを容易に可能としていたりもする、一度そのフォームを身体に覚えさせることが出来ればある程度その効果を自在とすることが出来ると、何かで読んだことがあるよ」
「ふむ、我はあまり感じなかったが、要するにその『成り』を自在にコントロールできる可能性があると言うことか」
「うん、まぁ個人差はあると思うけど」
マサカツの説明にリャヒが息を吹き、髪を撫でつけた。
「じゃあ『成り』を自在に操れるようにするにはどうすれば良いわけ?」
「とにかく極限のトレーニングだろうね、それも繰り返しの」
ヴィーシャはマサカツの方を向いて声をかけ、マサカツは端的にそれに答えた」
「む、結句日々の努力と言うことか・・・」
「そうだのう、どうにもヴィーシャは『成り』だか何だかをあやつれるようになりたいようだが・・・そうなると明日にも過酷なトレーニングを始めると言うことになるが」
リャヒがため息をつくとそれを受けてフィスがヴィーシャに話を振った。
「もちろんそうよ、だけど皆はどうする?」
「話を聞いている限り、前衛職に恩恵が大きい気がします、私とパムさんには不向きかと」
ヴィーシャがメンバーに問うとミードリが話を返し、パムも同意であると言うようなことを口にした。
「ふむ・・・我もよしておこう、どうにも向いている気がしないのでな」
「俺も、弓手には向かない可能性が高い」
リャヒとマサカツもトレーニングを辞退した。
「俺はやるよ、このままじゃヴィーシャの相手がいなくなっちゃうからね、一緒にトレーニングを受けようと思う」
「ヤヒス・・・助かるわ」
二人は笑顔になった。
「じゃあ大まかなトレーニング内容を伝えるよ、ソヴィルバーレの外周をへとへとになるまで走ってその後で限界まで木剣での打ち合いってとこだな」
マサカツは椅子を反らせて軋んだ音を出し。
ヤヒスとヴィーシャは渋い顔をして顔を見合わせた。




